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独楽
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ふりがな文庫
“
独楽
(
こま
)” の例文
旧字:
獨樂
あっと云う
間
(
ま
)
もなく風を切って、
独楽
(
こま
)
のようにくるくるまわりながら、見る見る中に暗の底へ、まっさかさまに落ちてしまいました。
蜘蛛の糸
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私は
独楽
(
こま
)
の研究が専門ですが、今日の飛行機にジャイロスコープをしかけますと、空中でちゃんとスタビリチー(安定)が取れます。
空中征服
(新字新仮名)
/
賀川豊彦
(著)
太閤様を笑わせ、千利休を泣かせるのは
曾呂利
(
そろり
)
新左衛門に任す。白刃上に
独楽
(
こま
)
を舞わせ、扇の
要
(
かなめ
)
に噴水を立てるのは
天一天勝
(
てんいちてんかつ
)
に委す。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
とうとうとムダ口をしゃべって
大人
(
おとな
)
の
見物
(
けんぶつ
)
をけむにまいた
蛾次郎
(
がじろう
)
は、そこでヤッと気合いをだして、右手の
独楽
(
こま
)
を
虚空
(
こくう
)
へ高くなげた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
クリヴォフ夫人の赤毛が陽に
煽
(
あお
)
られて、それがクルクル廻転するところは、さながら
焔
(
ほのお
)
の
独楽
(
こま
)
のようにも思えたであろうし、また
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
▼ もっと見る
彼等は
紙鳶
(
たこ
)
をあげ、
独楽
(
こま
)
を廻し、泥で菓子をつくり、小さな
襤褸
(
ぼろ
)
の人形をつくる。襤褸人形には、実に妙な格好をしたのがある。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
路
(
みち
)
の角に車夫が五六人、
木蔭
(
こかげ
)
を選んで
客待
(
きやくまち
)
をして
居
(
ゐ
)
た。
其傍
(
そのかたはら
)
に小さな宮があつて、
其
(
その
)
広場で、子供が
集
(
あつま
)
つて
独楽
(
こま
)
を廻して
居
(
ゐ
)
た。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
決断しなければならぬという恐ろしい瞬間が近づき、エリザベスの心は
独楽
(
こま
)
のようにまわった。彼女は激情と激怒でいっぱいになってきた。
エリザベスとエセックス
(新字新仮名)
/
リットン・ストレイチー
(著)
大きな山をいくつもいくつも寄せ集め、
独楽
(
こま
)
のようにぶっつけあわしたとでもいうような大波が、白いしぶきをあげて走っているのだった。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
独楽
(
こま
)
のようにぶん廻った。しかも少しも音を立てない。十回あまりも繰り返した。しかし憎むべき
嘲弄者
(
ちょうろうしゃ
)
を、発見することは出来なかった。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そうだ、ちょうど「
白金
(
はっきん
)
の
独楽
(
こま
)
」や「
雲母
(
きらら
)
集」の詩や歌の出来た頃だ。ある晩坐っていると、筆がおもしろいくらい動くのだ。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
他の三人の少年たちは
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のようにへたばった。と、次の瞬間には、部屋全体がきりきりきりと
独楽
(
こま
)
のように廻り出した。
火星探険
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
翁はじっとしていられなくなって廻された
独楽
(
こま
)
のように身体のしん棒で立上った。娘をはたっと
睨
(
にら
)
み、焦げつく声でいった。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
こう考えたとき、僕は、
独楽
(
こま
)
のように、ぐるぐる廻る幽霊船の甲板で、大空へ脱れ出る方法について、工夫を
凝
(
こら
)
すだけの、心の余裕を生じた。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
謡曲の筋書をした絵本やら、そんなものを有るに任せて見ていて、
凧
(
たこ
)
と云うものを揚げない、
独楽
(
こま
)
と云うものを廻さない。
サフラン
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
凧を持ったのは凧を上げ、
独楽
(
こま
)
を持ちたるは独楽を廻す。手にものなき
一人
(
いちにん
)
、一方に向い、凧の糸を手繰る真似して笑う。
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
大きな美しい
独楽
(
こま
)
などが、同じように飛び出したキャラメルや、ボンボン、チョコレートの動物などに入れ混って散乱し
寒の夜晴れ
