度胸どきよう)” の例文
……ところ千丈せんぢやうみねからくづれかゝる雪雪頽ゆきなだれしたたきゞるよりあぶなツかしいのに——度胸どきようでないと復興ふくこう覺束おぼつかない。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つきのないさかのぼつて、瓦斯燈ガスとうらされた砂利じやりらしながら潛戸くゞりどけたときかれ今夜こんや此所こゝ安井やすゐやう萬一まんいちはまづおこらないだらうと度胸どきようゑた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
まととお節もつゞいて立上り是非ともお願ひ申た上お聞入きゝいれのない時は御家老樣の御玄關げんくわんで其儘した喰切くひきりつゝ死して夫の身代みがはりにと云ば藤八打點頭うちうなづきオヽよく云た其くらゐ度胸どきよう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いのちにかへてうそとはおぼしめすまじ、それほど度胸どきようすわれどおくこゝろ屠處としよひつじなり。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ときわたしもどうかしてとおもつてね、それだがおつぎが度胸どきようのあるのぢやわたし喫驚びつくりしたよ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
確に俺に是れだけ行る度胸どきようが無いものと見くびツてゐたんだからな。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
さくら山吹やまぶき寺内じないはちすはなころらない。そこでかはづき、時鳥ほとゝぎす度胸どきようもない。暗夜やみよ可恐おそろしく、月夜つきよものすごい。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かれくろよるなかるきながら、たゞうかしてこのこゝろからのがたいとおもつた。そのこゝろ如何いかにもよわくて落付おちつかなくつて、不安ふあん不定ふていで、度胸どきようがなさぎて希知けちえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なに度胸どきよう半紙はんし四五まい二つをりにして、すみつぎうすふみらぬかまぎらはし、わざぢて表紙へうしにもき、此趣向このしゆかううまくゆけかしとくるをちけるが、ひとしらぬこそ是非ぜひなけれ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
和出來わでき猪八戒ちよはつかい沙悟淨さごじやうのやうな、へんなのが二人ふたりしやち城下じやうかころちて、門前もんぜんときつたつて、みぎ度胸どきようだからまでおびえまいよ。紹介せうかいをしよう。……(かくはま)にも。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
れば度胸どきようゑて、洒落しやれてる。……しつはいづれも、舞臺ぶたいのない、大入おほいり劇場げきぢやうぐらゐにんでたが、さいはひに、喜多八きたはち懷中くわいちうかるければ、かるい。荷物にもつはなし、おまけ洋杖ステツキほそい。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)