名前なまえ)” の例文
こといたものに敬服けいふくしてゐたM、K名前なまえつてゐるだけで、わたしには、初対面しよたいめんであつたが、すこしも気取きどらない、ヒユモリストであるので
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
おに七と呼ばれてはいるが、名前なまえとはまったくちがった、すっきりとした男前おとこまえの、いたてのまげ川風かわかぜかせた格好かっこうは、如何いかにも颯爽さっそうとしていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
わたくしさしい名前なまえがよいとおもいまして、さんざんかんがいたすえにやっと『鈴懸すずかけ』というおもいついたのでございます。
ちょんさんのおとうさんはまた、ちょんさん、ちょんさんと、にいさんのほう名前なまえびいいので、なにかにつけて
長い名 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
このお祖父様方じいさまがたはおくなりになったあとにお名前なまえのこっていません。わたしたちは、ただそのお祖父様方じいさまがたがいろいろいいことをしてくださったということをっているだけです。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
金之助きんのすけさんという名前なまえからしておとこらしく、しもぶくれのしたそのかおみのかぶときは、ちいさなえくぼがあらわれて、あいらしかった。それに、このいことには、袖子そでこうなりになった。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「でも、お祖父じいさん、お祖父さんの名前なまえも入れなきゃいけないよ。」
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
「それでは 今日きょうから そうじゅん と 名前なまえを かえろ。」
一休さん (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
だい一、ごんごろがねという名前なまえ由来ゆらいだ。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
四十五さい名前なまえ笹山大作ささやまだいさくだつた。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
みんなは口々くちぐちにこう名前なまえんで、なわろしたり、はしごをかけたりして、やっとちょんさんをたすしました。
長い名 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「そんなら、名前なまえはともかく、どんなおとこなんだか、それをいっとくれ。お武家ぶけか、商人あきんどか、それとも職人しょくにんか。——」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
とにかく名前なまえにつきては最初さいしょんないきさつがありましたものの、わたくし若月わかつききできでたまらないのでした。
ローズ・ブノワさんは、その楽園らくえんにある花の名前なまえ全部ぜんぶと、その方舟はこぶねっていたけものの名前を全部っています。それから、ジャンセエニュ先生せんせいと同じ数だけのお伽話とぎばなしを知っています。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
するとある人がおかあさんに、子供こどもみじか名前なまえをつけると、その子のいのちみじかいし、なが名前なまえをつけるほど、その子の寿命じゅみょうながいものだといってかせました。
長い名 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
またわたくしがこちらで愛馬あいばったはなしをすると、『あのときは、そなたの希望きぼうれないで、勝手かって名前なまえをつけさせてたいへんにまなかった。』と良人おっと丁寧ていねいびました。
なにがとおっしゃって、じつァあっしゃァ、相手あいて名前なまえまじァらねえんで。……」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ひとびのくつというのはふねのことです。だって、ふねのことをいうのにこれよりいい名前なまえがありますか? ですから、みちというのは、人間にんげんが人間のためにこしらえた川のようなものです。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
うりの中からまれてきた子だからというので、瓜子姫子うりこひめこという名前なまえをつけました。
瓜子姫子 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あのおにはたいそうおさけきで、名前なまえまで酒呑童子しゅてんどうじといっております。好物こうぶつのおさけんで、たおれますと、もうからだかなくなって、けることも、にげることもできなくなります。
大江山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
夫婦ふうふもあきらめて、その子に一寸法師いっすんぼうし名前なまえをつけました。一寸法師いっすんぼうしは五つになっても、やはりせいがのびません。七つになっても、おなじことでした。十をしても、やはり一寸法師いっすんぼうしでした。
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
天子てんしさまはたいそう阿倍あべ童子どうじ手柄てがらをおほめになって、ちょうど三がつ清明せいめい季節きせつなので、名前なまえ阿倍あべ清明せいめいとおつけになり、五くらいさずけて、陰陽頭おんみょうのかみというやくにおとりたてになりました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)