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綽名
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あだな
ふりがな文庫
“
綽名
(
あだな
)” の例文
と聲を掛けたのは、主人萬兵衞の
甥
(
をひ
)
で、藤屋の番頭をしてゐる喜八の女房、
綽名
(
あだな
)
がガラ留と言はれる、二十七八の大年増お留でした。
銭形平次捕物控:108 がらツ八手柄話
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
また白花蛇
楊春
(
ようしゅん
)
は、
蒲州
(
ほしゅう
)
解良
(
かいりょう
)
の人、
大桿刀
(
おおなぎなた
)
の達人だった。腰は細く、
臂
(
ひじ
)
は長く、
綽名
(
あだな
)
のごとき妖蛇の感じのする白面青気の男である。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「一人は才蔵と申します。若者の方でござります。山谷の霧を自在に使い隠見出没致しますため
霧隠
(
きりがくれ
)
という
綽名
(
あだな
)
がございますそうで」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
◎お乙女
姉
(
あね
)
さんはお仁王と
綽名
(
あだな
)
された丈け中々元気で、
雷
(
らい
)
が鳴る時などは向鉢巻をして大鼓を叩いてワイ/\と騒ぐ様な人でした。
千里の駒後日譚拾遺
(新字旧仮名)
/
川田瑞穂
、
楢崎竜
、
川田雪山
(著)
「ほほ、ごめんあそあせ、貴方には
百足
(
むかで
)
ちがいという
綽名
(
あだな
)
があるそうですけれど、それはどういう故事から出たのでございますか」
百足ちがい
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
そこの古着屋の娘に生れた、おつやというのがそのおばあさんの名だったが、役者買いと嫁いじめで、人よんで「鬼眼鏡」と
綽名
(
あだな
)
した。
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
先生という
綽名
(
あだな
)
を附けられて、からかわれている乞食だ。おい、奥田先生だって、やっぱり同じ事なんだぜ。あきらめろ、あきらめろ。
春の枯葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
というのは、ラ・フーイエットお
父
(
とっ
)
つあん(
樽
(
たる
)
のお父つあん)はその
綽名
(
あだな
)
にしごく相当していて、月に二、三回は酔っ払っていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ジーグフリードは、ニーベルンゲン族と闘って巨宝を獲たのであるが、それ以前、一匹の巨竜を殺したため、
殺竜騎士
(
ドラゴンスレーヤー
)
の
綽名
(
あだな
)
があった。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
すると
隣
(
となり
)
にいた沢村さんが、大きな声で、「青大将なのよ」とぼくのいちばん
嫌
(
きら
)
う
綽名
(
あだな
)
を呼んでから、気持よさそうに笑い出しました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
災厄をも親しく遇した。不運ともよく馴染み、その
綽名
(
あだな
)
を呼びかけるほどになっていた。「
鬼門
(
きもん
)
さん、今日は、」と彼はいつも言った。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
虎蔵の強盗時代の仕事ぶりは「ハヤテの虎」とか「カン虎」とかいう
綽名
(
あだな
)
と一緒に、ズット以前から、世間の評判になっていた。
白菊
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
定例の
袋敲
(
ふくろだゝ
)
きの制裁の席上、
禿
(
はげ
)
と
綽名
(
あだな
)
のある生意気な新入生の横づらを佐伯が一つ喰はすと、かれはしく/\泣いて廊下に出たが、丁度
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
アイヌが其先住者に與へたる
綽名
(
あだな
)
の一にして、此他にも種々の異名有りとの趣を述べしが、此所に其一二を説明して
住居考
(
ぢうきよかう
)
の
材料
(
ざいれう
)
とせん。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
僕は、自分の中の夢想児を責め
苛
(
さいな
)
んだ。つまり、窓を破壊したのだ。しかも僕の元来の
綽名
(
あだな
)
は「奇態な空想家」ではなかったか。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
脚絆に
草鞋
(
わらじ
)
がけという
実誼
(
じつぎ
)
な
装
(
なり
)
で一年の半分は山旅ばかりしているので、画壇では「股旅の三十郎」という
綽名
(
あだな
)
をつけている。
生霊
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
夜盗の
綽名
(
あだな
)
とは思ったが、それにしても、あの
粋
(
いき
)
で、いなせで、如何にも明るく、朗かな若者が、そうした者とも思われない。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
