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緋鹿子
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ひがのこ
ふりがな文庫
“
緋鹿子
(
ひがのこ
)” の例文
この島田に掛けた
緋鹿子
(
ひがのこ
)
を見る視官と、この髪や肌から発散する匀を嗅ぐ
嗅覚
(
きゅうかく
)
とに、暫くの間自分の心が全く奪われていたのである。
独身
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
其
(
そ
)
の
下襲
(
したがさ
)
ねの
緋鹿子
(
ひがのこ
)
に、
足手
(
あして
)
の
雪
(
ゆき
)
が
照映
(
てりは
)
えて、
女
(
をんな
)
の
膚
(
はだえ
)
は
朝桜
(
あさざくら
)
、
白雲
(
しらくも
)
の
裏
(
うら
)
越
(
こ
)
す
日
(
ひ
)
の
影
(
かげ
)
、
血
(
ち
)
も
通
(
かよ
)
ふ、と
見
(
み
)
る
内
(
うち
)
に、
男
(
をとこ
)
の
顔
(
かほ
)
は
蒼
(
あを
)
く
成
(
な
)
つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
桜の
釣板
(
つりいた
)
、
張子
(
はりこ
)
の鐘、それからアセチレン
瓦斯
(
ガス
)
の神経質な光。お前は
金紙
(
きんがみ
)
の
烏帽子
(
ゑぼし
)
をかぶつて、
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の振袖をひきずりながら、恐るべく皮肉な
白拍子
(
しらびやうし
)
花子の役を勤めてゐる。
動物園
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
鳥追笠を
紅緒
(
べにお
)
で締めて荒い黄八に
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の猫じゃらしという思い切った
扮装
(
いでたち
)
も、狂気なりゃこそそれで通って、往きずりの人もちと調子の外れた
門付
(
かどづけ
)
だわいと振り返るまでのこと
釘抜藤吉捕物覚書:05 お茶漬音頭
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
頭からすっぽりと、
米磨
(
こめと
)
ぎ
笊
(
ざる
)
を被っているのだ。手に持って来たのは、それも仲居が台所から探して来た
擂粉木
(
すりこぎ
)
であった。そして、
芸妓
(
げいしゃ
)
に解かせた
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の
扱帯
(
しごき
)
を、後結びの
襷
(
たすき
)
にかけ
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
そこには、瓜が二つに割れて、ここの松の空なる枝には、
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の輪が
掛
(
かか
)
りました。……御堂も、池も、ぐるぐると廻ったんです。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お妙は、自分のしていた
緋鹿子
(
ひがのこ
)
のしごきを手早く取って、二つに
食
(
く
)
い
割
(
さ
)
いた。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
しかしこの娘はフランスの小説や脚本にある部屋附きの女中とは違って、おとなしく、つつましやかに、
入口
(
いりくち
)
の傍に立ち留まって、両手の指を
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の帯上げの上の処で、からみ合わせていた。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
楽屋にては小親の
緋鹿子
(
ひがのこ
)
のそれとは違い、黒き
天鵞絨
(
びろうど
)
の
座蒲団
(
ざぶとん
)
に、
蓮葉
(
はすは
)
に片膝立てながら、
繻子
(
しゅす
)
の襟着いたる
粗
(
あら
)
き
竪縞
(
たてじま
)
の
布子
(
ぬのこ
)
羽織りて
被
(
き
)
つ。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
緋鹿子
(
ひがのこ
)
を合せて両面着けて、黒き
天鵞絨
(
びろうど
)
の
縁
(
へり
)
取りたる綿厚き
座蒲団
(
ざぶとん
)
の、胸に当てて膝を
蔽
(
おお
)
うまでなるを、両袖に抱えて来つ。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
突然
(
いきなり
)
、
爺様
(
じいさん
)
の背中へ
掴
(
つか
)
まると、手水鉢の
傍
(
わき
)
に、南天の実の
撓々
(
たわたわ
)
と、霜に伏さった冷い
緋鹿子
(
ひがのこ
)
、
真白
(
まっしろ
)
な
小腕
(
こがいな
)
で、どんつくの肩をたたくじゃないか。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小親が与えし
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の
蒲団
(
ふとん
)
の上に、広き
桟敷
(
さじき
)
の中に、小さき体一ツまたこそこの時
突立
(
つった
)
ちたれ。さていかにせむ。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
つい目の前を、ああ、
島田髷
(
しまだまげ
)
が流れる……
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の
切
(
きれ
)
が解けて浮いて、トちらりと見たのは、
一条
(
ひとすじ
)
の
真赤
(
まっか
)
な蛇。
絵本の春
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
駒下駄のちょこちょこあるきに、石段下、その呉羽の神の鳥居の蔭から、
桃割
(
ももわれ
)
ぬれた
結立
(
ゆいたて
)
で、
