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妓
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こ
ふりがな文庫
“
妓
(
こ
)” の例文
されば二十四、五の年増になっても十七、八の若い
妓
(
こ
)
同様にお客の受けがよく、一度呼ばれれば
屹度
(
きっと
)
裏が返るという噂さえあった。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「外ぢや御座いません、——あの柳橋で殺された吉原藝妓の
奴
(
やつこ
)
——あの
妓
(
こ
)
のことに付きまして、親分に伺ひたいことが御座います」
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
藤「あいた/\/\、あなた、あいた……そんな乱暴なことをしては困りますねえ、
私
(
わたくし
)
などの云う事を聞く
妓
(
こ
)
ではありませんから」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何だか赤ん坊になって生れ故郷へ帰ったような気持ちになってボンヤリ立っていると向うから綺麗な舞い
妓
(
こ
)
が二人連れ立って来た。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
一
(
ひ
)
ト月過ぎ
二
(
ふ
)
タ月
過
(
すぎ
)
ても
此
(
この
)
恨
(
うらみ
)
綿々
(
めんめん
)
ろう/\として、
筑紫琴
(
つくしごと
)
習う
隣家
(
となり
)
の
妓
(
こ
)
がうたう唱歌も我に引き
較
(
くら
)
べて絶ゆる事なく悲しきを、コロリン
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
辰巳
(
たつみ
)
ごのみを典型的に身に持っている
妓
(
こ
)
だった。すこし
窶
(
やつ
)
れの見えるのもかえって男には魅惑がある。二十三、四というところであろう。
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けンど、
漸
(
ようや
)
くのことで、南の新地で時々遊ぶらしい事を嗅ぎ出して、馴染の
妓
(
こ
)
を尋ね当てゝ、客になってちょい/\呼びました。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
眩
(
まぶ
)
しいような電燈の
灯影
(
ほかげ
)
の
漲
(
みなぎ
)
ったところに、ちょうど入れ替え時なので、まだ二人三人の
妓
(
こ
)
たちが身支度をして出たり入ったりしている。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
頗
(
すこぶ
)
る道化たもので「腰付がうまいや。」と志田君が呟やいて居たが、私は、「若し芸妓の演芸会でもあつたら
此
(
この
)
妓
(
こ
)
を賞めて書いてやらう。」
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
勿論
(
もちろん
)
、一流のお客さんたちは、評判になった
妓
(
こ
)
の顔も知らないとあっては
恥辱
(
はじ
)
とばかりに、なんでもかんでも呼んで来いということになる。
モルガンお雪
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
先刻
(
さっき
)
出て行った
妓
(
こ
)
が、いつの間にか村川の前に帰って来ていた。そして、割箸を袋の中から出して、白いかわいい手で、二つに割っていた。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「正念寺様におまいりをして、それから木賃へ
行
(
ゆ
)
くそうです。いま参りましたのは、あの
妓
(
こ
)
がちょっと……やかたへ連れて行きましたの。」
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あながちそれを悪口とばかりいってしまえないというものは、いまの若い
妓
(
こ
)
たちは、俥へ乗るのをあんまりうれしがらないかたちがあります。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
あんたはん、この
妓
(
こ
)
に床をつけてやっておくんなはれ、でないと女郎屋の規則としてお金とる訳に行きませんよって——
苦力頭の表情
(新字新仮名)
/
里村欣三
(著)
その
妓
(
こ
)
は仲の町のある家の抱えであったが、さっぱりお座敷がなくて姐さんや朋輩からも冷遇されていたが、ついにわが身を
果敢無
(
はかな
)
んで死を
択
(
えら
)
んだ。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
柳橋ではどちらも評判の売れっ
妓
(
こ
)
で、屋敷まで文をよこすほどのぼせあがっているが、永井はまるで見向きもしない。
古今集巻之五
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
あまり売れのよくない
妓
(
こ
)
が二人いるきりで、銀子の月々入れる少しばかりの看板料すら当てにするようになっていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その時分気心の合っていた札幌の芸者で君太郎という二十一になる自前の