言葉の間に「絲瓜」といふことを挾むのが千代松の癖で、村の人々は「絲瓜の千代さん」といふ
綽名
(
あだな
)
を
命
(
つ
)
けてゐるのである。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「お嬢さんが私にお父さんの
綽名
(
あだな
)
を教えて下さいましたわ。何処かの中学校では
閻魔
(
えんま
)
の
塩辛
(
しおから
)
とついていたそうでございます」
ロマンスと縁談
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
といって、常日ごろ、ばかに年寄りじみたことをいうので、“お
爺
(
じい
)
”と
綽名
(
あだな
)
のある丸本水夫だが、すこし
当惑
(
とうわく
)
の色が見える。
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それに師匠とたのむ馬翁というのは、学問はあるに違いないが、ひどく癖のある老僧で、美濃の荒れ馬と
綽名
(
あだな
)
されるほど人当りが
苛酷
(
かこく
)
だった。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
九十九里ヶ浜の生まれで、子供のときから泳ぎが上手で、二里や三里は苦もなく泳ぐというので、海坊主という
綽名
(
あだな
)
を取ったくらいの奴です。
半七捕物帳:32 海坊主
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
これは
針
(
はり
)
ヶ
別所
(
べっしょ
)
というところに住んでいて、表面は猟師、内実は
追剥
(
おいはぎ
)
を働いていた「
鍛冶倉
(
かじくら
)
」という
綽名
(
あだな
)
の悪党であります。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
綽名
(
あだな
)
にまで取った、「勘弁ならねえ」を連発しながら、勘弁勘次は職掌柄人波を分けて細目に開けた格子戸の前に立った。
釘抜藤吉捕物覚書:01 のの字の刀痕
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
又、手紙故に、「珍品」という
綽名
(
あだな
)
を貰って腎臓炎を起した一国の宰相もある。そう考えると、静也は手紙を書くのが恐ろしくてならなかった。
死の接吻
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
どっしりと落ちついて、思いやりがあり、しかも頭がいいので、「
親爺
(
おやじ
)
」という
綽名
(
あだな
)
でみんなに親しまれていた。とりわけ恭一は彼に親しんだ。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
それがめずらしいといって遠くから見物に来る人が多く、
半瓦
(
はんがわら
)
の弥次兵衛という
綽名
(
あだな
)
がつけられて、大評判であったという
逸話
(
いつわ
)
も伝わっている。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
と厭に
絡
(
から
)
んで云いがゝりますも、
蝮
(
まむし
)
と
綽名
(
あだな
)
をされる甚藏でございますから、うっかりすれば喰付かれますゆえ、仕方なく
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ボオドレヱルは「自我崇拝閣下」と
綽名
(
あだな
)
された。けれども一方、会衆の前に
飄然
(
へうぜん
)
として出て来て、「君、赤ン坊の脳髄を食つたことがありますか」
夭折した富永太郎
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
半東洋風の黒い頭髪をロジェル・エ・ギャレ会社の製品で水浴用
護謨
(
ごむ
)
帽子のように装飾して——で、私は彼にひそかにこの
綽名
(
あだな
)
を与えたわけだが
踊る地平線:11 白い謝肉祭
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
家柄は禰宜様——神主——でも彼はもうからきし
埒
(
らち
)
がないという意味で、禰宜様宮田という
綽名
(
あだな
)
がついているのである。
禰宜様宮田
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
青いポアンといふ
綽名
(
あだな
)
がこの少女の口から
漏
(
も
)
れ、一群の少女たちの間に拡つたのはそれから間もないことだつた。その上級生の名は
劉子
(
りゅうこ
)
といつた。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
ホラ、この町を毎日のようにうろうろした変な
婦人
(
おんな
)
が有りましたろう。皆さんで『カロリイン夫人』だなんて
綽名
(
あだな
)
をつけた婦人が有りましたろう。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
振り向いて、あツドラ猫だ。宮城といふ受持の教師だつたが、
咄嗟
(
とつさ
)
にその名は想ひ出せず、思はず、
綽名
(
あだな
)
を口走つた。
六白金星
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
那麽
(
あんな
)
小い人も滅多にありませんねえ、
家
(
うち
)
ぢや小供らが、誰が教へたでもないのに三尺さんといふ
綽名
(
あだな
)
をつけましてね。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
