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槇
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まき
ふりがな文庫
“
槇
(
まき
)” の例文
新字:
槙
檜木
(
ひのき
)
、
椹
(
さはら
)
、
明檜
(
あすひ
)
、
槇
(
まき
)
、
𣜌
(
ねず
)
——それを
木曾
(
きそ
)
の
方
(
はう
)
では
五木
(
ごぼく
)
といひまして、さういふ
木
(
き
)
の
生
(
は
)
えた
森
(
もり
)
や
林
(
はやし
)
があの
深
(
ふか
)
い
谷間
(
たにあひ
)
に
茂
(
しげ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのです。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
広巳は離屋の前を通って広場へ出た。そこに梅の木があり
槇
(
まき
)
の木などがあって、その枝には
物干竿
(
ものほしざお
)
をわたして洗濯物をかけてあった。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
喜六君はズック
靴
(
ぐつ
)
をぬいで、畠の
垣根
(
かきね
)
になっている
槇
(
まき
)
の根方にかくし、いたちのようにすばやく、池の方へのぼってゆきました。
草
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
槇
(
まき
)
の立木をそのままくねらせた風変りな門をくぐると、生垣がつづいている。次郎は、その生垣のすき間から茶の間の方をのぞいて見た。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
松は松として生き、桜は桜として、
槇
(
まき
)
は槇として生きた。出来るだけ多く太陽の光を浴びて、己を大きくするために、彼等は枝を突き延した。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
▼ もっと見る
母親のお
槇
(
まき
)
は言ふのです。口邊に漂ふ苦笑を、あわてて掻き消して、精一杯の眞劍な顏になるのは、かなりの見物でした。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
日の光を一ぱいに浴びた庭先には、葉の裂けた
芭蕉
(
ばせう
)
や、坊主になりかかつた
梧桐
(
あをぎり
)
が、
槇
(
まき
)
や竹の緑と一しよになつて、暖かく何坪かの秋を領してゐる。
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
仕切り
塀
(
べい
)
をまわした
坪庭
(
つぼにわ
)
には、高さ一丈ばかりの
槇
(
まき
)
の木が五本あって、庭の白く乾いたぎらぎらする裸の土の上へ、染めたように黒く影をおとしていた。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
殿下に随伴する一行は、お附武官の藤岡少佐、宮家附の浅野宮内省属、山田写真師、
槇
(
まき
)
君
及
(
および
)
私の外に、軍用鳩調査委員の伊東中尉が八羽の鳩を携えて参加した。
朝香宮殿下に侍して南アルプスの旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
掘りだしたまま、まだ
槇
(
まき
)
の樹の下にころがされている空樽に目をとめたりした。西日のさす側の枝から見事に紅葉しかけている
楓
(
かえで
)
が秋の朝風にすがすがしかった。
風知草
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そこでわたしは木立へ登り、そこから土塀の
頂
(
いただき
)
へ登り、お屋敷の構内へ飛び下りました。構内の土塀近くに茂っているのは、松や
楓
(
かえで
)
や
槇
(
まき
)
や桜の、植え込みでございました。
怪しの者
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
びつくりするほど冷たい井戸水を、ザブ/\と二つのバケツに一ぱい
汲
(
く
)
むと、元気な
槇
(
まき
)
君はそれを両手にさげて、廊下から階段を登つて、トツトと自分の教室へ帰つて来ました。
掃除当番
(新字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
槇
(
まき
)
氏は近頃
上海
(
シャンハイ
)
から復員して帰って来たのですが、帰ってみると、家も妻子も無くなっていました。で、廿日市町の妹のところへ身を寄せ、時々、広島へ出掛けて行くのでした。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
抜いてみると、矢羽はぜいたくな
鷹
(
たか
)
の
石打
(
いしうち
)
、やじりは
槇
(
まき
)
の葉形のドキドキするものであった。それに
錆
(
さび
)
がみえないところから察するに、つい、昨日かきょうの流れ矢であろうと思われる。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
