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体躯
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たいく
ふりがな文庫
“
体躯
(
たいく
)” の例文
旧字:
體躯
隊長シュミット氏は一行中で最も偉大なる
体躯
(
たいく
)
の持ち主であって、こういう黒髪
黒髯
(
こくぜん
)
の人には珍しい
碧眼
(
へきがん
)
に深海の色をたたえていた。
北氷洋の氷の割れる音
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
七尺に近いと思われる堂々たる
体躯
(
たいく
)
の持主で、顔の作りもそれに応じていかにも壮大な感じを与えたが、気は人一倍小さい方だった。
次郎物語:03 第三部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
それは女の肉体の動作が柔らかくしなやかで、猫のように静かなことであった。そのくせ、彼女は力に満ち
溢
(
あふ
)
れた
体躯
(
たいく
)
を持っていた。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
昔、南海に武名を
轟
(
とどろ
)
かしたサモア戦士の典型と思われる
体躯
(
たいく
)
と容貌だ。しかも、之が、
箸
(
はし
)
にも棒にもかからない山師であろうとは!
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
今に見て居れ、という言葉は彼の宗教のごとくなった。工兵隊の作った山道をトラックは古びた
体躯
(
たいく
)
をがたつかせながら、下りはじめた。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
▼ もっと見る
そういう彫刻的な
体躯
(
たいく
)
をそなえたグールメルは、怪物をも取りひしぎ得たであろうが、自ら怪物となることはなお容易であった。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
今の松本幸四郎なども、ひとえにあの立派な容貌と、堂々たる
体躯
(
たいく
)
に頼っている。最近故人になった市川左団次も同様である。
役者の一生
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
君長は卑弥呼を見ると、獣慾に声を失った笑顔の中から今や手を
延
(
のば
)
さんと思われるばかりに、その
肥
(
こ
)
えた
体躯
(
たいく
)
を揺り動かして彼女にいった。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
彼らは今のところ肉付きのよい
体躯
(
たいく
)
をもってる芸術を好んでいます。しかしその中にこもってる魂には夢にも気づきません。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そして宗達が風神雷神を画いたとき、風神の
体躯
(
たいく
)
の色を暗緑に塗つたかとおもふと、雷神の方を白い
胡粉
(
ごふん
)
で塗つて居る。
雷談義
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
光をうけた方の面は、今にも血管が透き通ってでも見えそうな、いかにも生々しい輝きであったが、巨人のような
体躯
(
たいく
)
との不調和はどうであろうか。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
痣蟹は巨大な
体躯
(
たいく
)
に似合わず身軽に、あちこちと逃げ廻っていたが、とうとう一番高い塔の陰に姿を隠してしまった。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
西暦一千九百二年秋忘月忘日白旗を寝室の窓に
翻
(
ひるが
)
えして下宿の婆さんに降を乞うや否や、婆さんは二十貫目の
体躯
(
たいく
)
を三階の
天辺
(
てっぺん
)
まで運び上げにかかる
自転車日記
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この人間の
体躯
(
たいく
)
の美しさをば、苦労のありたけを、つくして、説明しているその科学的にめんじて、法律は浮世絵の如く裸婦像をば禁じないのだろう
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
年は二十七歳、肉付のいい五尺七寸あまりの堂々たる
体躯
(
たいく
)
と、のんびりした図抜けて明るい上品な顔が人眼をひく。
風流化物屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかし此の際
咄嗟
(
とっさ
)
に起った此の不安の感情を解釈する余裕は
固
(
もと
)
よりない。予の手足と予の
体躯
(
たいく
)
は、訳の解らぬ意志に支配されて、格子戸の内に這入った。
浜菊
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
健全なる精神をもち、健康なる
体躯
(
たいく
)
を有する青年であって、それで成功が出来ないということがあるものか。世の中には
往々
(
おうおう
)
泣き言を述べる青年達がある。
青年の天下
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
しかし側面から眺めると、この原始の肉体は
忽
(
たちま
)
ち消え
失
(
う
)
せて植物性の柔軟な姿に変ってしまう。胸が平板で
稍々
(
やや
)
猫背であるため
体躯
(
たいく
)
