やけ)” の例文
新字:
此燒土このやけつちついて、武内桂舟畫伯たけうちけいしうぐわはくせつがある。陶器通たうきつう立場たちばからしてかんがへてたので、つちやけさうすまでくといふのは、容易よういでない。
おつぎは浴衣地ゆかたぢあかおびめた。勘次かんじこん筒袖つゝそで單衣ひとへやけあしみじかすそからた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
引捕ひきとらへ大事の御預り者いづれへ行るゝやととがむるにお政は南無三と思ひ無言にてそで振拂ふりはら駈出かけいだすをコレ/\やけてはぬぞ此騷このさわぎを幸ひににげやうとてにがしはせじと又引止るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
やあ、えらいことりました。……柳原やなぎはらやけあとへ、うです。……夜鷹よたかよりさき幽靈いうれいます。……わかをんな眞白まつしろなんで。——自警隊じけいたい一豪傑あるがうけつがつかまへてると、それがばゞあだ。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
じつまたじつかれかせぎにかせぎ、百姓ひやくしやう勿論もちろんすみやけば、材木ざいもくす、養蠶やうさんもやり、地木綿ぢもめんらし、およ農家のうかちから出來できることなら、なんでも手當次第てあたりしだい、そして一生懸命いつしやうけんめいにやりました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
秋晴あきばれやおしろいやけかほしわ
荷風翁の発句 (旧字旧仮名) / 伊庭心猿(著)
なんほこら巫女みこは、やけのこつた町家まちやが、つたまゝ、あとからあとからスケートのやうに駈𢌞かけまはゆめたなぞと、こゑひそめ、小鼻こばなうごかし、眉毛まゆげをびりゝとしたなめずりをしてふのがある。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
長庵はつたとねめつけおのれ忠兵衞貴樣きさま餘程よほど愚痴ぐちなる奴かな如何に女房に未練みれんが有ればとて餘りににく仕方しかたなり此長庵がいきて居て心配なるとか又近所で安心あんしんならぬと思ふなら何所どこなりとも引越ひきこしなば仔細しさいは有るまじ勿論もちろんやけぼつくいには火のつきやすたとへも有れば不安心に思ふも道理もつともなり然し一たん勘辨かんべんした事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
てつぼうつゑをガンといつて、しりまくりのたくましい一分刈いちぶがり凸頭でこあたまが「麹町かいぢまち六丁目ろくちやうめやけとるで! いまぱつといたところだ、うむ。」と炎天えんてんに、赤黒あかぐろい、あぶらぎつたかほをして、をきよろりと、かたをゆがめて
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
聞居るお政のつら殘念ざんねん辯解いひわけなすともまことにせず口惜涙くやしなみだむせ返る心の中ぞあはれなり然るに天の助けにや或夜あるよ戌刻いつゝどきとも思ふ頃下谷車坂くるまざかより出火して火事よ/\と立騷ぎければ宅番の者ども大いに驚き皆々我家へ歸り見るに早火の紛は破落々々ばら/\と來たり殊に風もはげしければ今にもやけて來るかと皆々周章狼狽あわてふためき手に/\荷物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)