昔話むかしばなし)” の例文
昔話むかしばなしに、よくこれにたことがあったのをききましたが、かれは、いまそれが自分じぶんうえであることにおどろき、おそれたのであります。
銀のつえ (新字新仮名) / 小川未明(著)
『つい昔話むかしばなし面白おもしろさに申遲まうしおくれたが、じつ早急さつきふなのですよ、今夜こんや十一はん滊船きせん日本くにかへ一方いつぱうなんです。』
それにえあたしゃそこらにてた、れた草鞋わらじもおんなじような、水茶屋みずぢゃや茶汲ちゃくむすめ百夜ももよみちかよったとて、おまえって、昔話むかしばなしもかなうまい。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
夫故それゆゑ箱書はこがき黙阿弥翁もくあみをうしたゝめてもらひましたが、此文中このぶんちうにもあるとほり十有余年いうよねん昔話むかしばなし流行はやつたことと見えまする。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
七日前なぬかぜん東京驛とうきやうえきから箱根越はこねごし東海道とうかいだう。——わかつた/\——逗留とうりうした大阪おほさかを、今日けふ午頃ひるごろつて、あゝ、祖母おばあさんのふところ昔話むかしばなしいた、くりがものふ、たんばのくに
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
マーキュ 昔話むかしばなし猫王チッバルトぢゃとおもうたらあてちがはう。見事みごと武士道ぶしだう式作法しきさはふ精通せいつうあそばしたお達人たつじんさまぢゃ。
するとおてらの中からこしがったおじいさんのぼうさんが三にん、ことことつえをつきながら、さもうれしそうにやってて、太子たいし御様子ごようすをたずねるやら、昔話むかしばなしをするやらしたあとで、妹子いもこのいうままに
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
もつとも、これは昔話むかしばなしである)
たものは、この心配しんぱいや、としわすれると、昔話むかしばなしいたが、まだだれもたとかぬ天女てんにょまいでございますか。それはありがたい。」
羽衣物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、うもみません、だいこともありませんのに、奥州おうしう本松ほんまつふのは、昔話むかしばなしなにかでみゝについてたものですから、夢現ゆめうつゝ其処そことほつたやうにおもつたんです。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こと面倒めんだうおもはゞ、昔話むかしばなし海賊船かいぞくせん戰術せんじゆつ其儘そのまゝに、するど船首せんしゆ眞一文字まいちもんじ此方こなた突進とつしんきたつて、に/\劍戟けんげき振翳ふりかざせる異形ゐげう海賊かいぞくども亂雲らんうんごと甲板かんぱん飛込とびこんでるかもれぬ。
這囘このたび向島むかうじま武蔵屋むさしやおいて、昔話むかしばなしくわい権三ごんざりやす」
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「じゅんさいがありますね、なかなかふるいけとみえる。きみは、なにかこのいけについて、おもしろい昔話むかしばなしいたことがありませんか。」と、紳士しんしは、たずねました。
銀河の下の町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
黄金こがねはこなどというものは、そうたくさんあるものでないから、どこかのくら宝物ほうもつとなって、そのまましまってあるか、もしくは、どこかの地中ちちゅうにうずめられているという昔話むかしばなしでも
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
秀公ひでこうが、ちいさいとき、おばあさんから、昔話むかしばなしをきいたんだって。
二少年の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)