)” の例文
宛然さながら、ヒマラヤ山あたりの深い深い萬仭の谷の底で、いはほと共に年をつた猿共が、千年に一度る芝居でも行つて見て居る樣な心地。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
ただその一つさえ祭の太鼓はにぎわうべき処に、繁昌はんじょう合奏オオケストラるのであるから、鉦は鳴す、笛は吹く、続いて踊らずにはいられない。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それからもう一つは、そう云う離業はなれわざって退けられる膂力りょりょくと習練を備えた人物が、現在この事件の登場人物のうちにあるからだ。
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
とどのつまり私は、そんな事ばかりを繰返し繰返しっている、つまらない夢遊病患者みたような者ではあるまいか……とも考えられる。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
舞台でいっぱいにってますね、そんなとき、ふいと、こんなに一生懸命にやっている芸にどこまで価値があるんだって気がするんです
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
どんな事をる積ですか、つて御覧なすつたらうです。支那人ちやんてえやつは、臆面がないから、なんでもる気だから呑気なもんだ。……
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
浪花なには座で『忠臣蔵』をつてゐる鴈治郎なども、おかる道行みちゆきのやうな濡事ぬれごとを実地ひまがあつたら一度青蓮寺に参詣まゐつたがよからう。
彼等がる通りな格恰で節をつけて発声したのであつたから、彼等が早合点してお世辞のために悦び迎へたのは当然なのである。
歌へる日まで (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「今じゃ、そう云うり方を、写実主義と云うのです。そう云う役者を見出みいだしたお祖母さんは、さすがにお目が高かったですね」
ある恋の話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
その頃みのるがある劇團に入つて何かつた時に一向噂のなかつたところから考へても、舞臺の上の技巧はあんまり無さそうに思はれた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
「やれやれ、狂言舞も、見てこそ、おかしいが、おのれが舞台でってみると、おかしいどころかよ、くるしいものぞ。イヤ、なかなか」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もう直ぐ出て来るから、うまくれよ」と、こっちから黄色い外套の同志がややふるえ声で云った。興奮にふるえているのだった。
間諜座事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しいちゃん、あすこの引抜きを、今日はうまくやっておくれ。引きぬきなんざ、一度覚えればコツはおんなじだ。自分がるときもそうだよ。」
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「だから——だからいうんだ、あたしァ。——芸だって、脚本ほんだって、むかしァだれより新しいといわれた人なんだ。」
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
るにも演りいってものだ。どうだい親方そのついでに一両がとこ貸してくれないか。アッハハハこいつア嘘だ! さて
柳営秘録かつえ蔵 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
というのも、るのが自分じゃなくて、あのニーナさんだからなんです。僕の脚本も見ない先から、眼のかたきにしてるんだ。
二番目が八犬伝の赤岩一角あかいわいっかくの猫退治で二幕、それから桂川連理柵かつらがわれんりのしがらみの帯屋から桂川の心中までをった。打出してから帰ると、もう夜半であった。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
処が、その何年か後に、僕達が相当の俳優になるのはよろしいが、その僕等がりたいやうな脚本を、先生たちは書いて下さる自信がおありなんですか
幕は開かない (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
りにペテルスブルグへいらっしゃるんですって。デュウゼとかって名前でしたよ。ご存じでいらっしゃいますか。
エレオノラ・デュウゼ (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
そこへ余輩の「高野の義人」に眼をつけたのが高田実であった、何かのはずみに社中の伊原青々園氏に向ってこれをりたいものだと高田が云い出した
生前身後の事 (新字新仮名) / 中里介山(著)
何をつてゐても如何にも小心な他人の気持ばかりをうかがつてゐるやうな佞奸邪智ねいかんじゃちと云つた感じを強く与へます。
サニンの態度 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
一体源之助という役者は上方で為込しこんで来た芸をると非常によく、また正確である。であるから大阪で源之助がもう少しまれて来ればよかったと思う。
役者の一生 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
もしやさっきのお此の二の舞をここでるつもりではあるまいかと、彼女は少しいざり出てお絹の楯になった。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
世にも水際立った人情噺を一席ったので、楽屋で聴いていて感に堪えた一前座はにわかに講釈がいやになってピシーリと張扇を折り、柳桜門下にはせ参じた。
随筆 寄席囃子 (新字新仮名) / 正岡容(著)
如何どうかしてうまくつてくれればいい、新しい役者の新しい芝居も決して愚劣なものではないと思ひ知らせてくれればいいと、自分は他人事ひとごとでない氣で心配した。
