停車場ステエシヨン)” の例文
牛乳とか玉子とか草花の束ねたのとかを停車場ステエシヨンごとに女が賣りに來る。私の机の上にも古い鑵に水を入れて差された鈴蘭の花があつた。
巴里まで (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
牛乳とか玉子とか草花の束ねたのとかを停車場ステエシヨンごとに女が売りに来る。私の机の上にも古いくわんに水を入れて差された鈴蘭の花があつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
併し又一転して考へて見ると、やはり停車場ステエシヨンへ行つた方が好いやうに思はれる。行つて、あいつの来ないのを見て遣らうと思ふのである。
駆落 (新字旧仮名) / ライネル・マリア・リルケ(著)
かべ天井てんじやうゆきそらのやうにつた停車場ステエシヨンに、しばらくかんがへてましたが、あま不躾ぶしつけだとおのれせいして、矢張やつぱ一旦いつたん宿やどことにしましたのです。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
引返して馬車を雇はうと思つたがこの停車場ステエシヨンには馬車が居ないと曙村が云ふ。路普請みちぶしんをして居る土方に聞くと、このみち真直まつすぐけ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
わたくしあすの朝六時に停車場ステエシヨンに参つてゐます。六時に出る汽車がございます。いつもお父う様がそれに乗つて猟に行きますから知つてゐます。
駆落 (新字旧仮名) / ライネル・マリア・リルケ(著)
ですから、同列車どうれつしや乘客じようかくうちで、停車場ステエシヨンはなれましたのは、多分たぶんわたし一番いちばんあとだつたらうとおもひます。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
短距離にある市内の停車場ステエシヨンを七つばかり過ぎて郊外へ出ると、涼しい風が俄に窓から吹き込んで來るのであつた。暗がりから明るみへ出た樣な氣味で自分は右と左を見廻して居た。
巴里の旅窓より (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
しまひに極めて落着いた黒地の中の停車場ステエシヨンへわたし等二人は降りた。ばらばらと二三十人ぐらゐが歩いて居るだけである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
みづつたとはこと停車場ステエシヨンわりしづかで、しつとりと構内こうない一面いちめんれてる。赤帽君あかばうくん荷物にもつたのんで、ひろところをずらりと見渡みわたしたが、約束やくそく同伴つれはまだない。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
突立つツたつてては出入ではひりの邪魔じやまにもなりさうだし、とばくち吹降ふきぶりのあめ吹込ふきこむから、おくはひつて、一度いちどのぞいた待合まちあひやすんだが、ひとつのに、停車場ステエシヨンときはりすゝむほど
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まゝよ、一分いつぷんでも乘後のりおくれたら停車場ステエシヨンから引返ひきかへさう、それがい、と目指めざ大阪おほさかかたきつて、うもうはじめから豫定よてい退却たいきやく畫策くわくさくするとふのは、あんずるに懷中くわいちうのためではない。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
三千歳みちとせさん、おきりさん。」——風流懺法ふうりうせんぽふ女主人公をんなしゆじんこうと、もう一人ひとり見知越みしりごし祇園ぎをん美人びじんに、停車場ステエシヨンから鴨川越かもがはごえに、はるかに無線電話むせんでんわおくつたところは、まで寢惚ねとぼけたともおもはなかつたが
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
上野うへの汽車きしや最後さいご停車場ステエシヨンたつすれば、碓氷峠うすひたうげ馬車ばしやられ、ふたゝ汽車きしやにて直江津なほえつたつし、海路かいろ一文字いちもんじ伏木ふしきいたれば、腕車わんしやせん富山とやまおもむき、四十物町あへものちやうとほけて、町盡まちはづれもりくゞらば
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いそいでると、停車場ステエシヨン入口いりくちに、こゝにもたゞ一人ひとり、コートのすそかぜさつふきまどはされながら、そでをしめて、しよぼれたやうにつて、あめながるゝかげはぐるまいとつてる。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
停車場ステエシヨンより、路を葉山の方にせず、鎌倉の新道、鶴ヶ岡までトンネルを二つ越して、一里八町と申し候方に、あひむかひ候へば、左に小坪の岩の根、白波の寄するを境に、青田と浅緑の海とをながめ
逗子より (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)