“やけ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヤケ
語句割合
自棄62.3%
自暴27.7%
3.5%
1.5%
1.5%
自暴自棄0.7%
自狂0.5%
類焼0.5%
無暗0.2%
0.2%
嫉妬0.2%
少々自棄0.2%
0.2%
0.2%
自葉0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一方の男ふたりは無事で、友之助は自棄やけ酒を飲みながら、相変らず役所へ勤めていた。吉之助はとどこおりなく学校にかよっていた。
有喜世新聞の話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
だが、宮津文珠の荒侍——命知らずをすぐッて来た京極方もなかなか退かぬ。自暴やけと遺恨と衆をたのんで、新手新手を入れ代えてくる。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やけを起してあくる朝、おまんまを抜きにしてすぐに昼寝で、日が暮れると向うの飯屋へ食いに行って、またあおりつけた。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかし熟々つらつら見てとく点撿てんけんすると、これにも種々さまざま種類のあるもので、まずひげから書立てれば、口髭、頬髯ほおひげあごひげやけ興起おやした拿破崙髭ナポレオンひげに、チンの口めいた比斯馬克髭ビスマルクひげ、そのほか矮鶏髭ちゃぼひげ貉髭むじなひげ
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
おつぎは浴衣地ゆかたぢあかおびめた。勘次かんじこん筒袖つゝそで單衣ひとへやけあしみじかすそからた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
期待きたいしてあるものにはかうばられたやう絶望ぜつばうとが混淆こんかう紛糾ふんきうした自暴自棄やけ態度たいどもつておつぎをめた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
人間世界を捨てた様な此の身に宝などが要る者か、腹の中は全く自狂やけの有様である。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
神田から出た北風ならいの火事には、類焼やけるものとして、くら戸前とまえをうってしまうと店をすっかり空にし、裸ろうそくを立てならべておいたのだという、妙な、とんでもない巨大おおき男店おとこだなだった。
疲れる位お手伝をしてやっても、邪魔になって仕様がないそうだから、乃公は椅子に坐って見物していると、頻りに呼鈴ベルが鳴った。無暗やけに鳴らす。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
身体は動くし、車の音はするし、馬方うまかた無暗やけに馬を叱るもんだから、なかなか寝られやしない。少しうとうとすると直ぐに目が覚めてしまう。そのうちに明るくなって来た。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「イヨーやけます引うらやましいぞ引。どうだ内海、エ、今の御託宣は。『文さんのような人が好きッ』アッたまらぬ堪らぬ、モウ今夜うちにゃ寝られん」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
これは、あんまり二人が仲よく茶を飲んでいるものですから、新鍋が嫉妬やけを起して沸騰をはじめたというわけではありません。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
久一きゅういちに、そんなものが解るかい」と老人が笑いながら聞いて見る。久一君は、少々自棄やけの気味で
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
博多画瓢坊ぐわへうばうの説に、明応七年兵燹へいせんにかかりて枯しを社僧祠官等歌よみて奉りたれば再び栄生せりといへり。其後天正の兵燹にもやけしこと幽斎紀行に見ゆ。左に一株の松あり。みな柵を以て囲む。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
みな煤煙にやけたような顔をして、少しも生々したところがない。たとえばどぶ溝の中の金魚のようなものである。
空中征服 (新字新仮名) / 賀川豊彦(著)
その時からわたしは自葉やけになりましたの。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)