)” の例文
張松は、胸を正し、膝へ手をおくと、童子が書物を声読するように、孟徳新書の初めから終りまで、一行一字もまちがいなくんだ。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一夜道心の俄坊主にわかぼうずが殊勝な顔をして、ムニャムニャとお経をんでお蝋を上げたは山門に住んだと同じ心の洒落しゃれから思立ったので
んでも、坐禪ざぜんを組んでも、諦めきれないのが、お喜代のポチヤポチヤした可愛らしさだ——眼の前にチラ付いて、寢ては夢、さめてはうつゝ
烟草たばこゆらし居たる週報主筆行徳秋香かうとくあきか「渡部さん、恐れ入りますが、おついでにおみ下ださいませんか」「其れがい」「どうぞ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
手足被杻械しゅそくぴちゅうかい念彼観音力ねんぴかんのんりき釈然得解脱しゃくねんとくげだつ、と牢のなかでも観音経かんのんぎょうんで居たが今ヒョロ/\と縄に掛って仮牢から引出ひきだされるを見ますると
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
が、オーリャは死者のために詩篇をみに外出しているとかで、会えなかった。僧院の帰り途に父親の家へ行って見たが、やはり留守だった。
人となり聰明にして、目にわたれば口にみ、耳にるれば心にしるす。すなはち阿禮に勅語して、帝皇の日繼ひつぎと先代の舊辭とを誦み習はしめたまひき。
貧しき家の夕闇に盲目めしいの老夫のかしらを剃りたるが、兀然ごつぜんとして仏壇に向ひてかね叩き経める後姿、初めて見し時はわけもなく物おそろしくおぼえぬ。
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
ロレ おゝ、それは、そなたこひをば、會得ゑとくしてもゐぬことを、たゞ口頭くちさきたぐひぢゃと見拔みぬいてゐたためでもあらう。
光明経こうみょうきょうむと厄をはらうことができるということを聞いたので、それを求めて人に教えてもらって誦んだ。
瞳人語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
お米が無しになると、良寛さんは、山をおりて托鉢たくはつする。家々の門先かどさきに立つて、短い経をんで、一つまみづつのお米や、麦をはちの子のなかへもらふのである。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
この坊主がお経を出鱈目でたらめによむのを御存知なく、椿岳さんになってから、お経も沢山んで下さるし、御蝋燭おろうそくも沢山つけて下さる、と悦んで礼をいいましたね。
寺内の奇人団 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
と白秋が去りにし日の「蝮捕り」をみつつ、都家歌六の高座を偲べば、こころ、何か、何かあやしく
随筆 寄席風俗 (新字新仮名) / 正岡容(著)
さて私は時々夕方の檢温の結果などによつて、氣に入つた讃美歌の一くさりをみ、ぽつかりと音もなくともる電燈を見つめながら、ベツドの上に四肢をのばしてゐる。
輝ける朝 (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
エレジヤの詩を最も愛し、好んでボルテールのエピグラムを学生に教え、又、自ら好んでむ。
日本文化私観 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
『経律異相』四五には牧牛児あり常に沙門の経むを歓び聞く、山に入りて虎に食われ長者の家に生まる、懐姙中その母能く経を誦む、父この子の所為しわざと知らず鬼病もののけおも
全生徒は二人づゝ列を作つて、その順序のまゝ階段を下り、寒いぼんやりしたともつた教室へ這入つた。此處で、ミラア先生がお祈りをんで、それから彼女は叫んだ——
怖ろしく声のい人で、お経をむと、その調子が自然に律呂りつりよかなつて、まるで音楽でも聴くやうな気持がするので、道命が法華ほつけを誦むとなると、大峰おほみねから、熊野から、住吉すみよしから
ぢいに向つては、何のゑんりよもなかつた私でしたが、お経をあげてゐる時のぢいは、ふだんのぢいとはすつかり変つた人のやうに思はれて、しづかなみ声が、ぞく/\と身にしみました。
海坊主の話 (新字旧仮名) / 土田耕平(著)
これをもって来たり請う者あるごとにおおむねみな辞して応ぜず。今徳富君の業をむに及んで感歎くことあたわず。破格の一言をなさざるを得ず。すなわちこれを書し、もってこれをかえす。
これをもって来たり請う者あるごとにおおむねみな辞して応ぜず。今徳富君の業をむに及んで感歎くことあたわず。破格の一言をなさざるを得ず。すなわちこれを書し、もってこれをかえす。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「門前の小僧は習わぬ経をむ」鍛冶屋の嫁は次第に鉄の産地を知る。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
モーセ時にその血の半ばをとりて鉢にれまたその血の半ばを壇の上にそそげり。しかして契約の書をとりて民にみきかせたるに彼ら応えて言う、エホバのう所は皆我らこれをなしてしたがうべしと。
「お祖母ばあさん、どうして今頃御経をむの。」
