“あだな”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
綽名61.2%
渾名24.0%
仇名7.7%
諢名4.3%
綽号1.7%
綽號0.6%
異名0.2%
綺名0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
また白花蛇楊春ようしゅんは、蒲州ほしゅう解良かいりょうの人、大桿刀おおなぎなたの達人だった。腰は細く、ひじは長く、綽名あだなのごとき妖蛇の感じのする白面青気の男である。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平の好風よしかぜに子が三人ある、丁度その次男に生まれたから、平中へいちゆう渾名あだなを呼ばれたと云ふ、わたしの Don Juan の似顔である。
好色 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「あら、いいじゃないの」と女が云った、「さぶちゃんに栄ちゃんね、あたしおかめ——仇名あだなじゃなくって本名なのよ、どうぞよろしく」
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
壁代かべしろのやうな焔を後にして、娘の肩にすがつてゐるのは、堀河の御邸に繋いであつた、あの良秀と諢名あだなのある、猿だつたのでございますから。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
兼吉は綽号あだなを鳥羽絵小僧と云った。想うに鳥羽屋の小僧で、容貌ようぼうが奇怪であったからの名であろう。即ち後の仮名垣魯文かながきろぶんである。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
見事みごと圖星づぼし射中いあてたといふ弓取ゆみとりのキューピッドになんとか綽號あだなでもけさっしゃい。
オホヽヽヽ養母おつかさん、逆上のぼせあがつてだけは取消にして、下ださい、外聞が悪いから——それや、狸々しやう/″\花吉と異名あだな取る程、酒をみますよ、俳優買やくしやかひでは毎々新聞屋の御厄介にもなりますよ、養母おつかさん
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
生来うまれつき頭脳あたまはそんなに悪いとは思いませんけれど、いたって挙動が鈍く手先が不器用ですから、小学校時代には「のろま」中学校時代には「愚図ぐず」という月並な綺名あだなを貰いました。
痴人の復讐 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)