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
……この頃、順一は身も心も
独楽
(
こま
)
のようによく廻転した。高子を疎開させたものの、町会では防空要員の疎開を拒み、移動証明を出さなかった。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
暗闇
(
くらやみ
)
を検査する
為
(
ため
)
に蝋燭を
点
(
とも
)
したり、
独楽
(
こま
)
の運動を吟味する
為
(
ため
)
に
独楽
(
こま
)
を
抑
(
おさ
)
へる様なもので、生涯
寐
(
ね
)
られつこない訳になる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
こんな
遊
(
あそ
)
びは、たとえば
独楽
(
こま
)
にせよ、ピストルにせよ、はやったかと
思
(
おも
)
うと、すたれ、すたれたかと
思
(
おも
)
うと、はやり
出
(
だ
)
すというふうでありました。
日月ボール
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
はあはあ言いながら——松井
源水
(
げんすい
)
の
独楽
(
こま
)
廻しでも見るような心持で——聴くことは、どうも、相すまぬことながら私の性に合わなかったのである。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
憤激の頂点で、
独楽
(
こま
)
のように廻っている秋蘭を見ていると、参木は自分の面上を撫で上げられる逆風を感じて横を見た。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
吾等が棲む地球はその姉妹なる諸遊星と
独楽
(
こま
)
のように廻りながら太陽の周囲を不断週遊しているのであると講釈する。なるほどこれで大体は正しい。
宇宙の二大星流
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その頃、男の子の春の遊びというと、
玩具
(
おもちゃ
)
では
纏
(
まとい
)
や
鳶口
(
とびぐち
)
、外の遊びでは竹馬に
独楽
(
こま
)
などであったが、第一は凧である。
凧の話
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
あちこちに蛇が見えたが、その中の一匹は岩棚から鎌首をあげて、
独楽
(
こま
)
の𢌞るような音を立てながら私を睨んでいた。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
倒した木は分捕るという事が
流行
(
はや
)
った、
独楽
(
こま
)
もよくやったもので、前の独楽を、後の独楽で廻いを止める事をした。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
鋭い横胴、危うし! と見る刹那、又平の体は
独楽
(
こま
)
のように舞って左へ転ずる。力余ってだだだっとのめる兵右衛門、
見縊
(
みくび
)
っていただけに怒りを発して
半化け又平
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ここで
紙鳶
(
たこ
)
をあげた、
独楽
(
こま
)
を廻した。戦争ごっこをした、縄飛びをした。われわれの跳ねまわる舞台は、いつもかの黒塀と樫の木とが背景になっていた。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
子供の
群
(
むれ
)
がめんこや
独楽
(
こま
)
の遊びをしている
外
(
ほか
)
には至って人通りの少い
道端
(
みちばた
)
の
格子戸先
(
こうしどさき
)
で、
張板
(
はりいた
)
に
張物
(
はりもの
)
をしていた。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「スピンアトップ・スピンアトップ・スピンスピンスピン——回れよ
独楽
(
こま
)
よ、回れよ回れ」と彼の母は続けた。
地球儀
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
二人が八幡さまの石鳥居の前を通りかゝると、そこで、
独楽
(
こま
)
を持つて、ひとりでしよぼんとしてゐたけん坊が
疣
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
なかんずく欲しがったのは厚いかね胴の
独楽
(
こま
)
、もちろんあぶない代物だから、ねだっても買ってはくれず、薄い奴では幅が利かず、子供心にやきもきした。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
地球は太陽の前で、ちやうど
独楽
(
こま
)
のやうに廻つて、次ぎ/\にその違つた処を太陽の光線にさらしてゐるのだ。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
自動車のスリップは、非常に怖いもので、相当速度の出ている時に、急にブレーキを踏むと、車体がぐるぐると
独楽
(
こま
)
のように廻って、どこへ行くか分らない。
ウィネッカの冬
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
大理石の
卓子
(
テーブル
)
の上に肱をついて、
献立
(
こんだて
)
を書いた茶色の紙を挾んである金具を
独楽
(
こま
)
のように廻していた忠一が
明るい海浜
