トップ
>
都度
>
つど
ふりがな文庫
“
都度
(
つど
)” の例文
迷い出すことだけは、ピッタリととまったけれども、若い雲水たちの間に、その
都度
(
つど
)
噂に上るのは、向岳寺の尼寺のことであります。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
すると、彼女の眼は、彼の予期した通り、その
都度
(
つど
)
、床の間の植木鉢(もうその時は紅葉ではなく、松に植えかえてあったけれど)
心理試験
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その代わり、一つ一つの経験の与えた教訓はその
都度
(
つど
)
、彼の血液の中に吸収され、ただちに彼の精神および肉体の一部と化してしまう。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
錦太郎は何べんかお福に飛びかゝりさうにしましたが、その
都度
(
つど
)
、平次の眼に威壓されて、キリキリと齒を喰ひしばるばかりです。
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「油断はならぬ。先々、島からも便りをしましょう。その
都度
(
つど
)
、そもじの手から密々に、鎌倉表か六波羅へ早打ちを飛ばして
給
(
た
)
も」
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
(いや、その
都度
(
つど
)
ちがう変名で雑文を書いて、それで生活していた。それも最低生活費を
稼
(
かせ
)
ぐだけで、それ以上何も書こうとしなかった。)
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
「そのつもりが好くないじゃないか」と答弁するようなものの、この問題はその
都度
(
つど
)
しだいしだいに背景の奥に遠ざかって行くのであった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
船
(
ふね
)
のはげしき
動揺
(
どうよう
)
につれて、
幾度
(
いくたび
)
となく
投
(
な
)
げ
出
(
だ
)
さるる
私
(
わたくし
)
の
躯
(
からだ
)
——それでも
私
(
わたくし
)
はその
都度
(
つど
)
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
りて、
手
(
て
)
を
合
(
あわ
)
せて、
熱心
(
ねっしん
)
に
祈
(
いの
)
りつづけました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
渚
(
なぎさ
)
は
浪
(
なみ
)
の雪を敷いて、砂に結び、
巌
(
いわお
)
に消える、その
都度
(
つど
)
音も聞えそう、
但
(
ただ
)
残惜
(
のこりおし
)
いまでぴたりと
留
(
や
)
んだは、きりはたり
機
(
はた
)
の音。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうして、二、三歩も大股に急ぎ足で甲板を歩いたかと思うと、また直ぐに降りて来る。わたしはその
都度
(
つど
)
について行った。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
政党はその時の状態や条件に応じて民衆の批判を受け、民衆はその
都度
(
つど
)
事態に適合した政策をもつ政党を選ぶのが良い。
咢堂小論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
殊に枕をはづすことにはその
都度
(
つど
)
折檻を加へてゐたらしい。が、近頃ふと聞いた話によれば、娘はもう震災前に芸者になつたとか言ふことである。
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ひっくり返えられては困ると思って、師匠大丈夫か、と交るがわる声をかけると、里春は、その
都度
(
つど
)
、あいよ、大丈夫。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
これから
後
(
のち
)
、藍丸王が見たいろいろの出来事は、当り前の者ならばその
都度
(
つど
)
驚いて、眼でも
眩
(
ま
)
わして終わなければならぬような事ばかりであった。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
土壇場まで来て断るのが
殆
(
ほとん
)
ど
馴
(
な
)
れっこのようになっていたので、その
都度
(
つど
)
幸子はそんなにも力を落したことはなかったのであるが、今度はなぜか
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そしてその
都度
(
つど
)
反響の様子を、私の方へ手紙でいってきた。私の方からも時々実験の模様などを報告して、文通は戦争の始まるまでずっと続けていた。
ネバダ通信
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
その
都度
(
つど
)
二人は見違えるような新生面を以って向い合った。色々の事が談したかった。些細な事まで聴きたかった。
決闘場
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彼が
呉子
(
くれこ
)
さんを迎えてからは、そう
大
(
おお
)
ぴらには、せびることもできなかったが、彼の代りに出版の
代作
(
だいさく
)
をしたり、講演の筋を書いたりして、その
都度
(
つど
)
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
みな必死の
血眼
(
ちまなこ
)
であったらしいが、何分にもその資金が思うにまかせず、興行の
都度
(
つど
)
に高利の金を借りたり、四方八方から無理な
工面
(
くめん
)
をして来たりして
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「社長は去年から頻りに手土産を持って来る。それもその
都度
(
つど
)
真物
(
ほんもの
)
なら五百金千金とも思える古書画ばかりだ。熊野君は時折骨董屋へお供をするだろう?」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
その
都度
(
つど
)
樫の実などを少々賞与せぬと、労働は神聖なりと知らぬかちゅう顔してたちまちそのトルーフルを食いおわり、甚だしきは怠業してまた働かぬそうだ。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
とにかく、こういう風な西洋人の仕事が段々と
殖
(
ふ
)
えて来まして、その
都度
(
つど
)
私が関係したのであった。
幕末維新懐古談:27 引き続き作に苦心したこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
彼女の居間の敷居をまたぐ
都度
(
つど
)
、わたしは思わず知らず、幸福のおののきに
総身
(
そうみ
)
が
震
(
ふる
)
えるのだった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
動く度ごとに爪先が上下して、そこに力がはいつて、その
都度
(
つど
)
足の指は尺取虫のやうにかがんだり伸びたりする。……実に変な夢だなあ、と、彼は夢のなかで考へた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
其れも余り
軽蔑
(
けいべつ
)
した仕方と思つたからこそ、君を
