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そうかい
ふりがな文庫
“
爽快
(
そうかい
)” の例文
翠色
(
すいしょく
)
滴
(
した
)
たる草木の葉のみを望んでも、だれもその美と
爽快
(
そうかい
)
とに打たれないものはあるまい。これが一年中われらの周囲の
景致
(
けいち
)
である。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
しかも同一展望でも、仁田峠より更に約一千尺を
上
(
のぼ
)
ったこの絶頂からそれを眺める時、
爽快
(
そうかい
)
の感情が加わること、いうまでもない。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
こう一気に書いて来て、宋江はその
溌墨
(
はつぼく
)
の匂いとともに、心気すこぶる
爽快
(
そうかい
)
になった。無性に、何かうれしくなり、つづいてその後に。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼らには無為怠慢の長い期間が必要だった。そしてそれから出て来ると、あたかも熟睡のあとのように
爽快
(
そうかい
)
に元気になっていた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
鼻汁をかんだ
爽快
(
そうかい
)
等だ、それからノミや
南京
(
ナンキン
)
虫にかまれた処をかいて快味を
味
(
あじわ
)
って、しばらくこの世の苦労を忘れようとしたのであった。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
▼ もっと見る
己は根岸の家の鉄の扉を走って出たときは血が
涌
(
わ
)
き立っていた。そして何か分からない
爽快
(
そうかい
)
を感じていた。一種の力の感じを持っていた。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
よく切れる鎌で
薙
(
な
)
いで行くのは
爽快
(
そうかい
)
なものである。また草の根をぶりぶりかき切るのも痛快なものである。かゆい所をかくような気がする。
路傍の草
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
また、われわれの精神の内を顧みるも、やはり
爽快
(
そうかい
)
絶妙の理想を蓄うることが分かります。これまた、宇宙そのものの真相たるに相違ない。
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
振りかえって、ぼくは自分の強さの確認と、専心していたスポーツに一段落のついた
爽快
(
そうかい
)
で無心な気分から、ほがらかに山口を見て笑った。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
久しぶりで充分に腕だめしをして、彼の全身は
爽快
(
そうかい
)
な疲れと満足に
溢
(
あふ
)
れていた。そのうえ仕官の望みは九分どおり確実である。
雨あがる
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
白雲の豪壮な体躯と、
爽快
(
そうかい
)
なる
咽喉
(
のど
)
から、この詩が
迸
(
ほとばし
)
り出でる時、茂太郎は笛をやめて、白雲の咽喉の動くのを見つめていたことがあります。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
榊はそれを語ろうともしなかった。唯、前途を語った。やがて、若々しい、
爽快
(
そうかい
)
な笑声を残して、正太と一緒に席を立った。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかし彼女はこの言を耳にも入れない、空想の金髪の娘よ! 要するに彼女のうちにあるものは、新鮮、
爽快
(
そうかい
)
、青春、朝の穏やかな光である。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
男一
匹
(
ぴき
)
なる句は一種
爽快
(
そうかい
)
なる感想を人に与える。わが輩はその出所を知らぬが、おそらくは徳川時代の産物であろう。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
上より
見下
(
みおろ
)
す花笠日傘の行列と左右なる家屋との対照及びその遠近法はいふまでもなく
爽快
(
そうかい
)
極
(
きわま
)
りなき感を与ふ。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
胸中に何のこだわるところもなくなった。これでもう僕も、完成せられたという
爽快
(
そうかい
)
な満足感だけが残った。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ことに朝はやく起きて海岸を散歩したり、しめっぽい
朝霧
(
あさぎり
)
のこめた田や畑の間を散歩したりなんかするときの
爽快
(
そうかい
)
さは、何とも言いようのない喜びであった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
うまければ栄養は申し分なく発揮され、身心
爽快
(
そうかい
)
、健康成就と落ちつくのである。こうなれば料理の考え方も芸術的になり、おもしろくもなるというのである。
美食七十年の体験
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
