“午後(ごゞ)” の例文
ある日(ひ)の午後(ごゞ)。ぱちツと不思議(ふしぎ)な音(をと)がしました。莢(さや)が裂(さ)けたのです。豆(まめ)は耳(みゝ)をおさえたなり、地(ぢ)べたに轉(ころ)げだしました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
八王子(わうじ)街道(かいだう)を横切(よこぎ)つて、いよ/\深大寺(じんだいじ)近(ちか)く成(な)つたのが、午後(ごゞ)の五時(じ)過(す)ぎ。夕立(ゆふだち)でも來(く)るか、空(そら)は一杯(ぱい)に曇(くも)つて來(き)た。
勤(つと)め大事(だいじ)に骨(ほね)さへ折(を)らば御氣(おき)に入(い)らぬ事(こと)も無(な)き筈(はづ)と定(さだ)めて、かゝる鬼(おに)の主(しゆう)をも持(も)つぞかし、目見(めみ)えの濟(す)みて三日の後(のち)、七歳(なゝつ)になる孃(じやう)さま踊(おど)りのさらひに午後(ごゞ)よりとある
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
君(きみ)に其(その)决心(けつしん)があるなら屹度(きつと)出來(でき)ます、鐵車(てつしや)の製造所(せいぞうしよ)は、我(わ)が秘密造船所(ひみつざうせんじよ)内(ない)の何處(どこ)かに設(まう)け、充分(じゆうぶん)の材料(ざいれう)は私(わたくし)の方(ほう)から供給(けうきう)し、また君(きみ)の助手(たすけて)としては、毎日(まいにち)午前(ごぜん)午後(ごゞ)に交代(かうたい)に
午後(ごゞ)三時(じ)十五分(ふん)にゴールデンゲートを過(す)ぎてから、今迄(いままで)にもう何時間(なんじかん)経(た)つたと思(おも)ふぞ。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
勘次(かんじ)は草臥(くたぶ)れやしないかといつてはお品(しな)の足(あし)をさすつた。それでもお品(しな)の大儀相(たいぎさう)な容子(ようす)が彼(かれ)の臆(おく)した心(こゝろ)にびり/\と響(ひゞ)いて、迚(とて)も午後(ごゞ)までは凝然(ぢつ)として居(ゐ)ることが出來(でき)なくなつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
冷吉は診察室へ下りて來るのが一ん日(ち)の何よりの變化であつた。午後(ごゞ)には、學校から歸つてから出かけて來るらしい、二三人の子供等がゐて、病院に來馴れたやうに方々を飛び𢌞つた。
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
話(はなし)の間(あひだ)に、輕氣球(けいきゝゆう)は、かの恐(おそ)ろしき山(やま)と森(もり)と谷(たに)と、又(ま)た惜(をし)む可(べ)き——然(さ)れど今(いま)は要(えう)なき鐵檻車(てつおりぐるま)とを後(あと)にして、風(かぜ)のまに/\空中(くうちう)を飛行(ひかう)して、其日(そのひ)午後(ごゞ)三時(じ)四十分(ぷん)項(ごろ)、吾等(われら)は再(ふたゝ)び
午後(ごゞ)に至(いた)りて、如何(どう)も天候(てんこう)が不良(ふれう)である。それで女連(をんなれん)だけ先(さ)きへ歸(か)へさうとした。
お母(はゝ)さまに直樣(すぐさま)お出(いで)下(くだ)さるやう、今朝(けさ)よりのお苦(く)るしみに、潮時(しほどき)は午後(ごゞ)、初産(ういざん)なれば旦那(だんな)とり止(と)めなくお騷(さわ)ぎなされて、お老人(としより)なき家(いゑ)なれば混雜(こんざつ)お話(はな)しにならず、今(いま)が今(いま)お出(い)でをとて
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今歳(ことし)は別(わ)きてお客樣(きやくさま)の數多(かずおほ)く、午後(ごゞ)三時(じ)よりとの招待状(せうたいじよう)一つも空(むな)しう成(な)りしは無(な)くて、暮(く)れ過(す)ぐるほどの賑(にぎは)ひは坐敷(ざしき)に溢(あふ)れて茶室(ちやしつ)の隅(すみ)へ逃(のが)るゝもあり、二階(かい)の手摺(てす)りに洋服(ようふく)のお輕女郎(かるじよろう)
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
時(とき)は午後(ごゞ)二時(じ)四十五分(ふん)、今(いま)から紀念塔(きねんたふ)を建立(けんりつ)するのである。