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彼此
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かれこれ
ふりがな文庫
“
彼此
(
かれこれ
)” の例文
僕が立つのに妻なんぞはゐなくても
好
(
い
)
いから、是非一しよに行つて上げろと云つて、妻を附けて遣つた。それでももう
彼此
(
かれこれ
)
帰る頃だよ。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
彼此
(
かれこれ
)
と
種々
(
いろ/\
)
優
(
すぐ
)
れた
簡便
(
かんべん
)
な
方法
(
はうはふ
)
を
稽
(
かんが
)
へては
見
(
み
)
たものゝ、
只
(
たゞ
)
厄介
(
やくかい
)
な
事
(
こと
)
には
何
(
ど
)
うして
其
(
そ
)
れを
實行
(
じつこう
)
すべきかと
云
(
い
)
ふ
名案
(
めいあん
)
を
持
(
も
)
たなかつたことです。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
先程見た一人の
旅人
(
たびびと
)
はこの遍路であつたのだから、遍路は
彼此
(
かれこれ
)
三十分も
此処
(
ここ
)
に休んで居るのであつた。遍路は眼が悪いといふことを云つた。
遍路
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
この上尚ほ
彼此
(
かれこれ
)
面倒な事を申して居りますならば、鉱毒の水を汲んで来て、農商務大臣に飲んで貰ひませう。早い話である。
政治の破産者・田中正造
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
彼此
(
かれこれ
)
似つかはしき中なるに、マリアが所有なりといふカラブリアの地面はいと廣しといへば、おん
二人
(
ふたり
)
の
生計
(
たつき
)
さへ豐かなることを得べきならん。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
イクバクモ亡クシテ彦之ハ房州ニ帰リ
彼此
(
かれこれ
)
訊問
杳然
(
ようぜん
)
タルコト数年ナリ。庚戌ノ秋余事アリ房州ニ赴キ
過
(
よぎ
)
リテ彦之ヲ見ル。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
千駄木
(
せんだぎ
)
の
奥
(
おく
)
の
此
(
こ
)
の
私
(
わたし
)
の
家
(
いへ
)
から
番町
(
ばんちやう
)
までゞは、
可也
(
かなり
)
遠
(
とほ
)
いのであるが、
出
(
で
)
てからもう
彼此
(
かれこれ
)
一
時間
(
じかん
)
も
経
(
た
)
つから、
今頃
(
いまごろ
)
は
父
(
ちゝ
)
と
母
(
はゝ
)
とに
右
(
みぎ
)
と
左
(
ひだり
)
から
笑顔
(
ゑがほ
)
を
見
(
み
)
せられて
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
其様子を例の意地悪の職人が認めて、二人の事を
彼此
(
かれこれ
)
言つては
調戯
(
からか
)
ひ、仲間中に触れ廻る。仲間の者も笑つて
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
しかし、
彼此
(
かれこれ
)
するうちに二人の間に女の子が出来、それからというものは、彼女は非常におとなしくなった。
誤った鑑定
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
お糸さんを一足先へ
還
(
かえ
)
し、私一人
後
(
あと
)
から
漫然
(
ぶらり
)
と下宿へ帰ったのは、
夜
(
よ
)
の
彼此
(
かれこれ
)
十二時近くであったろう。もう雨戸を引寄せて、入口の
大
(
おお
)
ランプも消してあった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
之
(
これ
)
を
執
(
とつ
)
てウームと
力任
(
ちからまか
)
せに
破
(
やぶ
)
るとザラ/\/\と
出
(
で
)
たのが
古金
(
こきん
)
で
彼此
(
かれこれ
)
五六十
両
(
りやう
)
もあらうかと
思
(
おも
)
はれる
程
(
ほど
)
、金
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
世間で
彼此
(
かれこれ
)
云ってわたしの耳に這入らないうちに、あの人が自分で話したから好かったわね。フリイデリイケばかりではないわ。一体なんだってどの女もどの女もあの人にでれ付くのだろう。
一人舞台
(新字新仮名)
/
アウグスト・ストリンドベリ
(著)
それで致し方なく、口笛を鳴らしながら
彼此
(
かれこれ
)
三十分近くも蹲んで居りますうちに、向う岸の雫石さんの裏手辺りに誰かいたと見えて、莨の吸殻を池の中へ投げ捨てたのが眼に入りましたので。