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うたに唄ってんでいた父母恩重経ぶもおんじゅうぎょうのことばも、それがいろはのように平易なので、むにつれ、聴くに従い、だんだん分って来たものとみえる。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
僧「はい、お隣座敷へ泊ってな、坊主は経をむのが役で、おやかましいことですが、夜更よふけまで誦みはいたしません、貴方も先刻さっきから御回向をしていらっしったな」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
鮒鮓ふなずしや彦根の城に雲かかる」という私の好きな蕪村の句をむたび、彼女の美しい細おもてを、上海引き揚げ後これも行方のわからない虎ちゃんともども偲ぶのである。
わが寄席青春録 (新字新仮名) / 正岡容(著)
勉強時間中は子供たちと一緒にゐなくてはならなかつたし、それから、今日はお祈をみ、みんなを寢かす番に當つてゐた。その後で私は他の先生たちと一緒に夕食をすました。
歌をしもの句までんでしまふと、忠実な博士の指は三十五文字を数へてゐた。
長じて正直者ながら経をむ事鈍かった(『因果物語』中)。
「調馬はだしもよ、朝く法華経二部を、腹のそこから声を出してんでみい。五臓六腑、一物もなくなってしまう」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私共わたくしどもうちには御出家様が時々お泊りになりますが、御膳の時はお経をんで御膳をおきせに取分けて召上りますな、あなたも此のあいだお遣りなすったしお経もお読みなさいますが
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「あれは独りで何しているか。また、こよいも、堂籠どうごもりして経でもんでいるかな。それとも、時鳥ほととぎすでも聞いているだろうか。変り者ではあるよ」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
永「それは門前の小僧習わぬ経をむで、寺にいると自然と覚えて読んで見たいのだが、また此方こなたは御出家じゃアが、もう旅へ出ると経を読まぬてえ、是が紺屋こうや白袴しらばかまというたとえじゃアのう」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「そうじゃ、何の土産もないが、これはわしが写経したもの、一部進ぜましょう程に、ひまな時、んでくだされ」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「よせやい、てめえがベソを掻き掻きむもんだから、おれっちまで、変てこに、涙が出て来やがるじゃねえか」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼女は日課の法華経もみおえ、それから覚一と机をはさんで、覚一のために、詩経の素読をさずけていた。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど、年々その忌日には、恵林寺えりんじをはじめ諸山の法燈ほうとうは秘林の奥にゆらいで、万部経をみあげていた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わらむしろを持ちこんで、頼朝は尼がいいという日まで、じっと待っていた。その間、毎日毎日、そらんじる程よく聞いたのは、尼が朝暮に法華経ほけきょうの声であった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
口のうちにみながらそこを巻いてゆくと、大きな蕪之図かぶらのえが繰りべられた。蕪の題語には
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「みろ、み手が、黙っちまったあ。聞きながらトロトロいい気持で聞いていたのに」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
清子は、大日如来だいにちにょらい御前みまえに、長いことぬかずき、また、地蔵菩薩の宝前ほうぜんに、香や花をささげ、地蔵経一巻を声ひくくんで、いつものように、杉木立の小道を、やかたの方へもどって来た。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
れてはならぬ)と、美衣美食をおそれ、夜のものの温まるをおそれ、経文きょうもんを口でむのをおそれ、美塔の中の木乃伊ミイラとなってしまうことをおそれたが、門跡として見なければならぬ寺務もあり
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なすこともなく、日々、きょうなどんでおります」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幾度も口のうちむ。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きょうんでおざった
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)