妓
(
こ
)
と、しばらく人眼を避けて二人だけになりたい一種の逃避行なのであった。
生不動
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
里勇と云うのは宗右衛門町から出ている
妓
(
こ
)
で、おさく師匠から特別に可愛がられている山村流の舞い手であった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
蛇
(
じゃ
)
の道は
蛇
(
へび
)
さ。それに、あたし、光丸さんと踊りながら、あの
妓
(
こ
)
が、妊娠してることに気づいたよ。踊るのが苦しそうだったし、肩で息ばかりしてたわ。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
東京生れの
妓
(
こ
)
が靜かに爪彈か何かで三味線を彈いてゐるさまなどがをりをり繪になつて私の眼に映つて見えた。
日光
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
暫くして「今晩は、女将さん」と三人の若い、しかしあまり美しくない
妓
(
こ
)
が三味線も持たずに上がって来た。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
邪魔な独り者には吉原でよい
妓
(
こ
)
が待っておるとよ。京弥! 程よく可愛がってつかわせよ。——流水心なく風また寒し。遙かに
華街
(
かがい
)
の灯りを望んでわが胸独り寥々……
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
これも
亦
(
また
)
、
招
(
よ
)
ばれて行く
妓
(
こ
)
と見え、箱屋一人連れ、
褄
(
つま
)
高く取つて、いそ/\と二人の前を通過ぎた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「あれじゃない。ホラ、あの右にいる黒いドレスの方だ。あれは、まさかここの
妓
(
こ
)
じゃあるまい」
人外魔境:05 水棲人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
お駒はことし二十二の勤め盛りで、眼鼻立ちは先ず普通であったが、ほっそりとした痩形の、いかにも姿のいい女で、この伊勢屋では売れっ
妓
(
こ
)
のひとりに数えられていた。
半七捕物帳:31 張子の虎
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
蝶子は
声自慢
(
こえじまん
)
で、どんなお
座敷
(
ざしき
)
でも思い切り声を張り上げて
咽喉
(
のど
)
や額に筋を立て、
襖紙
(
ふすまがみ
)
がふるえるという浅ましい
唄
(
うた
)
い方をし、陽気な座敷には無くてかなわぬ
妓
(
こ
)
であったから
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
『もう店はしてえしまへんがな。
妓
(
こ
)
どもしも二人居るだけで、
阿母
(
おか
)
アはんと
四人
(
よつたり
)
だす。……お茶屋はんから口がかゝると
妓
(
こ
)
どもを送るだけで、家へはお客を上げえしまへん。』
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
芳男はお槙のほかによし町の小仙という
妓
(
こ
)
の旦那をつとめているね。小唄の師匠というのに入れあげてもいるそうだ。修作もよし町のヒナ菊という妓の旦那を相つとめているね。
明治開化 安吾捕物:03 その二 密室大犯罪
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
わかい
妓
(
こ
)
を二人招んで騒いでゐると、やがて対岸で
竹法螺
(
たけぼら
)
が鳴りだし、
箱丁
(
はこや
)
が芸者のお直しを交渉に来るのが道中往復に困難なため、いつも竹法螺を吹いて間に合はすのだと云ふ。
落語家温泉録
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
「……
気質
(
きだて
)
も素直だし、顔もよい方だし、肌も綺麗だし、旦那の一人や二人、出来ない筈はないんだが……。まったく、看板みたいな
妓
(
こ
)
だ、どこか、足りないんじゃないかしら……。」
操守
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
この娼婦達が何んと子供っぽい迄に若く、子供さながらに元気でお
喋舌
(
しゃべ
)
りで
悪戯
(
いたずら
)
ッ
児
(
こ
)
的であることか。それは全く
吃驚
(
びっくり
)
する程なのだ。一見どの
妓
(
こ
)
もどの妓も十六七にしか見えないのだ。
赤げっと 支那あちこち
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「兄さん、気晴らしに一遍遊びに
往
(
ゆ
)
きまひよかいな。」延若はにや/\笑ひながら靴滑りのやうに曲つた
頤
(
あご
)
を撫でまはした。「あんたに見せたい/\と思うてる
妓
(
こ
)
が一人おまんのやぜ。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
むしろ美し過ぎるほど美しい女で、その美しいのをこってりとあでやかにつくっている、それは
芸妓
(
げいしゃ
)
だ。年も若いし、相当の売れっ