氷塊
(
こおり
)
の打ち合う音 その
氷塊
(
こおり
)
と氷塊が打ち合って非常に凄じい響の聞えた時は実に
爽快
(
そうかい
)
に感じた。またその氷に日光が反射する
塩梅
(
あんばい
)
がいかにも美しく見られたです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
軽い朝風の
膚
(
はだ
)
ざわりは
爽快
(
そうかい
)
だったが、太陽の光熱は強く、高原の夏らしい感じだった。そうしているうちに加世子も女中と一緒に、タオルや
石鹸
(
シャボン
)
をもって降りて来た。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そうして
爽快
(
そうかい
)
なシャワア、いかにも気持ちが好さそうで、法華寺の浴室とは大変な違いである。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
未明の冷気の熱汗をほとばせる
爽快
(
そうかい
)
味はえもいわれず、誘いあわせて、霜ばしらを踏んでくる城下の若侍たちひきもきらず、およそ五十畳も敷けるかと思われる大板の間が
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
茶は風流な遊びではなくなって、
自性了解
(
じしょうりょうげ
)
の一つの方法となって来た。
王元之
(
おうげんし
)
は茶を称揚して、直言のごとく霊をあふらせ、その
爽快
(
そうかい
)
な苦味は善言の
余馨
(
よけい
)
を思わせると言った。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
単に自分の好奇心を満足させるばかりではない。目下研究の学問に対してもっとも興味ある材料を給与する
貢献
(
こうけん
)
的事業になる。こう態度が変化すると、精神が急に
爽快
(
そうかい
)
になる。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私はこの記事を新聞で読んだとき、そぞろに
爽快
(
そうかい
)
な
戦慄
(
せんりつ
)
を禁じることができなかった。
闇の絵巻
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
鳥の歌、小川のささやき、
息吹
(
いぶ
)
いている春の香り、やわらかい夏の官能、黄金色の秋の盛観、さわやかな緑の衣をつけた大地、
爽快
(
そうかい
)
な
紺碧
(
こんぺき
)
の大空、そしてまた豪華な雲が群がる空。
クリスマス
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
その上の麓の
彩雲閣
(
さいうんかく
)
(名鉄経営)の
楼上
(
ろうじょう
)
で、隆太郎のいわゆる「
香
(
にお
)
いのする
魚
(
うお
)
」を冷たいビールの乾杯で、初めて
爽快
(
そうかい
)
に風味して、ややしばらく
飽満
(
ほうまん
)
した、その
後
(
ご
)
のことであった。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
夕方帰路につき、三人が百万遍で電車を下りるとバラバラにめいめいの家に帰る。今日はあまりに
爽快
(
そうかい
)
な時を過したので、夜もブランデーの卓を囲む気分にはなれなかった。………
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
こんな風に一切の絶対主義の敵として躍りだす際の彼の
面
(
つら
)
だましいには、われわれが習慣的に抱いているチェーホフの概念とはひどく懸けはなれた、
爽快
(
そうかい
)
なまでに不敵なものがある。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
はき出したあとで口をあけて空気をすいこむと、これはまた、なんという
爽快
(
そうかい
)
なことだろう! 久助君の小さな口の中に、すずしい秋の朝が、ごっそりひとつはいりこんだみたいだ。
嘘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
また早起きの味がこんなにも
爽快
(
そうかい
)
なものとは知らなかった。
焜炉
(
こんろ
)
に火をおこし、メリーと自分のために野菜を煮るのだが、私の心はまるで幼妻のそれのようにいそいそしているのだ。
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
前の庭の
若楓
(
わかかえで
)
と
柏
(
かしわ
)
の木がはなやかに繁り合っていて、何とはなしに
爽快
(
そうかい
)
な気のされるのをながめながら、源氏は「和しまた清し」と詩の句を口ずさんでいたが、玉鬘の豊麗な
容貌
(
ようぼう
)
が
源氏物語:24 胡蝶
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
山葵
(
さび
)
のきいたのを口にふくむと鼻の裏側をキュッとくすぐられる、あの一種の快さ、あれにちょっと似た不思議な
爽快
(
そうかい
)
感を与える声で、少なくとも私には少なからず魅力的であった。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
適度に感ずる時は
爽快
(
そうかい
)
であり、
且
(
かつ
)
又健康を保つ上には何びとにも絶対に必要である。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