もちろん夥しい報酬を獲たがなお慾張って、廟に掲ぐる前に、見料先払いでその画を観せ、大儲け、因ってこの画のヘレナを遊君と
綽名
(
あだな
)
したという。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
『先生』と
綽名
(
あだな
)
のついた老人のセミョーンと、誰も名を知らない若い
韃靼
(
ダッタン
)
人が、川岸の焚火の傍に坐っていた。残る三人の渡船夫は小屋のなかにいる。
追放されて
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それでサクソモアイェプ(sak-somo-aye-p 夏には言われぬ者)とも
綽名
(
あだな
)
されている。そのかわり寒さには弱くて体の自由がきかない。
えぞおばけ列伝
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
綽名
(
あだな
)
はほんらい失礼な代物だが、落語家などにはこれも一つの人気の現われ、誰がつけるともなしに呼び馴れて、高座へ上るといきなりに飛ばされる。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
湯呑所
(
ゆのみじょ
)
には例のむずかしい顔をした、かれらが「
般若
(
はんにゃ
)
」という
綽名
(
あだな
)
を
奉
(
たてまつ
)
った小使がいた。
舎監
(
しゃかん
)
のネイ将軍もいた。当直番に当たった数学の教師もいた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
誰もかまってくれないところから、
綽名
(
あだな
)
のように附けられたものである。ジーモンの私生子。フリードリヒとの酷似がいっそうよくそれを説明している。
ユダヤ人のブナの木:山深きヴェストファーレンの風俗画
(旧字新仮名)
/
ドロステ=ヒュルスホフアネッテ・フォン
(著)
と、いう
綽名
(
あだな
)
を
貰
(
もら
)
っていましたが、いい
卵
(
たまご
)
を
生
(
う
)
むので、これも
女御主人
(
おんなごしゅじん
)
から
娘
(
むすめ
)
の
様
(
よう
)
に
可愛
(
かわい
)
がられているのでした。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
何処
(
どこ
)
となく顔の容子が狐に似ているとかで、こんこんさんと
綽名
(
あだな
)
をされた人で、変り者でありましたがこの人も定次郎氏と一緒に朝夕遊びに来ていました。
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
黒吉は、彼女の口から「虫」といういやな
綽名
(
あだな
)
を聴くと、苦汁を飲まされたような気がして、黙って仕舞った。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
いわゆる
黄金崇拝
(
おうごんすうはい
)
物質的の米国などと
綽名
(
あだな
)
されてあるこの国民が
奢侈
(
しゃし
)
贅沢
(
ぜいたく
)
の
弊害
(
へいがい
)
に
陥
(
おちい
)
る傾向が割合いに少ない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
家中では霞の半兵衛という
綽名
(
あだな
)
の
出来
(
でき
)
ている位槍をもたしては名誉の武士であった。又右衛門が鍵屋の辻で
鍵屋の辻
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「お前も喜んでおやり、きみ子はお母さんから
金鵄
(
きんし
)
勲章をいただいたから」といわれたので、それから暫くの間、私は金鵄勲章という
綽名
(
あだな
)
が附けられました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
殊にその海賊の首領は、頭に角が一本ある鬼で、船には
守神
(
まもりがみ
)
として黄金の
猫
(
ねこ
)
をもつてるといふので、「
金
(
きん
)
の
猫
(
ねこ
)
の鬼」と
綽名
(
あだな
)
されてる、気性の荒々しい大男でした。
金の猫の鬼
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
もう一つ困るのは、松山中学にあの小説の中の
山嵐
(
やまあらし
)
という
綽名
(
あだな
)
の教師と、
寸分
(
すんぶん
)
も
違
(
たが
)
わぬのがいるというので、漱石はあの男のことをかいたんだといわれてるのだ。
僕の昔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
母は別にそれを改めさせようともせず、自分でも蔭では「ヒゲ」という
綽名
(
あだな
)
で侮蔑的に彼を
称
(
よ
)
んでいた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
“綽名(
愛称
)”の解説
愛称(あいしょう)とは、とくに親しみを込めて対象を呼ぶために用いられる、本名以外の名前の一種である。あだな(渾名・綽名)、ニックネーム(英語:nickname)、ペットネーム(英語:petname)ともいう。
なお、「仇名・徒名」も「あだな」と読むが、こちらは悪評、事実無根の評判、男女関係についての噂を意味する語で、「渾名・綽名」とは意味が異なる。
(出典:Wikipedia)
綽
漢検1級
部首:⽷
14画
名
常用漢字
小1
部首:⼝
6画
“綽”で始まる語句
綽々
綽号
綽
綽空
綽號
綽約
綽然
綽々然