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保
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も
ふりがな文庫
“
保
(
も
)” の例文
無窮な国体のうえに生を
保
(
も
)
つ安心であった。大君の恩であった。これも
大御民
(
おおみたから
)
のひとりびとりぞ、と見まわす家庭と家の子らであった。
日本名婦伝:大楠公夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まだかなり長く
保
(
も
)
ちそうで、手広く居心地よくできていた。いろんな物置きだの納戸だの、思いもかけない階段だのがたくさんあった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「いいさ」と私はかれらの去ったあとで自分に云い聞かせた、「味噌煮にしておけば
保
(
も
)
つからな、当分おかずに困らないで済むわけだ」
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そのころには、病人の体もただ薬の
灌腸
(
かんちょう
)
や注射で
保
(
も
)
たしてあるくらいであった。
頭脳
(
あたま
)
がぼんやりして、言うことも
辻褄
(
つじつま
)
が合わなかった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
救急車で聖路加へ運ばれ、意識不明のまま二十五日の払暁まで
保
(
も
)
っていたが、間もなく苦しみだし、七時ごろ息をひきとった。
雲の小径
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
「お師匠さまが山科の家の
門
(
かど
)
に立って、これは凶宅じゃ、住む人の命は
保
(
も
)
つまいと言われたが、その
卜占
(
うらない
)
はたしかにあたった」
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「この空模様じゃ
筋違
(
すじかい
)
までも
保
(
も
)
ちませんぜ。お通は仕度をしているはずですから、ともかく晴らしてから出かけましょう」
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ちょうど
亀裂
(
ひび
)
だらけになって、今にもこわれそうな石地蔵が、外側に絡みついた蔦の力でばかり、やっと
保
(
も
)
っているのを見るような心持がした。
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
保
(
も
)
てるだけもった体は、ポクリと倒れるまで余命を保っていただけだつた。医者は言った。何ともないが死ぬだろうと、しかも十日はどうかと——
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「そらあ悲しかろう。いくら連れ添うても十日と
保
(
も
)
たん婿どんじゃけんになあ。太閤記の十段目ぐらいの話じゃなか」
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
鳥でも獣でも涼しい高い処へ吊るしておくに限ります。下へ
臥
(
ね
)
かしておいては二日
保
(
も
)
つ者も一日で腐ります。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
一同が、眼をそばだてて熟視するなかにしばらくは双方、
伯仲
(
はくちゅう
)
の力をあつめて
保
(
も
)
ち合いの形と見えたが——。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
髪はこの
手合
(
てあい
)
にお
定
(
さだ
)
まりのようなお手製の櫛巻なれど、身だしなみを捨てぬに、
小官吏
(
こやくにん
)
の
細君
(
さいくん
)
などが四銭の
丸髷
(
まるまげ
)
を
二十日
(
はつか
)
も
保
(
も
)
たせたるよりは
遥
(
はるか
)
に見よげなるも
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼
(
あ
)
の身體で、
彼
(
あ
)
の病氣で、咯血するやうになつたらもう駄目だと言ふんだ。長くて精々三月、或は最初のから咯血から一月と
保
(
も
)
たないかも知れないと言ふんだ。
我等の一団と彼
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
今度こそ死ぬのだと云って、泣いておられる、先生は大丈夫のように云っておられるけれども、看護婦さんは心臓が
保
(
も
)
たないかも知れないと云っておられるし
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
梶は十年も前、自宅の標札をかけてもかけても
脱
(
はず
)
されたころの日のことを思い出した。長くて標札は三日と
保
(
も
)
たなかった。その日のうちに取られたのも二三あった。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
聡明な、末起ちゃんには予期していたことですけれど、あなたには、あの悩みに
洗滌
(
せんでき
)
が要りますの。そうでもしないと、末起ちゃんのからだが、
