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あらた
ふりがな文庫
“
検
(
あらた
)” の例文
旧字:
檢
水かさが増した濁流の三条口には、仮橋のたもとに沢山な騎馬武者がいて、武蔵ばかりでなく、往来人はいちいち止めて
検
(
あらた
)
めていた。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は来た時の目的をひるがえして、空地を
検
(
あらた
)
めるのを止めて引返した。この僅かな気持は、大方の読者にも解って頂けることと信じる。
撞球室の七人
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
「あなたの夏服をクリーニングにやる時ポケットの中を
検
(
あらた
)
めました。すると電車の回数券の表紙と一緒に出て参りましたのよ。天罰ね」
或良人の惨敗
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「ああ、どうぞ」甲子雄が
脱
(
と
)
って渡すのを、受取った兵馬、眼を据えて
柄頭
(
つかがしら
)
からずっと拵えを見ていたが、ぎらり抜放って中身を
検
(
あらた
)
める。
初午試合討ち
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼は、若い婦人の後姿を、それからそれと一人々々
検
(
あらた
)
めた。が、たつた一度、相見た
丈
(
だけ
)
の女は、後姿に依つては、直ぐそれと分りかねた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
ストーン氏は受け取って、
先
(
ま
)
ず表書を見たが、ちらと女の方に上眼使いをしながら、裏を返して一応
検
(
あらた
)
めてから封じ目を吹いた。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼は
遽
(
にはか
)
に心着きて
履物
(
はきもの
)
を
検
(
あらた
)
め来んとて起ちけるに、
踵
(
つ
)
いで起てる満枝の
庭前
(
にはさき
)
の縁に出づると見れば、
傱々
(
つかつか
)
と行きて
子亭
(
はなれ
)
の入口に
顕
(
あらは
)
れたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
彼らは、もの珍しげに、それを
検
(
あらた
)
める。そのうちの一人は、こいつは八号だと断定する。そろそろ彼女は口が自由に
利
(
き
)
け出す。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
ところで、今度ここを立退くについて、家屋はむろん取毀されるのであるから、この機会に床下その他を
検
(
あらた
)
めてもらいたい。
月の夜がたり
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そこで二人は、
只
(
ただ
)
そんな水掛論をしてゐたんでは、果てしがつかないから熊の
死骸
(
しがい
)
を
検
(
あらた
)
めてみようといふことになりました。
熊捕り競争
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
側に居ります同心は一応
検
(
あらた
)
めて罪人に渡しまするが
掟
(
おきて
)
でございますから、
横合
(
よこあい
)
から手を出して取ろうと致しますると、亥太郎が承知いたしませぬ。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
去れば余は
猶
(
な
)
お老人の
傍
(
そば
)
を去る
能
(
あた
)
わず、更に
死体
(
しがい
)
の手を取りて
検
(
あらた
)
むるに、余の驚きは更に強きを加え
来
(
きた
)
れり、読者よ
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
私の衣類の一枚一枚を
展
(
ひろ
)
げてみては、ちょうど
監獄
(
かんごく
)
の差入れ物を
検
(
あらた
)
めるように、
袂
(
たもと
)
の底を念入りに探ってみたり、
襟
(
えり
)
のあたりをしごいてみたりした。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
塩にしたのなら大概ありますけれどもよくその品物を
検
(
あらた
)
めて買わないと折々古くなり過ぎた悪い品を押付けられます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
早速にかの柩をあけて
検
(
あらた
)
めると、喬生は女の
亡骸
(
なきがら
)
と折り重なっていて、女の顔はさながら生けるがごとくに見えた。
世界怪談名作集:18 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
瞿佑
(著)
警察へ聞こえて調べに来られたりすると、店の邪魔になるからね。さあ、もう一度よく戸締りを
検
(
あらた
)
めて寝るとしよう
宝石の序曲
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
そう言って夫人はわたくしの
袂
(
たもと
)
の八ツ口の根元を指先で
抓
(
つま
)
み、指先の早業で下着の裏や
襦袢
(
じゅばん
)
の地質を