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の
角絞
(
つのしぼ
)
り。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
挙動
(
しぐさ
)
の
唐突
(
だしぬけ
)
なその上に、またちらりと見た、
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の
筒袖
(
つつッぽ
)
の細いへりが、無い方の腕の切口に、べとりと血が
染
(
にじ
)
んだ時の
状
(
さま
)
を
目前
(
めのまえ
)
に浮べて、ぎょっとした。
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
松の枝の
緋鹿子
(
ひがのこ
)
を、六人して、六条に引裂いて、……畜、畜生めら。腕に巻いたり、首に掛けたり、腹巻はまだしも、股に結んで
弄
(
もてあそ
)
びなぞしていやがった。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
学士先生の若夫人と色男の画師さんは、こうなると、
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の
扱帯
(
しごき
)
も
藁
(
わら
)
すべで、
彩色
(
さいしき
)
をした
海鼠
(
なまこ
)
のように、雪にしらけて、ぐったりとなったのでございます。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
紫の
襲
(
かさね
)
の片袖、紋清らかに革鞄に落ちて、
膚
(
はだ
)
を裂いたか、女の片身に、
颯
(
さっ
)
と流るる
襦袢
(
じゅばん
)
の
緋鹿子
(
ひがのこ
)
。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……これが、燃立つようなお定まりの
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
、
緋鹿子
(
ひがのこ
)
というんだと引立つんですけれどもね、半襟の引きはぎなんぞ短冊形に、
枕屏風
(
まくらびょうぶ
)
の張交ぜじゃあお座がさめるわね。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
紫の
矢絣
(
やがすり
)
の、色の薄いが
鮮麗
(
あざやか
)
に、
朱緞子
(
しゅどんす
)
に銀と観世水のやや幅細な帯を胸高に、
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の
背負上
(
しょいあ
)
げして、ほんのり桜色に上気しながら、こなたを見入ったのは、お妙である!
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の
襷掛
(
たすきが
)
けで、二の腕まで
露呈
(
あらわ
)
に白い、いささかも
黒人
(
くろうと
)
らしくなかったと聞いている。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の
背負上
(
しょいあげ
)
した、それしゃと見えるが
仇気
(
あどけ
)
ない娘
風俗
(
ふう
)
、つい近所か、日傘も
翳
(
さ
)
さず、可愛い素足に台所
穿
(
ばき
)
を引掛けたのが、紅と浅黄で羽を彩る
飴
(
あめ
)
の鳥と、
打切
(
ぶっきり
)
飴の紙袋を両の手に
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
煙は雪の振袖をふすべた。炎は
緋鹿子
(
ひがのこ
)
を燃え抜いた。緋の
牡丹
(
ぼたん
)
が崩れるより、
虹
(
にじ
)
が燃えるより美しかった。恋の火の白熱は、
凝
(
こ
)
って
白玉
(
はくぎょく
)
となる、その
膚
(
はだえ
)
を、氷った
雛芥子
(
ひなげし
)
の花に包んだ。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
唐縮緬
(
とうちりめん
)
の筒袖のへりを取った、継合わせもののその、
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の
媚
(
なまめ
)
かしさ。
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
なよなよとした
白縮緬
(
しろちりめん
)
、青味がかった水浅黄の蹴出しが見える、
緋鹿子
(
ひがのこ
)
で年が
少
(
わか
)
いと——お七の処、
磴
(
だん
)
が急で、ちらりと
搦
(
から
)
むのが、目につくと、
踵
(
かかと
)
をくびった白足袋で、庭下駄を
穿
(
は
)
いていました。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その都度秘蔵娘のお桂さんの
結綿
(
ゆいわた
)
島田に、
緋鹿子
(
ひがのこ
)
、
匹田
(
ひった
)
、
絞
(
しぼり
)
の
切
(
きれ
)
、色の白い
細面
(
ほそおもて
)
、目に
張
(
はり
)
のある、眉の優しい、純下町風俗のを、山が育てた白百合の精のように、袖に包んでいたのは言うまでもない。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と云って、肩でわざとらしくない
嬌態
(
しな
)
をしながら、片手でちょいと帯を
圧
(
おさ
)
えた。ぱちん
留
(
どめ
)
が少し
摺
(
ず
)
って、……薄いが
膨
(
ふっく
)
りとある胸を、
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の
下〆
(
したじめ
)
が、八ツ口から
溢
(
こぼ
)
れたように打合わせの
繻子
(
しゅす
)
を
覗
(
のぞ
)
く。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の上へ着たのを見て
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
緋
漢検準1級
部首:⽷
14画
鹿
常用漢字
小4
部首:⿅
11画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“緋鹿子”で始まる語句
緋鹿子絞