小さき影ちいさきかげ
誰にあてるともなくこの私信を書き連らねて見る。 信州の山の上にあるK驛に暑さを避けに來てゐる人は澤山あつた。彼等は思ひ/\に豐な生活の餘裕を樂んでゐるやうに見えた。さはやかな北海道の夏を思はせるやうなそこの高原は、實際都會の苦熱に倦み疲れた …