検
(
あらた
)
め見ました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それは普通なれば荷物はチスパニーという所まで持って行って、そこで
検
(
あらた
)
めて貰って税金を払わねばならんのです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そして、脱ぐ前には何かを案ずるようにして中のもの
検
(
あらた
)
めるのが例だった。それから大急ぎでボタンを外して、その洋服を窓枠に打ちかけるのであった。
錯覚の拷問室
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「百薬の長も度を過ごしては
禍
(
わざわい
)
の
因
(
もと
)
じゃて——町人、これは
其許
(
そこもと
)
の持物じゃろう。しかと
検
(
あらた
)
めて納められい。」
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
鶴見は
控帳
(
ひかえちょう
)
を
検
(
あらた
)
めて見た。控帳には当時この長歌を書き放しておいたきり、まだ題名さえも附けていなかった。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
吉は勝手の方へ行って、
雑巾盥
(
ぞうきんだらい
)
に水を持って来る。すっかり竿をそれで洗ってから、見るというと如何にも良い竿。じっと二人は
検
(
あらた
)
め
気味
(
ぎみ
)
に詳しく見ます。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
翌
(
あく
)
る日になつて三隅氏は真青な顔をして下関駅の
遺失物掛
(
ゐしつぶつがかり
)
を訪ねて来た。そして
夥
(
おびたゞ
)
しい忘れ物のなかから、自分のを捜し出して、大喜びで中を
検
(
あらた
)
めて見た。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「
検
(
あらた
)
めて下ださい、博士」とヴァランタンがやや鋭い声でいった。「まだ息があるかもしれませんからな」
秘密の庭
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
そツ気なく言つて、源太郎は身体を真ツ直ぐに
胡坐
(
あぐら
)
をかき直した。お文はあがつた蒲焼と玉子焼とを一寸
検
(
あらた
)
めて、十六番の紙札につけると、雇女に二階へ持たしてやつた。
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
籤先番は藤波友衛となり、一礼して台にすすみ、打ちかえし打ちかえし、羽交の裏表、口内、爪先にいたるまでとくと
検
(
あらた
)
め、しずかに引きさがってくる。つづいて顎十郎の番。
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ルパンは咄嗟の場合品物を
検
(
あらた
)
めもせずそのまま
懐中
(
ポケット
)
へ
捩
(
ね
)
じ込んだ。ジルベールは咡く様に
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
秀次が高野へ
赴
(
おもむ
)
いた時、順礼や修験者に姿を
窶
(
やつ
)
して何処迄もと
輿
(
こし
)
の跡を慕った者が多かったけれども、此処彼処で厳しく体を
検
(
あらた
)
められて追い返され、或る者は己が故郷へ帰り
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と嬉しさうにそれを押し戴いて、母は中を
検
(
あらた
)
めて見た。さうして紙幣を数へて見て
奥間巡査
(新字旧仮名)
/
池宮城積宝
(著)
玄白斎は、
髻
(
もとどり
)
と、頤とを掴んで、猟師の顔を
検
(
あらた
)
めてから、立上って、和田にいった。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
ドゥーニャにほうり出されてドアのそばへけし飛んだ拳銃が、ふと彼の目にはいった。彼はそれを拾い上げて
検
(
あらた
)
めてみた。それは旧式な懐中持ちで、小型な三連発の回転拳銃だった。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
検
(
あらた
)
め見れば、
鈎※
(
はりす
)
、
沈
(
おもり
)
、綸など、
紊
(
みだ
)
れに紊れ、処々に泥土さへ着きて、前回の出遊に、雪交りの急雨に
降
(
あ
)
ひ、手の指
亀
(
かじか
)
みて自由利かず、其のまゝ引きくるめ、
這々
(
ほうほう
)
の体にて戻りし時の
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
彼は内ポケットから財布を取出して、中を
検
(
あらた
)
めると、再びそれをしまった。それから、自分の興奮と動悸とを静めるために、ことさらに
大胯
(
おおまた
)
に、今おりて来た坂道をまた登りはじめた。
プウルの傍で
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
スルとこんな物があると
札
(
さつ
)
を
検
(
あらた
)
める邪魔になると
云
(
いっ
)
て、
態
(
わざ
)
と上包を
還
(
かえ
)
して遣るなどは
随分
(
ずいぶん
)