妓
(
こ
)
になっている芸妓——兵馬は
一時
(
いっとき
)
、それの姿に眼を奪われて
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
乞う。取次が出てくる。押問答になる。それだけ——まず、命に別条の無い方へ廻りたい。百石の御加増はいらんが、命はいる。拙者は不用だが、あの
妓
(
こ
)
がいると、おっしゃる。はいはい左様で御座い
三人の相馬大作
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
桃割の
妓
(
こ
)
の瞳だけ
欲
(
ほ
)
しいです
鶴彬全川柳
(新字旧仮名)
/
鶴彬
(著)
春著
(
はるぎ
)
の
妓
(
こ
)
右の
袂
(
たもと
)
に左の手
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
「
外
(
ほか
)
じゃございません、——あの柳橋で殺された吉原芸妓の
奴
(
やっこ
)
——あの
妓
(
こ
)
のことにつきまして、親分に伺いたいことがございます」
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
楼「それでは小主水の花魁、お前に預けますから、何うか意見をして遣って下さい、
私
(
わし
)
もこの
妓
(
こ
)
が
悪
(
にく
)
うて折檻までするのではないからね」
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「どうして、この
辰巳
(
たつみ
)
でも、あんなに売れた
妓
(
こ
)
はなかった程だけれど、ちょっと、おかしな事が、ぱっと聞えたものだからさ」
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
金瓶大黒の今紫の男舞といえば、明治もずっと末になって、今紫といった
妓
(
こ
)
の晩年まで地方の劇場では売りものにしていた。
旧聞日本橋:16 最初の外国保険詐欺
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
あんな派手な
妓
(
こ
)
が
落籍祝
(
ひきいわい
)
どころじゃありません、
貴郎
(
あなた
)
、
着換
(
きがえ
)
も無くしてまで、借金の方をつけて、
夜遁
(
よに
)
げをするようにして
落籍
(
ひい
)
たんですもの。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
家にいる他の
妓
(
こ
)
たちはまたそれを面白がって、対手になって
戯弄
(
からか
)
うと、彼女は
生真面目
(
きまじめ
)
な顔をしてそれに受け
応
(
こた
)
えをしているという有様である。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
先刻
(
さつき
)
膳を運ぶ時、目八分に捧げて、眞先に入つて來て、座敷の中央へ突立つた儘、「マア怎うしよう、私は。」と、仰山に驚いた
姿態
(
しな
)
を作つた
妓
(
こ
)
であつた。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
この碑は勿論空襲の際に破壊されたと思う。藤田医院には土地柄
廓
(
くるわ
)
の
妓
(
こ
)
たちなども診察を受けにきていた。
安い頭
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
昔は
此
(
この
)
京
(
きょう
)
にして此
妓
(
こ
)
ありと評判は
八坂
(
やさか
)
の塔より高く
其
(
その
)
名は
音羽
(
おとわ
)
の滝より響きし
室香
(
むろか
)
と
云
(
い
)
える
芸子
(
げいこ
)
ありしが、さる程に
地主権現
(
じしゅごんげん
)
の花の色
盛者
(
しょうじゃ
)
必衰の
理
(
ことわり
)
をのがれず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
これも花村からの
夤縁
(
いんねん
)
で、取引することになり、抱え
妓
(
こ
)
の公正証書を担保に、金を融通するので、勘定日には欠かさず背広姿で、春よしの二階へ現われるのだった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「馬子にも衣裳という奴じゃ。あの
妓
(
こ
)
、この妓があれば見せたいのう。駕籠じゃ。支度せい」
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
その右側の
妓
(
こ
)
の眼鼻立ちが鶴原の未亡人にソックリのように見えたので、私は思わず微笑しながら近付いて名前をきいたら右側のは「美千代」、左側のは「玉代」といった。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
金に窮してのうえではないので、
自前
(
じまえ
)
でもよいのだが、身分を隠すため、わざと、借金をした。新之助も、君香も、「よい
妓
(
こ
)
が来てくれた」といって、すこぶる、よろこんだ。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
妓
漢検準1級
部首:⼥
7画
“妓”を含む語句
娼妓
芸妓
雛妓
妓女
芸妓屋
妓樓
妓楼
歌妓
抱妓
藝妓
流行妓
芸妓連
舞妓
老妓
妓夫
妓家
芸妓衆
芸娼妓
妓生
妓衆
...