保
(
も
)
たなくなります。
方子と末起
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「柚木君の仕事はチャチだね。一週間と
保
(
も
)
った試しはないぜ」彼女はこんな言葉を使うようになった。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「まあその辺で
勘弁
(
かんべん
)
してくれたまえ。俺のロケットの電池は、電圧がウンと下ってきたのだ。すこし倹約しないと、地球へ帰りつくまで
保
(
も
)
たないかもしれないからネ」
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
旅費は無論充分でなかった。代助の旅装に適した程の
宿泊
(
とまり
)
を続けるとすれば、一週間も
保
(
も
)
たない位であった。けれども、そう云う点になると、代助は
無頓着
(
むとんじゃく
)
であった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
上の前歯は二本は完全に根まで抜けて了つて、他の二本も殆ど
蝕
(
むしば
)
まれて辛うじて存在をとどめてゐる。下の門歯も内側からがらん洞が出来て、いつまで
保
(
も
)
つか分らない。
大凶の籤
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
『坐ってパン入りのミルクをおあがり! 何百年でも
保
(
も
)
つような、こんな金の薔薇を持ってれば、一日で
凋
(
しぼ
)
むようなただの薔薇となら、何時でも取換えられるからね。』
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
私と同棲してからも一年に三四箇月は郷里の家に帰つてゐた。田舎の空気を吸つて来なければ
身体
(
からだ
)
が
保
(
も
)
たないのであつた。彼女はよく東京には空が無いといつて
歎
(
なげ
)
いた。
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
彼は午後四時の
退
(
ひけ
)
に、貧民窟にも帰らずに、田舎へ散歩に出かけた。そこで彼は二本足の動物と、煤煙と、貧民窟を離れて、少しの間でも自然と接触を
保
(
も
)
ちたいと思った。
空中征服
(新字新仮名)
/
賀川豊彦
(著)
「駄目だよサッチゃん。十月まで
保
(
も
)
たないよ。
憔悴
(
しょうすい
)
しちゃったよ。寝なきゃあならないんだ」
雨の玉川心中:01 太宰治との愛と死のノート
(新字新仮名)
/
山崎富栄
(著)
各人の私生活というものは秘密のおかげで
保
(
も
)
っているのだが、恐らく一つにはそのせいもあって教養人があれほど神経質に、私行上の秘密を尊重しろと騒ぎ立てるのだろう。
犬を連れた奥さん
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「へえ、
面目
(
めんぼく
)
ねえが、あの体で
責
(
せ
)
められたんじゃ命が
保
(
も
)
たねえような気がしやして。……」
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
一足を十二文と積っても千足万足となれば何程になるか知んねえから、それよりは石を敷き詰めて置くと
余程
(
よっぽど
)
得でがんす、
私
(
わし
)
聞いて見たら百年は受合って
保
(
も
)
つといいやんした
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
身體
(
からだ
)
の
容子
(
ようす
)
が
變
(
へん
)
に
成
(
な
)
つたことを
心付
(
こゝろづ
)
いたからである。十
年
(
ねん
)
餘
(
あまり
)
も
保
(
も
)
たなかつた
腹
(
はら
)
は
與吉
(
よきち
)
が
止
(
とま
)
つてから
癖
(
くせ
)
が
附
(
つ
)
いたものと
見
(
み
)
えて
又
(
また
)
姙娠
(
にんしん
)
したのである。お
品
(
しな
)
も
勘次
(
かんじ
)
もそれには
當惑
(
たうわく
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
前記
(
ぜんき
)
のとおりわが
邦
(
くに
)
野生のいわゆるタチバナに、かくタチバナの名を
保
(
も
)
たしておくのは
元来
(
がんらい
)
間違いであるのみならず、前からすでにある歴史上のタチバナの本物と重複するから
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
執拗に
保
(
も
)
って二月目のある日、〆団治が見舞いに来た。ところが、ついぞ着ぬ洋服を着たのは良いとして、〆団治はまだまだ冬だというのに、異様な半ズボンでぶるぶる震えていた。
わが町
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「中風でも、レコの方は生れてから一遍も知らんのやちうさかいなア、あゝなつても、なかなか
保
(
も
)
つちうやないか。」と、仙太郎といふ
漂輕
(
へうきん
)
な若者は、右の拳で變な形をして見せつゝ
太政官
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「何とかして、もうほんの少しの間でも
保