先刻
(
さっき
)
、横浜駅前の(現今の
桜木町
(
さくらぎちょう
)
駅)
鉄
(
かね
)
の橋を横に見て、いつもの通り、
尾上町
(
おのえちょう
)
の方へ出ようとする
河岸
(
かし
)
っぷちを通ると、
薄荷
(
はっか
)
を製造している薄荷の
香
(
にお
)
いが、
爽快
(
そうかい
)
に鼻をひっこすった
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
この日、先生
頗
(
すこぶ
)
る
心
(
こころ
)
能
(
よ
)
げに
喜色
(
きしょく
)
眉宇
(
びう
)
に
溢
(
あふ
)
れ、言語も
至
(
いたっ
)
て
明晰
(
めいせき
)
にして
爽快
(
そうかい
)
なりき。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
みなさんの責任は無上に重くはなるが、この想像はかなり
爽快
(
そうかい
)
なものだと思う。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
爽快
(
そうかい
)
な句である。湯上りの若葉月夜などは、考えただけでもいい気持がする。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
パデレフスキーでは「第一番の円舞曲」の壮麗さは、吹込みは古いがさすがに超大家の
俤
(
おもかげ
)
がある(ビクターVD八)。ギーゼキングの「小犬のワルツ」(コロムビアJ五六〇四)の
爽快
(
そうかい
)
さ。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
こういう時は、
医師
(
いしゃ
)
の友達は
頼母
(
たのも
)
しかろう。ちと処方外の療治だがね、同じ
葡萄酒
(
ぶどうしゅ
)
でも薬局で
喇叭
(
らっぱ
)
を
極
(
き
)
めると、何となく
難有味
(
ありがたみ
)
が違って、
自
(
おのずか
)
ら精神が
爽快
(
そうかい
)
になります。しかし
怯
(
おび
)
えたっけ、ははは。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
青春は
昔
(
むかし
)
も今も変りません。二人は今の青年男女が野天のプールで泳ぐように、満身に
陽
(
ひ
)
を浴びながら
水沫
(
しぶき
)
を跳ね飛ばして他愛もなく遊んでいます。あまりの
爽快
(
そうかい
)
さに時の経つのも忘れていました。
鯉魚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
と、朗らかな声でそう叫んで、とても
爽快
(
そうかい
)
に大笑いした。
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
久しぶりに
爽快
(
そうかい
)
な気を味わったが、時刻はいたって都合が悪い、もう
夜半
(
よわ
)
もすぎてやがて五
更
(
こう
)
になる頃おい、宿をとる間はなし
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おしまいにはかえって一種の適度な
爽快
(
そうかい
)
な刺激として、からだを引きしめ、歩調を整えさせる拍節の音のようにも感ぜられるようになって来た。
試験管
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
爽快
(
そうかい
)
な嘘を吐くものかなと僕は内心おかしかった。けれどこれしきの嘘には僕も負けてはいないのである。
彼は昔の彼ならず
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
保馬はその風のなかを
爽快
(
そうかい
)
にとばしていった。望湖庵へ登る山道では、落葉が雨のように舞っていた。
いしが奢る
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
未来の夫としてお俊が
択
(
えら
)
んだ人は、丁度彼女と同じような旧家に生れた
壮年
(
わかもの
)
であった。ふとしたことから、彼女はその
爽快
(
そうかい
)
で沈着な人となりを知るように成ったのである。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
酒の
肴
(
さかな
)
に不向きなまぐろで
辛抱
(
しんぼう
)
してきたであろう江戸人……、肉のいたみやすいめじまぐろに飽きはてた江戸人が、目に
生新
(
せいしん
)
な
青葉
(
あおば
)
を見て
爽快
(
そうかい
)
となり、なにがなと望むところへ
いなせな縞の初鰹
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
エロチックの方面の生活のまるで
瞑
(
ねむ
)
っている秀麿が、平和ではあっても陰気なこの家で、心から
爽快
(
そうかい
)
を覚えるのは、この小さい小間使を見る時ばかりだと云っても好い位である。
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
見下ろしている下界とは距離のある不思議なほど
爽快
(
そうかい
)
な気分が、いまにも落ちるのではないかという本能的な恐怖心といっしょに、ぼくにつづいていたし——いや、ことによると
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
爽
常用漢字
中学
部首:⽘
11画
快
常用漢字
小5
部首:⼼
7画
“爽快”で始まる語句
爽快味
爽快感