清々
(
すが/\
)
しいのは、かけ
湯
(
ゆ
)
の
樋
(
ひ
)
の
口
(
くち
)
をちら/\と、こぼれ
出
(
で
)
て、
山
(
やま
)
の
香
(
か
)
の
芬
(
ぷん
)
と
薫
(
かを
)
る、
檜
(
ひのき
)
、
槇
(
まき
)
など
新緑
(
しんりよく
)
の
木
(
き
)
の
芽
(
め
)
である。
松葉
(
まつば
)
もすら/\と
交
(
まじ
)
つて、
浴槽
(
よくさう
)
に
浮
(
う
)
いて、
潛
(
くゞ
)
つて、
湯
(
ゆ
)
の
搖
(
ゆ
)
るゝがまゝに
舞
(
ま
)
ふ。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何にかけてや
繋
(
つな
)
ぐらんと思ひきや、四五日
經
(
へ
)
て瀧口が顏に憂の色漸く去りて、今までの如く物につけ事に觸れ、思ひ煩ふ
樣
(
さま
)
も見えず、胸の嵐はしらねども、
表面
(
うはべ
)
は
槇
(
まき
)
の梢のさらとも鳴らさず
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
槇
(
まき
)
もやや光る葉がひを
秀
(
ほ
)
に
佇
(
た
)
ちて青鷺の群のなにかけうとさ
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
槇
(
まき
)
の葉
枯
(
か
)
れたる
樹下
(
こした
)
の
隠沼
(
こもりぬ
)
にて
詩
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
みるが内に
槇
(
まき
)
のしづえも沈みけり
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一度は跡目相続の宗太のために
飯田
(
いいだ
)
から
娵女
(
よめじょ
)
のお
槇
(
まき
)
を迎えた時。任期四年あまりにもなるが、半蔵が帰国のほどもまだ判然しない。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
出迎えたのは五十五、六の老母、それは殺されたお園の養い親で、お
槇
(
まき
)
という因業な女と——八五郎は心得て居ります。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
日の光をいっぱいに浴びた庭先には、葉の裂けた
芭蕉
(
ばしょう
)
や、坊主になりかかった
梧桐
(
あおぎり
)
が、
槇
(
まき
)
や竹の緑といっしょになって、暖かく何坪かの秋を領している。
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
伊藤喜兵衛
(
いとうきへえ
)
は孫娘のお
梅
(
うめ
)
を
伴
(
つ
)
れて、
浅草
(
あさくさ
)
観音の
額堂
(
がくどう
)
の
傍
(
そば
)
を歩いていた。其の一行にはお梅の乳母のお
槇
(
まき
)
と
医師坊主
(
いしゃぼうず
)
の
尾扇
(
びせん
)
が加わっていた。喜兵衛はお梅を見た。
南北の東海道四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
彼らは
槇
(
まき
)
や
檜葉
(
ひば
)
類を少しずつ買った。それらを、西日のさす崖ぶちや、むき出しな格子の左右に植えた。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
松本駅前の旅館に泊っていた
槇
(
まき
)
君と私とは、駅に向って馳せ集る夥しい人の群に、それは秩父宮殿下が今朝
此処
(
ここ
)
へ御着きになって、やがて信濃鉄道へ御乗換になる
其
(
その
)
折の
秩父宮殿下に侍して槍ヶ岳へ
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
槇
(
まき
)
の生垣のある路地をゆくと、梅林のある庭へ出たが、その庭に面して、やはり藁葺きの、隠居所ふうの建物が三棟あり、老婆はその端にある一と棟へかれらを案内した。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
野茨や
槇
(
まき
)
の葉や枝の隙から、崖下の谷川が眼の先に見え、そこに無邪気に水を浴びている、三人の女の
鵠
(
こう
)
の鳥のような、
皓々
(
こうこう
)
と白い全裸体を、金粉のように降り注いでいる
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
で、十時近くには、三人はもう、そのふう変りな
槇
(
まき
)
の立木の門をくぐっていた。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
大木の
白木蓮
(
しろもくれん
)
、
玉椿
(
たまつばき
)
、
槇
(
まき
)
、
海棠
(
かいだう
)
、黒竹、
枝垂
(
しだ
)
れ桜、大きな
花柘榴
(
はなざくろ
)
、梅、
夾竹桃
(
けふちくたう
)
、いろいろな種類の蘭の鉢。さうしてそれ等の不幸な木はかくも忙しくその居所を変へなければならなかつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
