官吏くわんり)” の例文
つきかはつてからさむさが大分だいぶゆるんだ。官吏くわんり増俸ぞうほう問題もんだいにつれて必然ひつぜんおこるべく、多數たすううはさのぼつた局員きよくゐん課員くわゐん淘汰たうたも、月末げつまつまでほゞ片付かたづいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
して、官吏くわんりまたは軍人ぐんじんにして、身分の體面を維持いじし、家の基礎きそを動かさぬだけの人間に仕上げやうと期してゐたのであツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
宮中きうちう官吏くわんりたがひ佛語ふつごはなしてゐるのをてトルコの滅亡めつばうとほからずと直感ちよくかんしたのである。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
税関附ぜいくわんづき官吏くわんりて、大蔵省おほくらしやうから桑港税関長さうかうぜいくわんちやうてた書面しよめんうつしれる。ると、一周会員しうくわいいん荷物にもつ東京駐剳大使とうきやうちうさつたいし照会せうくわいがあつたので、一々検査けんさくはふるにおよばぬとの内訓ないくんである。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
たい日本にほんけんよりちひさいものにぐんけてゐるのは不都合ふつがふだと、吉田東伍よしだとうごさんなんぞは不服ふふくとなへてゐる。りよはたして台州たいしう主簿しゆぼであつたとすると日本にほん府縣知事ふけんちじくらゐ官吏くわんりである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
いまから大凡おほよそ十三四ねん以前いぜんまちの一ばん大通おほどほりに、自分じぶんいへ所有つてゐたグロモフとふ、容貌ようばう立派りつぱな、金滿かねもち官吏くわんりつて、いへにはセルゲイおよびイワンと二人ふたり息子むすこもある。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それ其筈そのはづ実家さと生計向くらしむきゆたかに、家柄いへがら相当さうたうたかく、今年ことし五十幾許いくつかのちゝ去年きよねんまで農商務省のうしやうむしやう官吏くわんりつとめ、嫡子ちやくし海軍かいぐん大尉たいゐで、いま朝日艦あさひかん乗組のりくんでり、光子みつこたつ一人ひとり其妹そのいまうととして
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
一停車場あるステイシヨンで、かれとなりた、黒地くろぢ質素しつそ洋服やうふくて、半外套はんぐわいたうはおつて、鳥打とりうちかぶつた山林局さんりんきよく官吏くわんりともおもふ、せた陰氣いんきをとこが、薄暗うすぐらまどからかほして、とほりがかりの驛員えきゐんんでいた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「でも新聞しんぶんると、來年らいねんから一般いつぱん官吏くわんり増俸ぞうほうがあるとはなしぢやありませんか」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さうして各人かくじん正當せいたうをはりであるとするなれば、なんため人々ひと/″\邪魔じやまをするのか。かりにある商人しやうにんとか、ある官吏くわんりとかゞ、五ねんねん餘計よけい生延いきのびたとしてところで、れがなんになるか。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
たう貞觀ぢやうくわんころだとふから、西洋せいやうは七世紀せいきはじめ日本にほん年號ねんがうふもののやつと出來掛できかかつたときである。閭丘胤りよきういん官吏くわんりがゐたさうである。もつともそんなひとはゐなかつたらしいとひともある。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)