小酒井不木氏スケッチ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
同じ国内から選び出された騎手は武者振いして、馬の平首を撫でながら、我こそという意気を眉宇の間にかがやかしています。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
銭形平次捕物控:155 仏像の膝 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
東屋氏の眉宇に、ふと不安の影が掠めた。——もしも、このままで釧路丸が来なかったとしたら、夜が来る。夜が来れば、大事な目標の鯨群は、いやでも見失わねばならない。
いずれも必勝の気をその眉宇にみなぎらして、ずらりそこに馬首を打ち揃えましたものでしたから、犬公方初め場内一統のものが、等しくどよめき立ったのは当然なことでした。
旗本退屈男:03 第三話 後の旗本退屈男 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
そういう性質はずっと後になっても、眉宇の間に現われていて、或る人々から誤解されたり、余り好かれなかったりしたというのは、そんな点の現われた所であったろうと思う。
「鏡花全集」目録開口 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
へえ、どうぞ、と彦太郎も半信半疑ながら、頭を下げた。三十四五の浅黒い顔に広い額が秀で、いかにも精悍な気が眉宇に溢れていた。何処かで見たような顔だと思ったが、思い出せなかった。
彼の眉宇に決意がながれた。
現代語訳 平家物語:05 第五巻 (新字新仮名) / 作者不詳(著)
半兵衛の眉宇を見つめたまま、樋口三郎兵衛はややしばし黙然としていたが、静かに、その眼を閉じると、はふり落つる涙と共に手をつかえて
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
銭形平次捕物控:068 辻斬綺談 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
右門捕物帖:11 身代わり花嫁 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
女中たちは命じられたまま、燭台の幾つかを廊下へ出して花のごとく居流れたものの、一脈の殺気、殿の眉宇から流れて、なんとなく恐ろしい。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)