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
実際あり来たりの
独楽
(
こま
)
、
凧
(
たこ
)
、太鼓、そんな物に飽きたお屋敷の子は
珍物
(
めずらしもの
)
好きの心から
烈
(
はげ
)
しい異国趣味に陥って何でも上等舶来と言われなければ喜ばなかった。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
路傍に
茣蓙
(
ござ
)
を敷いてブリキの
独楽
(
こま
)
を売っている老人が、さすがに怒りを浮かべながら、その下駄を茣蓙の端のも一つの上へ重ねるところを彼は見たのである。
冬の日
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
けれど其丸い者と云うのは何だえ(大)色々と考えましたが外の品では有ません
童子
(
こども
)
の
旋
(
まわ
)
す
独楽
(
こま
)
であります
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
もとより「こけし」のみならず
挽物
(
ひきもの
)
で
独楽
(
こま
)
だとか
針入
(
はりいれ
)
だとか様々な玩具も作ります。仙台市の木下薬師で売る
木下駒
(
きのしたごま
)
は忘れ難い郷土玩具の一つといえましょう。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
糸を紡ぐといったところで
紡車
(
つむぎぐるま
)
がある訳じゃない。細い竹の棒の先に円い
独楽
(
こま
)
のようなものが付いてある。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そしてこの地球自身の回転について、たとへば
独楽
(
こま
)
のやうに、まん中に一本の軸があると仮定してみますと、その軸の一端が北となり、他の一端が南となります。
北極のアムンセン
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
従弟
(
いとこ
)
と私の妹おまっちゃんと三人で、赤大根を見た時、お皿の上で、葉をつまんで
独楽
(
こま
)
のように廻した。
旧聞日本橋:14 西洋の唐茄子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ポパイはクルクルと
独楽
(
こま
)
のように廻りながら、悲しいなき声を残して、水中に姿を消してしまいました。
新宝島
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
子供が池に帆のある船を浮かべたり、
独楽
(
こま
)
や輪を廻して遊んだりするのはナシヨナル
読本
(
とくほん
)
の中の景色だ。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
磯五は、ほう、ほうというような、
鴎
(
かもめ
)
の鳴くような声を絞って、二人の女を振り切ろうとしてあばれていた。それは、火の中で
独楽
(
こま
)
がまわっているように見えた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
今は風があんまり強いので
電信柱
(
でんしんばしら
)
どもは、
本線
(
ほんせん
)
の方も、
軽便鉄道
(
けいべんてつどう
)
の方もまるで気が気でなく、ぐうん ぐうん ひゅうひゅう と
独楽
(
こま
)
のようにうなっておりました。
シグナルとシグナレス
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
かれ等の為めに玩具を作つて遣り、紙鳶を飛ばして遣り、
独楽
(
こま
)
を廻して遣り、また幽霊や、魔女や、銅色人種の面白い語をして遣るのは、此人の外にはないからです。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
踊屋台
(
おどりやたい
)
がくる、地走り踊がくる、
獅子頭
(
ししがしら
)
、
大神楽
(
だいかぐら
)
、底抜け屋台、
独楽
(
こま
)
廻し、
鼻高面
(
はなたかめん
)
のお天狗さま。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
耳まで
鞘
(
さや
)
を払った刀身の如く、鋭利になって、触るれば手応えあらんずるとき、幻は微小なる黒体となって、
毬
(
まり
)
の如く
独楽
(
こま
)
の如くに来た、この黒体が
只
(
ただ
)
一つ動くために
奥常念岳の絶巓に立つ記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
独楽
(
こま
)
が
流行
(
はや
)
っている時分だった。弟の藤二がどこからか健吉が使い古した古独楽を探し出して来て、左右の
掌
(
てのひら
)
の間に三寸釘の頭をひしゃいで通した心棒を挾んでまわした。
二銭銅貨
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
“独楽”の意味
《名詞》
独 楽(どくらく)
ひとりだけで楽しむこと。
こま。おもちゃの一種。
(出典:Wiktionary)
“独楽”の解説
独楽(こま)は、何らかの塊を軸を中心として回転させて遊ぶ伝統的な玩具の一種。軸の先は細くなっており、周りにバランスをとるための重りがついている。
(出典:Wikipedia)
独
常用漢字
小5
部首:⽝
9画
楽
常用漢字
小2
部首:⽊
13画
“独楽”で始まる語句
独楽鼠
独楽廻
独楽戦
独楽唫
独楽師
独楽鍛冶