殺風景なことで、世間の人の驚いたのも無理はないが、今日それが日本国中の風俗習慣になって
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
わたしの肩越しに鏡に見入っていた博士はさっと顔色を変えて、私の手からその鏡を奪うように引っ取って、細心にそれを
検
(
あらた
)
めていたが、やがてそれを机の
抽斗
(
ひきだし
)
に入れて錠をかけてしまった。
世界怪談名作集:10 廃宅
(新字新仮名)
/
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン
(著)
弗入
(
どるいれ
)
から、あらゆるかくし、トランクの中まで、私の留守をねらってそっと探したり、私をおどかして大ぴらに
検
(
あらた
)
めたり、あらゆる方法を尽して調べましたが、宝石はどうしても見付かりません。
天才兄妹
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
後で死人の身体を
検
(
あらた
)
めた。それには情交宛若たるものがあった。
黄金の枕
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「では確かに半金だけ、……どうかちよいとお
検
(
あらた
)
め下さい」
雛
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
北公
向
(
むこ
)
う
地
(
じ
)
の親分、どうかご遠慮なくお
検
(
あらた
)
めください。
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
受取りを書いてから、彼はもう一度その紙幣を
検
(
あらた
)
めた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
それから二人して、一応そこらの死骸を
検
(
あらた
)
めてみると、杖で打ち殺されている者が七名、武蔵が斬った者が五名、杖のほうが多かった。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は、若い婦人の後姿を、それからそれと一人々々
検
(
あらた
)
めた。が、たった一度、相見た丈の女は、後姿に
依
(
よ
)
っては、直ぐそれと分りかねた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「無法ではない、この家に落人を
匿
(
かく
)
まっておると聞いて
検
(
あらた
)
めに来た、家人が邪魔をするから踏みこんだまで、御坊には係わりのないことだ」
荒法師
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
結び目を解いて中味を
検
(
あらた
)
めて見ると、何でもない古新聞紙で、ただ紫のハンカチを包みらしく見せかけるために包んだもののように見えた。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
林
(
りん
)
も御用大事と心得ている人物であるので、外出する時には必ず重要書類を懐中して出て、途中でも二、三度ぐらいは
検
(
あらた
)
めることにしていた。
中国怪奇小説集:10 夷堅志(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
併
(
しか
)
し死人だと云えば佐野まで引いて往ってくれべいが、隠しだてをするなら、
後
(
あと
)
へ
引返
(
ひきけえ
)
して、藤岡の警察署へ往って、其の荷を
開
(
ひら
)
いて
検
(
あらた
)
めて貰うべい
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
猶
(
な
)
お
四辺
(
あたり
)
には様々の空瓶を
堆
(
うずたか
)
きほど重ねあり、目科は外の品よりも
是等
(
これら
)
の瓶に
尤
(
もっと
)
も其眼を注ぎ殊に其瓶の口を仔細に
検
(
あらた
)
むる様子なれば余は初て合点行けり
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
封のしてある
甕
(
かめ
)
をよく
検
(
あらた
)
めその封を切って
蓋
(
ふた
)
を開けると、欽差駐蔵大臣が象牙の箸を持って、眼を
塞
(
ふさ
)
ぎながら甕の中へ突っ込んで一つだけ摘まみ出すです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
察する所見舞に来た人が外からの到来物を三月も四月も保存しておいて中も
検
(
あらた
)
めずにそのまま持って来たのだろう。世中にこれほど不親切な事はあるまいね。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
検
(
あらた
)
めるまでもなく、お美野は
扼死
(
やくし
)
している。あるいは絞殺されている。どっちにしろ、死体がひとりでに宙に浮いて、綱を引いて上って来ることは考えられない。
釘抜藤吉捕物覚書:13 宙に浮く屍骸
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
検
常用漢字
小5
部首:⽊
12画
“検”を含む語句
検挙
検校
塙検校
検非違使庁
検察官
検非違使
探検
検見
検査
臨検
下検分
検察
検束
探検隊
御検分
巡検
探検者
検屍
検分
検覈
...