「涌井君。君は昨日北沢家へ調べに行った時、福間警部に北沢がどんな風に死んだかをって見せたね」
闘争 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
『鉱毒は田中の政略さ』と嘲つた人々は、失張此の直訴までも、『芝居をつたナ』と冷笑して居た。
大野人 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
だが相手は高田実が中将をつて居るので、高田なら此の位のだと考へて初日から二三日演つて見た、それは博士の台詞せりふが切れるとこから計つて見当をつけるのだが
(新字旧仮名) / 喜多村緑郎(著)
なにかにつけて源之助の仮声こわいろぶりをるその調子が、お庄の耳にはめつかれるようであった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
それをおりになられる金剛先生のお姿は全く神技と言っていいくらいご立派なものでした。
謡曲と画題 (新字新仮名) / 上村松園(著)
もう三番ほど能役のるのを見るのは見たけれども、言葉もしぐさもよくわからず、物語の筋もはっきりしないから少しも面白くないのである。——またあの眼が見ている。
合歓木の蔭 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
して何と云つても、虎をれる役者は、日本中に俺しかないのだ。さうだ。一つ虎をうまくやつて見物をわつと云はしてやらう。そして外の役者どもを蹴とばしてやらう。
(新字旧仮名) / 久米正雄(著)
エー若春わかはるの事で、かへつて可笑をかしみの落話おとしばなしはういと心得こゝろえまして一せきうかゞひますが、わたくしは誠に開化かいくわの事にうとく、旧弊きゆうへいの事ばかりつてりますと、学校がつかう教員けうゐんさんがおでで
西洋の丁稚 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
十八番の所作ごとをって見て下さいと頼んだら、否やをおっしゃるでしょうかねえ? でも、鳴物もうたもないから、いけないというかしら——じゃあ、あたしの足の指に
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
〆団治は黒い顔じゅう汗を流して、ったが、君枝はシュンとして、笑わなかった。
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
デナイト得意ノシンクロナイズド・スウィミングガリニクイ。一人デソレヲ演ッテ見セテ己ニ見セタイッテ云ウンダヨ。己ニソレヲ見セルノガ目的デプールヲ作ルヨウナモノナンダ
瘋癲老人日記 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そしてメァリー・イングラムは、相手の慇懃いんぎんな話をものうげに聞いてゐた。時々、みんな云ひ合はしたやうに彼等のワキ狂言を止して主役のることを、觀たり聽いたりするのであつた。
だぶちんの真似事は何でもってみんなを笑わせ、自分も笑うことを愉しんだ。
我が愛する詩人の伝記 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
シェークスピアの『アントニーとクレオパトラ』の英語劇をったとき、わたしはクレオパトラを演じまして全校を悩殺したことがあるんだから、そういうほうには少々心得があるのです。
犂氏の友情 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
露西亞馬鹿『フィラートカ』をつてゐた。可笑しくて腹の皮を撚つた。
狂人日記 (旧字旧仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
「ええ、ありがとう、奥さんもいま一緒に何かっているんですか?」
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
ゴーリキーの『母』という小説がありますが、あれを築地つきじったことがあります。山本安英やまもとやすえが母になって非常によく演りました。これはプロレタリア・イデオロギーの立場からみたのであります。
生活と一枚の宗教 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
宛然さながら、ヒマラヤさんあたりの深い深い万仭の谷の底で、いはほと共に年をつた猿共が、千年に一度る芝居でも行つて見て居る様な心地。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
今の徳三郎がお初をるとしたら、どんな事になるだらう、恋女こひをんなを焦れ死させる代りに、事によつたら劇評家を気絶させるかも知れない。
「何をっているか知らんが……アッ。そうそう。大森署へ切符を置いて行きおったっけ……新四谷怪談とか云っていたが……」
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しかし今横に並んで歩いている西郷副園長が、この万年筆について不審な行動をっているのにも気がつかないわけではない。
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それから、浴衣に引き抜いて、与茂七のだんまりをったが、その時闇の中で、それは鮮やかに、逢痴の声色を使ったのだよ。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
先生今日けふ一日いちにち御勉強ですな。どうです、と御散歩になりませんか。今夜こんや寅毘沙とらびしやですぜ。演芸館で支那人ちやんの留学生が芝居をつてます。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『桐一葉』に依って且元が忠臣らしく、伝えられるなど、甚だ心外だが、今に歌右衛門でも死ねば、誰もるものがないからいいようなものの。
真田幸村 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
……あの子はわたしたちに、戯曲の作り方やり方を、教えてくれる気だったんだわ。早い話が、ま、うんざりしますよ。