が柔い感じを帯びてくる。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
天授の
神律
(
しんりつ
)
に対する絶対服従の必要を、地上の人類に強調せんとする時、うっかり霊媒の
体躯
(
たいく
)
に対する顧慮を失い、図らずも
汝
(
なんじ
)
に苦痛を与えることになった。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
人間の
体躯
(
たいく
)
も骨ばかりでは用をなさぬ、筋肉もあれば
脂肪
(
しぼう
)
もある、腹や
股
(
もも
)
が柔であるから、人体は柔であるといえぬ。
爪
(
つめ
)
や
歯牙
(
しが
)
があるから剛だともいわれぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
そののつぺりとしたる細長き
体躯
(
たいく
)
何となく吾人が西洋画に用ゆる写生用の
人体模形
(
マンカン
)
を見るの
思
(
おもい
)
あらしめたり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その巌丈な
体躯
(
たいく
)
にもかかわらず、どうしたものか隻手で、残った右手も病気のために骨がまがりかけたままで伸びず、
箸
(
はし
)
すらもよくは持てぬらしいのであった。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
が、そのうちにふと気がつくと、弁士が入替って、いま
体躯
(
たいく
)
堂々たる巡査が喋りだそうとするところであった。正三はその
風采
(
ふうさい
)
にちょっと興味を感じはじめた。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
青白く光った、豊満な菱形の
体躯
(
たいく
)
に、
旭日旗
(
きょくじつき
)
の線条の様に、太く横ざまに、
二刷子
(
ふたはけ
)
、鮮かな黒褐色の縞目、それが電燈に映って、殆ど金色に輝いているのです。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そこの長火ばちの向こうに
古稀
(
こき
)
の老体とは見えぬがんじょうな
体躯
(
たいく
)
をどっしりと横すわりにさせていたものでしたから、右門はごめんとばかり上がっていきました。
右門捕物帖:11 身代わり花嫁
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
近寄って見ると、荷台をつけたまま牛は横倒れになり、
体躯
(
たいく
)
全体であえぎながら、口から血の混ったよだれを垂らしていた。大きな蠅がしきりにそこらを飛び交っている。
狂い凧
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
学士は当時英国留学中であったが、病弱な
体躯
(
たいく
)
を
提
(
ひっさ
)
げて一行に加わり、印度内地及び
錫蘭
(
セイロン
)
に於ける
阿育王
(
あいくおう
)
の遺跡なぞを探り、更に英国の方へ引返して行く途中で客死した。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
脇差
(
わきざし
)
をぶちこんだ中背の
体躯
(
たいく
)
は、けだものの足跡もない荒野の草木を、胸で押し割っていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
単に先生の
体躯
(
たいく
)
が、自分に比して長大であるところから、これを偉人と呼び、自分の躯幹が先生に比して遥かに小さいところから見て、小人と名附けたまでのことなのです。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
がっちりしたその寸詰りの
体躯
(
たいく
)
にも、どこか
可笑
(
おか
)
しみがあって、ダンスも巧かった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そのボロ着物にたまっている赤い鉱石の粉末、妙に光る眼、栄養不良の
体躯
(
たいく
)
——。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
倭小な
体躯
(
たいく
)
を心もち猫背にかがめているのも、二年前と変らぬお前の癖だった。
勧善懲悪
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
若者を桟橋に連れて行った、かの巨大な船員は、大きな
体躯
(
たいく
)
を
猿
(
ましら
)
のように軽くもてあつかって、音も立てずに桟橋からずしずしと離れて行く船の上にただ一条の綱を伝って上がって来た。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
乾いた草の上に衰弱した
体躯
(
たいく
)
を投げ出して、青いあかるい空を仰ぎ見ながら一生懸命神のことを思った。けれども私にはどうしても神の愛というものを生き生きと感ずることができなかった。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
此処の親爺は「新青年」の探偵小説の
挿絵
(
さしえ
)
などにある、
矮小
(
わいしょう
)
な
体躯
(
たいく
)
に巨大な
木槌頭
(
さいづちあたま
)
をした
畸形児
(
きけいじ
)
、———あれに感じが似ていると云うことで、貞之助達は前に彼女から
屡〻
(
しばしば
)
その描写を聞かされ
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
入神中
(
にゅうしんちゅう
)
のT
女
(
じょ
)
の
意識
(
いしき
)
は
奥
(
おく
)
の
方
(
ほう
)
に
微