媒酌人
(
ばいしやくにん
)
と云ふことに頼んだのだ、
最早
(
もう
)
彼此
(
かれこれ
)
、
半歳
(
はんとし
)
にもなるぞ、同僚などから何時式を挙げると聞かれるので、其の
都度
(
つど
)
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
其の
都度
(
つど
)
僕は、一つは民衆と云う事をいつも議論の生命とし対象としている僕自身の立場から
新しき世界の為めの新しき芸術
(新字新仮名)
/
大杉栄
(著)
妾
(
せふ
)
を
斯
(
かゝ
)
る悲境に沈ましめ、殊に胎児にまで世の
謗
(
そし
)
りを
受
(
うけ
)
しむるを
慮
(
おもんばか
)
らずとは、是れをしも親の情といふべきかと、会合の
都度
(
つど
)
切
(
せつ
)
に
言聞
(
いひきこ
)
えけるに、彼も
流石
(
さすが
)
に憂慮の
体
(
てい
)
にて
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
それはまた、彼女自身を省みる
都度
(
つど
)
、その云ひ訳けに役立つ所の、唯一のプライドでもあつた。
乞食の名誉
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
幸いその
都度
(
つど
)
、世の中の義侠心に富んだ方々が助けに現れてようやく通りぬけては来たものの
牧野富太郎自叙伝:01 第一部 牧野富太郎自叙伝
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
「それは別に支払う。君のれいの商売で、
儲
(
もう
)
けるぶんくらいは、その
都度
(
つど
)
きちんと支払う。」
グッド・バイ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
これも必要なり
彼
(
か
)
れも入用なりとて兵器は
勿論
(
もちろん
)
、
被服
(
ひふく
)
帽子
(
ぼうし
)
の類に至るまで仏国品を
取寄
(
とりよ
)
するの
約束
(
やくそく
)
を結びながら、その
都度
(
つど
)
小栗には
謀
(
はか
)
らずして
直
(
ただち
)
に
老中
(
ろうじゅう
)
の
調印
(
ちょういん
)
を求めたるに
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
お礼にも
都度
(
つど
)
/\
上
(
あが
)
り
度
(
と
)
う存じますが何分貧乏暇なしで
遂々
(
つい/\
)
御無沙汰勝に相成って済みません
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その
都度
(
つど
)
割りのよい仕事にありつき、なおそのほかに宿方の補助を得ていたのも彼らである。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その
都度
(
つど
)
もと住んでいた町の町会へも立寄り、女房子供の生死を調べたが手がかりがなかった。せめて死骸のありそうな場所だけでもと思ったがそれも分らずじまいであった。
にぎり飯
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
七五郎 (時々、往来の方を振り向く、忠太郎はその
都度
(
つど
)
隠れて姿を見せぬ)
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
*2 戸口調査名簿 ピョートル大帝によって一七二二年に創始され、一八六〇年までに十回にわたって行われた一種の国税調査に、その
都度
(
つど
)
地主から政府に提出した農奴数の
届書
(
とどけしょ
)
をいう。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
張り込ませてから約二カ月ばかりの間に、その
都度
(
つど
)
都度に寄せられ、この聞き込みを得た時分から、今度の犯罪に対する決め手として、嬢の頭の中で次第次第に
醞醸
(
うんじょう
)
されてきたものである。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
もっともその模様が優れている場合は別であるが、私の目撃したものでは十中八、九極めて陳腐な図案に過ぎなく、模様さえなかったらどんなにいいかと、その
都度
(
つど
)
思わざるを得ないのである。
樺細工の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
報告会は、校長との会見の
都度
(
つど
)
、ごく簡単に休憩時間中に行われた。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
夏の眞盛りの今でさへ、
泥濘
(
ぬか
)
つて、水がぴちや/\搖れてゐた。こゝで私は二度倒れた、けれどもまたその
都度
(
つど
)
立ち上つては
身内
(
みうち
)
の力を掻き集めた。この
燈火
(
ともしび
)
は私のたつた一つの頼りない希望なのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
可哀想なのはその
都度
(
つど
)
道具に使われては絞られる一般民衆です。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
二
(
ふた
)
試合投げて勝ちたるうで振りつつおもふ
都度
(
つど
)
笑む独りたのしく
遺愛集:02 遺愛集
(新字新仮名)
/
島秋人
(著)
その
都度
(
つど
)
外部の矩に従わずして内部の矩に従った人である。
自由の真髄
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
それも、幾人婦人がやって来ようとその
都度
(
つど
)
やるのだ。
赤げっと 支那あちこち
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その
都度
(
つど
)
に、彼は怖ろしそうにうなずいたのである。
世界怪談名作集:06 信号手
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
そしてその
都度
(
つど
)
不愉快極まる反響を聞くのです。
Resignation の説
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
だからその
都度
(
つど
)
、私も
訊
(
たず
)
ねてみる。
庭の眺め
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
その
都度
(
つど
)
、同苦の、みじかい言葉は、深く彼の本心にふれ、
喪失
(
そうしつ
)
した彼自身を、彼のうちに、呼びもどしていたところでもあった。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの男が来るたびに兵馬さんは落着かなくなって、その
都度
(
つど
)
、お金の心配をなさるような御様子がありありとわかるのである。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その
都度
(
つど
)
慰めるのにだいぶ骨の折れた事もあったが、近来は全く忘れたように何も云わなくなったので、宗助もつい気に留めなかったのである。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“都度”の意味
《名詞・形容動詞》
毎回。その度ごと。
(出典:Wiktionary)
都
常用漢字
小3
部首:⾢
11画
度
常用漢字
小3
部首:⼴
9画
“都度”で始まる語句
都度都度
都度々々
都度閇知泥