やから)” の例文
DS の昼と悪魔の夜と交々こもごもこの世をべん事、あるべからずとは云い難し。されどわれら悪魔のやからはそのさが悪なれど、善を忘れず。
るしへる (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そんな風に、元を忘れ、奢りに長じたら、おのづから上を恐れず、人を侮り、正しきものの味方から背き去るやからも出て來るものである。
桃の雫 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
尊き父の第四のやからかゝる姿にてかしこにありき、父は氣息いきさまと子を生むさまとを示しつゝ絶えずこれをかしめ給ふ 四九—五一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
この本を見たこともないと申す阿魔や山の神には兎角そんなやからが往々あって困りますよ、ハヽヽヽ。何うも余事にわたって恐れ入りました。
「時に、ラムのやからブジ人バラケルの子エリフ、大なる怒りをおこせり、ヨブ神の前におのれを正しとするによりて、彼はヨブに向かいて怒りを発せり。」
われは飇風へうふうに捲き起さるゝ沙漠の砂の如き、常に重く又暗き空氣を見き。われは亡魂の風に向ひて叫喚するとき、秋深き木葉の如く墜ちゆく亞當アダムやからを見き。
すべて汝らのやからに属するものことごとく来たってわが呪いに名をしょせよ。わしは今わしの魂魄こんぱく永劫えいごうに汝らの手に渡すぞ。おゝ清盛よ。奈落ならくの底で待っているぞ。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
かれ稽首のみ御幣物ゐやじりを獻る。白き犬に布をけて、鈴を著けて、おのがやから、名は腰佩こしはきといふ人に、犬のつなを取らしめて獻上りき。かれその火著くることを止めたまひき。
「群小のやからは、頼むに足りません。もしあなたが、かたく誓うならば、私は、これこそと思う胸中の一人物を、三寸不爛さんずんふらん舌頭ぜっとうにかけても、きっと起たせてみせますが」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
患者等かんじゃら油虫あぶらむし南京虫なんきんむしねずみやからてられて、んでいることも出来できぬと苦情くじょうう。器械きかいや、道具どうぐなどはなにもなく外科用げかよう刄物はものが二つあるだけで体温器たいおんきすらいのである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
作法よろシカラザル儀レ有ル段相聞エ候、以後右ノ様子ノやから、之レ有ルニ於テハ、急度きっと、御吟味ヲ遂ゲラルベキ旨、仰セ出サレ候、向後、相慎シミ、作法宜シキ様ニつかまつルベキ旨
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
否、君を思ふ心の深きそこひをば今ぞ知りぬる。君は故里に頼もしきやからなしとのたまへば、此地に善き世渡のたつきあらば、留り玉はぬことやはある。又我愛もて繋ぎ留めでは止まじ。
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
蹴鞠けまり・茶道・あるいは連歌れんが俳諧はいかい・碁・将棋しょうぎ等の遊び業これあるところ、今にては御旗本に似合わざる三味線さみせん浄瑠璃じょうるりをかたりこうじては川原ものの真似を致すやからも間々これある由
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
あはれ此程このほどまでは殿上てんじやうまじはりをだに嫌はれし人の子、家のやから、今は紫緋紋綾しひもんりよう禁色きんじきみだりにして、をさ/\傍若無人の振舞ふるまひあるを見ても、眉をひそむる人だに絶えてなく、夫れさへあるに衣袍いはう紋色もんしよく
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
ついに敢えなくなりたまう、その梨の木は、亭々として今も谿間にあれど、果は皮が厚く、渋くて喰われたものでない、秀綱卿の怨念おんねんこの世に残って、あだをしたやからは皆癩病になってもがじにに死んだため
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
大伴家持は、天平勝宝八歳、「やからさとす歌」長短歌を作った。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ペラスゴスなるアルゴスを領するやから、アーロスに
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
市をめぐつて海のやからが酔うて痴れて酔ひ痴れて
沈め (新字旧仮名) / 仲村渠(著)
聖なるやからヘイムダールの御子達
わが用ゐし言葉は、ネムブロットのやからがかの成し終へ難きわざを試みしその時よりも久しき以前さきに悉く絶えにき 一二四—一二六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
おそらく闘争は神代よりあった、上御一人をしてよろずのやからべさせたもうことは神の大御心の測りがたいところではあるまいか、ともある。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
否、君を思ふ心の深きそこひをば今ぞ知りぬる。君は故里ふるさとに頼もしきやからなしとのたまへば、此地に善き世渡のたつきあらば、留り玉はぬことやはある。又我愛もて繋ぎ留めではまじ。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
大伴家持やかもちが、一族の子弟に与えるため作ったものという「やからす歌」だった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
初め天皇、わざはひに逢ひて、逃げましし時に、その御かれひりし猪甘ゐかひ老人おきなぎたまひき。ここに求ぎ得て、喚び上げて、飛鳥河の河原に斬りて、みなそのやからどもの膝の筋を斷ちたまひき。
病院びやうゐん小使こづかひ看護婦かんごふ子供等抔こどもらなどみな患者くわんじや病室びやうしつに一しよ起臥きぐわして、外科室げくわしつには丹毒たんどくえたことはい。患者等くわんじやら油蟲あぶらむし南京蟲なんきんむしねずみやからてられて、んでゐることも出來できぬと苦情くじやうふ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
領するやから率ゐるはペーヂッポスとアンチポス
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
汝これをあやしとするなからんため、思ひみよ、地には治むる者なきことを、人のやから道を誤るもこの故ぞかし 一三九—一四一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
しかし、この新将軍が貴冑きちゅうやからながらも多年内外の政局に当たり、見聞も広く、経験も積んでいて、決して尋常の貴公子でないことを忘れてはならない。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ふみをばいなという字にて起したり。否、君を思う心の深きそこいをば今ぞ知りぬる。君は故里ふるさとに頼もしきやからなしとのたまえば、この地にき世渡りのたつきあらば、とどまりたまわぬことやはある。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
海の鰐を欺きて言はく、われいましと競ひてやからの多き少きを計らむ。
領するやから其稱はミリミドネスとヘレーネス
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
かゝるやからにかくうちまもられ我はそのひとりにさとられき、彼わが裾をとらへ叫びて何等の不思議ぞといふ 二二—二四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
山のまの家居る民のやからまで御幸をろがむことのかしこさ
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
我見るに、今より後程なく來る一の時あり、この時到らばほかのカルロは己と己がやからの事をなほよく人に知らせんとてフランスを出づべし 七〇—七二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
天のやから今なほ汝をまばゆうすともあやしむなかれ、こは人を招きて登らしめんために來れる使者つかひなり 二八—三〇
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
あゝブレッティノロよ、汝のやからと多くの民は罪を避けてはや去れるに、汝何ぞ亡びざるや 一一二—一一四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
サラディーノを見き、我なほ少しく眉をあげ、哲人のやからの中に坐したる智者の師を見き —一三二
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
蟻のやからよりふたゝびもとのさまにかへさる
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)