もっと痛ましいのは
嫂
(
あによめ
)
の身内であった。
槇
(
まき
)
氏の家は大手町の川に臨んだ閑静な
栖
(
すま
)
いで、私もこの春広島へ戻って来ると一度
挨拶
(
あいさつ
)
に行ったことがある。大手町は原子爆弾の中心といってもよかった。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
この門よ
槇
(
まき
)
も
通草
(
あけび
)
も目立たずてすがしかりしか雨つづりつつ
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
玄関前の
巨
(
おお
)
きな杉。
槇
(
まき
)
の
喬木
(
きょうぼく
)
。
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
継母おまんをはじめ、よめのお
槇
(
まき
)
、下男佐吉、下女お徳らはいずれも着物を改めて、すでに裏の土蔵の前あたりに集まっていた。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
出迎へたのは五十五六の老母、それは殺されたお園の養ひ親で、お
槇
(
まき
)
といふ
因業
(
いんごふ
)
な女——と八五郎は心得てをります。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「彼女は今、太い毛糸針のように光る
槇
(
まき
)
の葉を見ながら、或ることを考えている……」
地は饒なり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
小半時あまりも
時刻
(
とき
)
を経た時、
槇
(
まき
)
の
生垣
(
いけがき
)
に取り巻かれ、広い庭に厚く植え込みが繁り、その中に萱葺きの屋根などを持った、三棟ほどの風雅の家が、ひっそりと立っているという
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
伊勢屋の娘は名をおいせといい、日本橋
槇
(
まき
)
町の吉野屋という、糸綿問屋へ嫁にいっている。もちろん現在も吉野屋にいるし、懐妊ちゅうで、来月が産み月だ、ということであった。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
大正十年に在
瑞西
(
スイス
)
の
槇
(
まき
)
有恒君が嶮難を
以
(
もっ
)
て聞えた前人未踏のアイガー東山稜の登攀に成功し、之が我国に報ぜられて若き登山家の心を躍らせ、岩山登攀の傾向を助長させたことは疑いない。
山の今昔
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
馬籠にある彼女の
生家
(
さと
)
も変わった。彼女は
旧
(
ふる
)
い屋敷の内の裏二階まで行って、久しぶりで祖母のおまんや
嫂
(
あによめ
)
のお
槇
(
まき
)
と一緒になることができた。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
母親のお
槇
(
まき
)
は思ひの外記憶もよく、時間と事件の關係など、極めて要領よく話してくれます。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
袖垣のようになっている
槇
(
まき
)
の生垣の向うへ導いた——家族の住居とは離れて、隠居所でもあろう、松をとり廻した閑素な一棟がある、その横手で、
筧
(
かけひ
)
の水を汲んでいたのは佐和だった。
夜明けの辻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
茶屋の土間をぬけ、
槇
(
まき
)
の生垣のある路地をゆくうちに、男はふと表情を変えた。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
やくざの又五郎は、
槇
(
まき
)
町の裏長屋に住んで居りました。
銭形平次捕物控:281 用心棒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「榊でないといえば檜かなどと、葉を見ろ葉を、それは
槇
(
まき
)
だ、高野槇だ、一般に槇などという木は盆栽には作りにくいものだ、それをわしが苦心してそれまでに仕立てたんだ、よく覚えておけ」
明暗嫁問答
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
お園の母親のお
槇
(
まき
)
が説明するのです。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
母屋
(
おもや
)
とその隠居所のあいだに
槇
(
まき
)
の生垣があり、槇の枝には白っぽい黄色な若葉が、そろって活々と伸びている。また夏が来るな、ぼんやりそう思いながら、私は心をきめ、元の席へ戻って坐りました。
失蝶記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
槇
部首:⽊
14画
“槇”を含む語句
高野槇
槇町
槇尾
槇子
槇屏
槇島五郎兵衛
槇有恒
槇本坊詮応
槇本楠郎
槇田
槇子姉妹
槇肌
槇葉
槇野聖賢
沼間槇子
白槇
這栢槇
上槇