しら)” の例文
新字:
あいちやんは一ぱうした、一ぱううへと一まいごとしらべてから、その眞中まんなかつてました、どうしたらふたゝられるだらうかとあやしみながら。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
つぎ巡査じゆんさとなり傭人やとひにんれて壁際かべぎはしらべさせたがくぬぎ案外あんぐわいすくなかつた。それでもおつぎのではれなかつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
澁紙の袋を引き出して塵をはたいて中をしらべると、畫は元の儘しめつぽく四折よつをりに疊んであつた。畫の外に、無いと思つた子規の手紙も幾通か出て來た。
子規の画 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そして、あのポケット・ブックがまた丁寧に取り出され、開かれ、しらべられた。その中から、急いで引き裂いた、しわくちやの紙片が引き出された。
かくかの燃ゆる愛ことばいだし、後加ふらく。この貨幣の混合物まぜものとその重さとは汝既にいとよくしらべぬ 八二—八四
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「この陽氣だが、まだ春だ。十日や十五日ぢや死骸に大した變りはあるまい。——萬一死骸の口中から毒がしらべ出されると、泰道先生見立て違ひだけでは濟むまいぜ」
何しろ前の晩には一生懸命になツてつかまへて來たのだから、朝眼がめると直ちに螢籠の中をしらべて見たが、何時いつの朝だツて一匹もゐた事が無い。で、隨分がツかりもした。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
それから又飜つて各種不祥の事を惹起した人の經歴を考へしらべたならば、必らず其の人々が自己を責むるの念に乏しくて、他を責め人を怨む心の強い人である事を見出すで有らう。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「いや、うも、今日けふ閻王たいしやう役所やくしよしらべものが立込たてこんで、ひどよわつたよ。」
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「何しろ身分が身分なんだから、それは大したものに違ひなからうからな、一々けてしらべて見るなんて出來た譯のものではなからう。つまり偶然に、斯うした傷物きずものが俺に當つたといふ譯だ……」
子をつれて (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
ロミオ おゝ、承引しょういんしたぞ。……おもてしらべてよう。
彼は、それを私の手から取つて、高く提げて寢臺ベッドしらべた。何ももが眞黒に燻つてゐた。敷布はビショ/\になり、絨毯は水の中をおよぎまはつてゐた。
宗助そうすけ銀金具ぎんかなぐいたつくゑ抽出ひきだしけてしきりなかしらしたが、べつなに見付みつさないうちに、はたりとめて仕舞しまつた。それから硯箱すゞりばこふたつて、手紙てがみはじめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一々出入りの人の身體をしらべて、手形代てがたがはりに文身の有無を見て居りますが、平次は顏が賣れて居るせゐか、不作法な肌を脱ぐ迄もなく、其儘木戸を通されて、奧へ案内されたのです。
しらべてると、それなんなの、うちてから、はじまつたとわかつたんです。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼女は絶えず横目を使つて私をしらべながら、忙しく働いてゐた。窯の中からパンの塊を取り出すと、ぐるりと私の方に向き直つて、ぶつきら棒にたづねた——
宗助そうすけ文庫ぶんことゞけた午後ごごに、坂井さかゐつたとほり、刑事けいじ宗助そうすけいへ裏手うらてから崖下がけしたしらべにたが、其時そのとき坂井さかゐ一所いつしよだつたので、御米およねはじめてうはさいた家主やぬしかほた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
金之丞の言葉を聽きながら、平次は女共を退かせて、一應死體の傷所をしらべました。
葛籠つゞらふたつたり、着換きがへほころびしらべたり、……あらつた足袋たび裏返うらがへしたり、女中ぢよちうかひものにしたり、なに小氣轉こぎてん立𢌞たちまはつてたとおもふと、晩酌ばんしやくもので一合いちがふつけたときはなは見事みごとでない
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
坂井さかゐうちもんはひつたら、玄關げんくわん勝手口かつてぐち仕切しきりになつてゐる生垣いけがきに、ふゆ似合にあはないぱつとしたあかいものがえた。そばつてわざ/\しらべると、それは人形にんぎやうけるちひさい夜具やぐであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「もう一つ訊くが、文箱は念入りにしらべたらうな」