後光殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
病めるものは之を慰め、貧しきものは之を分ち、
心曲
(
こゝろまが
)
りて郷里の害を爲すものには因果應報の道理を
諭
(
さと
)
し、
凡
(
すべ
)
て人の爲め世の爲めに益あることは
躊躇
(
たゆた
)
ふことなく
爲
(
な
)
し、絶えて
彼此
(
かれこれ
)
の
差別
(
しやべつ
)
なし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
今日も、周囲の明るさに、自然に目を覚したのは
彼此
(
かれこれ
)
十時近くであった。
曇天
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
此処
(
こゝ
)
でさん/″\
待
(
ま
)
たせられて、
彼此
(
かれこれ
)
三四十
分
(
ぷん
)
暗黒
(
くらやみ
)
の
中
(
なか
)
に
立
(
た
)
つた
後
(
のち
)
、
漸
(
やうや
)
く
桟橋
(
さんばし
)
の
外
(
そと
)
に
出
(
で
)
ることが
出来
(
でき
)
た。
持
(
も
)
ち
出
(
だ
)
したのは
形
(
かた
)
ばかりの
小
(
ちひ
)
さな
手荷物
(
てにもつ
)
で、
大
(
おほ
)
きなトランクは
明朝
(
みやうてう
)
取
(
と
)
りに
来
(
こ
)
いとのことだ。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
黄昏時
(
たそがれどき
)
がもう近くなった。マリイはろは台に腰を掛てから
彼此
(
かれこれ
)
半時
(
はんとき
)
ばかりになる。最初の内は本を読んでいたが、しまいにはフェリックスの来るはずの方角に向いて、並木の外れを見ていたのである。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
質の
彼此
(
かれこれ
)
に関はらず何事でも茫大なことが彼の趣味であつた。
円卓子での話
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
それから
彼此
(
かれこれ
)
一里の余も歩くと、山と山とが少し離れた。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
、世間では
彼此
(
かれこれ
)
申すさうぢやありませんか、私ヤ、
何
(
ど
)
うせ
斯様
(
かう
)
した
躯
(
からだ
)
なんですから、ちつとも
関
(
かま
)
やしませぬけれど、其れぢや、先生に御気の毒ですものねエ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
話は前へ戻って、
彼此
(
かれこれ
)
するうちに、お蝶さんは妊娠したのであります。即ち、悪漢の
胤
(
たね
)
を宿したのであります。運命はどこまでお蝶さんを虐げるのでしょう。
狂女と犬
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
その関係を前後混同して
彼此
(
かれこれ
)
云ったところで、
所詮
(
しょせん
)
戯論に終わるので、理窟は
幾何
(
いくら
)
精
(
くわ
)
しいようでも、この歌から遊離した
上
(
うわ
)
の
空
(
そら
)
の言辞ということになるのである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
彼此
(
かれこれ
)
するうちに寛永九年になつて、前將軍秀忠が亡くなり、忠之は江戸で葬儀に列して領國へ歸つた。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
と言わぬばかりの高慢の
面付
(
つらつき
)
が
癪
(
しゃく
)
に
触
(
さわ
)
って
耐
(
たま
)
らなかったが、其を
彼此
(
かれこれ
)
言うと、局量が狭いと言われる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
本当に姉さんはお村を
彼此
(
かれこれ
)
云ってくださるから有難い事だって、
平常
(
ふだん
)
そう云っているのだよ、
何
(
なん
)
でも姉さんの云う事を
肯
(
き
)
かなけりゃいけねえって、そう云っているのだから
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
町で評判であつた美しい花嫁時代、それからだん/\生活に直面して来て、長いあひだ
彼此
(
かれこれ
)
三十年ものあひだ、……遠い国の礦山に用度掛りとして働いてゐた夫の留守をして
町の踊り場
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
然しその事は最早
彼此
(
かれこれ
)
いふべき時期を過ぎた。
弓町より