(
かす
)
かに
残
(
のこ
)
ってはいるが、それは
全然
(
ぜんぜん
)
受身
(
うけみ
)
の
状態
(
じょうたい
)
に
置
(
お
)
かれ、そして
彼女
(
かのじょ
)
とは
全然
(
ぜんぜん
)
別個
(
べっこ
)
の
存在
(
そんざい
)
——
小櫻姫
(
こざくらひめ
)
と
名告
(
なの
)
る
他
(
た
)
の
人格
(
じんかく
)
が
彼女
(
かのじょ
)
の
体躯
(
たいく
)
を
司配
(
しはい
)
して、
任意
(
にんい
)
に
口
(
くち
)
を
動
(
うご
)
かし
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
祖父は
体躯
(
たいく
)
は小さかったが、声が
莫迦
(
ばか
)
に大きく、怒鳴ると皆が
慴伏
(
しょうふく
)
した。中島兼吉と言い、後に兼松と改めたが、「
小兼
(
ちいかね
)
さん」と呼ばれていて、小兼さんと言えば浅草では偉いものだったらしい。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
巨大な
体躯
(
たいく
)
とたくましい健康とを持った一砲兵士官が、
悍馬
(
かんば
)
から振りおとされて頭部に重傷を負い、すぐ人事不省に陥った。
頭蓋骨
(
ずがいこつ
)
が少し破砕されたのであるが、べつにさし迫った危険もなかった。
早すぎる埋葬
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
彼女の報告一つで、深夜海底を蹴って浮びあがる潜航艇もある。当時初めて現われた鋼鉄の怪物、
超弩級
(
ちょうどきゅう
)
タンク「マアク九号」も、その圧倒的な
体躯
(
たいく
)
と銃火の
牙
(
きば
)
をもって、この全篇を押しまわるのだ。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
カルネラは昔の力士の
大砲
(
たいほう
)
を思い出させるような偉大な
体躯
(
たいく
)
となんとなく鈍重な表情の持ち主であり、ベーアはこれに比べると小さいが
映画雑感(Ⅲ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
彼らの偉大なる馬は立ち上がり、戦列をまたぎ越し、銃剣の上をおどり越え、そしてそれらの生きたる四壁のうちに巨大な
体躯
(
たいく
)
を横たえた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
彼の片眼は
蒼
(
あお
)
みを帯びて光って来た。そうして、彼女の頬を撫でていた両手が動きとまると、彼の
体躯
(
たいく
)
は漸次に卑弥呼の胸の方へ延びて来た。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
タウイロ(うちの料理番の母で、近在の部落の
酋長
(
しゅうちょう
)
夫人。母と私とベルと、三人を合せたより、もう一周り大きい・物凄い
体躯
(
たいく
)
をもっている。)
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
巨大なる
体躯
(
たいく
)
をもった恐竜としては、一とびか二とびでとんで来られるところだった。しかし四人は、そのことについて正確には気がついていなかった。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
新島君は当時より既によほど健康を損じておられたものと見えて、顔色
蒼白
(
そうはく
)
体躯
(
たいく
)
羸痩
(
るいそう
)
という風が見えた。
屡々
(
しばしば
)
咳
(
せき
)
をしておられたのが今なお耳に残っている。
新島先生を憶う:二十回忌に際して
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
伸子は
年齢
(
としのころ
)
二十三、四であろうけれども、どちらかと云えば弾力的な肥り方で、顔と云い
体躯
(
たいく
)
の線と云い、その輪廓がフランドル派の女人を
髣髴
(
ほうふつ
)
とさせる。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
上背のあるりっぱな
体躯
(
たいく
)
と、眉の濃い、一文字なりの
唇
(
くち
)
つきの眼立つぬきんでた風貌である。伊兵衛からさえに移した彼の眼は、一瞬きらきらと烈しく光った。
彩虹
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
住職は白頭
赭顔
(
しゃがん
)
、
体躯
(
たいく
)
肥大の人で年頃は五十あまり、客に応接すること
甚
(
はなはだ
)
軽快にしてまた
頗
(
すこぶる
)
懇切である。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と、
田舎
(
いなか
)
から通勤して来る上田は彼に話しかける。その
逞
(
たくま
)
しい
体躯
(
たいく
)
や淡泊な心を現している相手の顔つきは、いまも何となしに正三に
安堵
(
あんど
)
の感を
抱
(
いだ
)
かせるのであった。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
背が高く足が長くて、丈夫なしなやかな
体躯
(
たいく
)
の彼女は、プリマチキオのディアナの姿に似ていた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
体
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
躯
漢検準1級
部首:⾝
11画
“体”で始まる語句
体
体裁
体中
体格
体操
体臭
体好
体当
体仁
体内