そち)” の例文
ヂュリ そのやうなことをそちしたこそくさりをれ! はぢかしゃる身分みぶんかいの、彼方あのかたひたひにははぢなどははづかしがってすわらぬ。
これからわしもうすところをきいて、十ぶん修行しゅぎょうまねばならぬ。わし産土うぶすなかみからつかわされたそち指導者しどうしゃである、ともうしきかされた。
「何だ。今となってその説は、それは滝川一益かずますなどが大事を取って申した説で、そちの策は、それに反対であったはずではないか」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれどそちいやしくも魚族ぎよぞくわうの、ちゝをさつたらばそのあとぐべき尊嚴たうと身分みぶんじや。けつして輕々かろ/″\しいことをしてはならない。よいか
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
「ウ、ほざいたナ臙脂屋。小気味のよいことをぬかし居る。其儀ならば丹下右膳、そちの所望を遂げさせて遣わそう。」
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それ程にそちがこのやうな靴を望むのならば、その望みを叶へてつかはすに造作はない。これよ、直ぐさまこの者に最も高価な、金絲の刺繍をした靴を
今更いふ事か、その為のそちなれば、私が見たも同じ事。それは跡でも聞かふから、それよりは、今の手筈を
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
さりながら徃日いつぞや御詞おんことばいつはりなりしか、そちさへに見捨みすてずば生涯しやうがい幸福かうふくぞと、かたじけなきおほうけたまはりてよりいとゞくるこゝろとめがたく、くちにするは今日けふはじめてなれど
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おほよそ文にて知らるゝことは、その外にもいと多し。されど讀みおぼゆる初は、あまり樂しきものにはあらず。そちは終日たふに坐して、文を手よりかじと心掛くべし。
確と面体めんていを認めてから静かに討たんければ成らぬ、殊にそちは剣術が出来てもまだ年功がなし年もかぬから其の痩腕やせうでではとても又市には及ばぬ、わしも共に討たんでは成らぬ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
都鳥もし蘇生よみがえらず、白妙なきものと成らば、大島守を其のまゝに差置さしおかぬぞ、としかと申せ。いや/\待て、必ず誓つて人にはもらすな。——拙道の手に働かせたれば、最早もはそち差許さしゆるす。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
研究けんきゅうめにそちせてやらねばならぬ不思議ふしぎ世界せかいがまだのこっている。』と、指導役しどうやくのおじいさんがわたくしもうされました。
死罪しざいこと追放つゐはうといはッしゃるは、黄金わうごん斧鉞まさかりわしくびねておいて、そち幸福しあはせぢゃとわらうてござるやうなものぢゃ。
『あんなに話したのに、そちにはまだ分らないのか。御領主内匠頭様が、御切腹なされたという事を』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「聞き及ぶところでは、そちたちセーチでは決して結婚をいたさぬとのことではないか。」
ハタとにらんでそちまでがおなじやうになん囈語たはごと最早もはや何事なにごとみゝもなしそちさずば自身じしんにとむるつまつきのけつゝ病勞やみつかれてもおい一徹いつてつあがりがまちに泣頽なきくづれしおたか細腕ほそうでむづとりつちから
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何う云う訳か他人ひとさまの物を盗み取りましたり、親の物を引浚ひっさらって逃げますような悪い癖がございましたから勘当致しましたが、御維新己来このかたそちの行方ばかり捜して居たが、東京とうけいには居らんから
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「それがわかつたら、すべてはそち自由じいうまかせる」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
『それだから今度こんど瀑布たき修行場しゅぎょうばとなったのじゃ。そちとおり、こちらの世界せかいおきてにはめったに無理むりなところはない……。』
ヂュリ おゝ、運命神うんめいよ、運命神うんめいよ! みなそち浮氣者うはきものぢゃといふ。いかにそち浮氣うはきであらうと、きこえた堅實かたぎひとなんとすることも出來できまい。
それは定めし、急加斎きゅうかさいという者であろう。いまはそちの家の客臣となっておる。
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おお、そちいとまをもらつてなんとするのか」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
そち平常へいぜい、誰に剣を学んでいるか」と、たずねた。
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「くわしいな、そちは」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)