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
彼此
(
かれこれ
)
五時頃であったろうか。
長崎の一瞥
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
彼此
(
かれこれ
)
するうちに、私は死体というものに一種の強い愛着の念を覚えるに至りました。老若男女を問わず、死体でさえあれば、それに接するのが楽しくなったのです。
三つの痣
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
其れも余り
軽蔑
(
けいべつ
)
した仕方と思つたからこそ、君を
媒酌人
(
ばいしやくにん
)
と云ふことに頼んだのだ、
最早
(
もう
)
彼此
(
かれこれ
)
、
半歳
(
はんとし
)
にもなるぞ、同僚などから何時式を挙げると聞かれるので、其の
都度
(
つど
)
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「思へれば」は、
彼此
(
かれこれ
)
おもう、いろいろおもうの意で、此句と、前の句との間に小休止があり、これはやはり人麿的なのであるから、「ものおもふ」ぐらいの意に取ればいい。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
八はこんな風で
彼此
(
かれこれ
)
三十分もうとうとしてゐた。其間に時計が三時を打つたのをも、八は知らなかつた。転寝といふものは、少し
為
(
す
)
ると一時は存外精神を恢復させるものである。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
聞くに堪え兼ね、怒りに任せ、思わず
呻
(
うな
)
る声を聞きつけ、お國が出て参り、
彼此
(
かれこれ
)
と言い
合
(
あい
)
はしたものゝ、源次郎の方には殿様から釣道具の直しを頼みたいとの手紙を
以
(
もっ
)
て証拠といたし
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
其時は
真
(
しん
)
に其積りで
強
(
あなが
)
ち気休めではなかったのだが、
彼此
(
かれこれ
)
取紛
(
とりまぎ
)
れて
不覚
(
つい
)
其儘になっている一方では、五円の金は半襟二掛より
効能
(
ききめ
)
があって、
夫
(
それ
)
以来お糸さんが非常に優待して呉れるが嬉しい。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
彼
(
あ
)
の時にも君に
放逐
(
はうちく
)
する様に注意したのだが、自分のことで
彼此
(
かれこれ
)
云ふのは、世間の同情を失ふ
恐
(
おそれ
)
があるからと君が言ふので、其れも一理あると
私
(
わし
)
も辛棒したのだ、今度は、君
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
彼此
(
かれこれ
)
するうち、日は容赦なく過ぎて、検事は焦燥を感じましたが、法医学教授をたずねた折、ふと鯉坂君が、新案探偵法を工夫したということを聞き、物も試しだからと思って
新案探偵法
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「言挙せず」は、「神ながら言挙せぬ国」(巻十三・三二五三)、「言挙せず妹に依り寝む」(巻十二・二九一八)等の例にもある如く、
彼此
(
かれこれ
)
と言葉に出していわないことである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
お前様といふものある清さんとこのやうな身持の私が、すなほに
彼此
(
かれこれ
)
申し候とも願の
愜
(
かな
)
ふはずなければ、何事も三谷さんの酒の上から出た
戯
(
たわぶれ
)
のやうに
取成
(
とりな
)
し、一しよにさへ寝たならば
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
右様天下衆人之
能存候
(
よくぞんじそろ
)
罪状有之者を
誅戮
(
ちゆうりく
)
仕候事、実に報国赤心之者に御座候間、非常之御処置を
以
(
もつて
)
手を下し候者も死一等を
被減候様仕度
(
げんぜられそろやうつかまつりたく
)
、
如斯
(
かくのごとく
)
申上候へば、先般天誅之儀に付
彼此
(
かれこれ
)
申上候と
齟齬
(
そご
)
仕
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
彼此
(
かれこれ
)
するうちに、ここに新らしいセンセーションが起った。
「マリー・ロオジェ事件」の研究
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
“彼此”の意味
《名詞・形容動詞》
彼 此 (あれこれ, かれこれ, ひし)
あれとこれ(と)。
いろいろ(と)。
(出典:Wiktionary)
彼
常用漢字
中学
部首:⼻
8画
此
漢検準1級
部首:⽌
6画
“彼此”で始まる語句
彼此相倚