(
も
)
たせるように、繕って見ておくれよ。」
外套
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
医者はもう幾日も
保
(
も
)
たないと言ってしまってから或る日の女の子は、母親に
音楽時計
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
終焉
(
おわり
)
も遠くはあるまいとのことであった。午後までも
保
(
も
)
つまいと言われた。
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その家には一杯朝顏や
胡盧
(
へうたん
)
の蔓が這つて、戸は一つの
蝶番
(
てふつがひ
)
で
保
(
も
)
つてゐる。
水車のある教会
(旧字旧仮名)
/
オー・ヘンリー
(著)
まだ若い頃だから
保
(
も
)
ったけれど、今のおれならとても出来ることじゃない
狂い凧
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
彼女の
老
(
お
)
いさらばえた肉体がまだ
保
(
も
)
っているうちは、その上に置かれた氷のように冷え果てた片手のもとで胸がまだ苦しげに波うっているうちは、まだその身から最後の力が
抜
(
ぬ
)
けきらないうちは
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
その台場を築いた者はこのテーブルの中にも居るではないか、こんな事で日本国が
保
(
も
)
てると思うか、日本は大切な国だぞなどゝ、公衆の前で公言したような事は、私の方こそ気違いの
沙汰
(
さた
)
である。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「
保
(
も
)
つまいか」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「いいさ」と私はかれらの去ったあとで自分に云い聞かせた、「味噌煮にしておけば
保
(
も
)
つからな、当分おかずに困らないで済むわけだ」
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「医者は
保
(
も
)
つといっておりますが、何分ひどく
昂
(
たか
)
ぶっていらっしゃるので、時折傷口から出血するのがよくないそうで」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「この空模樣ぢや
筋違
(
すぢかひ
)
までも
保
(
も
)
ちませんぜ。お通は仕度をして居る筈ですから、兎も角晴らしてから出かけませう」
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「大池さん、十一時よ……あと七時間……いままで
保
(
も
)
った心臓なら、明日の朝まで保つでしょう。しゃべるのはそれくらいにして、すこし眠ったらどう」
肌色の月
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「柚木君の仕事はチャチだね。一週間と
保
(
も
)
った試しはないぜ」彼女はこんな言葉を使うようになった。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
お京さんが思いっきりの音無しい人で自分が我儘な気ままな女だからどうか斯うか
保
(
も
)
って居たんだ。
千世子(二)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そして日頃
肚
(
はら
)
に
保
(
も
)
っていた色々の場合のおとらの
挙動
(
ふるまい
)
が、ねちねちした調子で
詰
(
なじ
)
られるのであった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
旅費は無論充分でなかつた。代助の旅装に適した程の
宿泊
(
とまり
)
を
続
(
つゞ
)
けるとすれば、一週間も
保
(
も
)
たない位であつた。けれども、さう云ふ点になると、代助は無頓着であつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
火焔と同じくらいの熱度を
保
(
も
)
った空気に迫られて動くまいとしても動かずにいられなかったのであろう。死物狂いに手足を振り動かして火の海に背中を向けようとした。
オンチ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それを弱い火にかけてアクを掬い取りながら気長に煮ます。つまり水気が混じると早く腐りますからそれを防ぐためです。こうしたのは夏でも四、五日ぐらい
保
(
も
)
ちます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
“保”の解説
保(ほ/ほう)は、古代から中世の日本に存在した地域行政の単位。時代・地域によって異なる意味で用いられた。
古代律令制における末端行政単位。
平安京の都城制・条坊制の中に設けられた地割の単位。
平安時代後期以後に登場した所領の単位。
(出典:Wikipedia)
保
常用漢字
小5
部首:⼈
9画
“保”を含む語句
保姆
保証
保存
保羅
享保
天保
保護
大久保
正保
久保田万太郎
保證
保持
佐保
保有
保正
記録保持者
神保町
伊香保
保養
天保銭
...