人殺ひとごろし)” の例文
外でもない、貴女の地位は罪を隠すことが出来るので、人殺ひとごろしをして今が今まで、賢夫人の名を保っていたのだ、それそれがごくよろしくない。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
当今は人殺ひとごろしにも過失殺故殺謀殺などとか申して、罪に軽重けいじゅうがございますから、少しの云廻しで人を殺しても死罪にならずにしまいますが、旧幕時代の法では
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
のせ亥刻過頃よつどきすぎごろ鈴ヶ森迄歸り來り候處不※ふと彦兵衞の事を思出おもひだし去年此所で御所刑に成りし彦兵衞は正直者しやうぢきものゆゑ勿々なか/\人殺ひとごろし夜盜よたう等は致すまじ此盜人は外にあらんと申事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
偶然大金を拾ひ候ばかりに人殺ひとごろしの大罪を犯す身となりはて候上は、最早や如何ほど後悔致候ても及びもつかぬ仕儀しぎにて、今は自首致して御仕置おしおきを受け申すべきか。
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
身は戸の口にたちまゝなるもまなこ室中しつじゅう馳廻はせまわれり、今まで絵入の雑誌などにて人殺ひとごろしの場所を写したる図などは見し事ありいずれにも其辺そのあたり取散とりちらしたる景色見えしに
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
おれは人殺ひとごろしであったんだなと始めて気がついた途端とたんに、背中の子が急に石地蔵のように重くなった。
夢十夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「すなわち人殺ひとごろし受負業うけおいぎょう! アッハッハッハッ、一人切ったぞ」
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
山師やまし! 人殺ひとごろし!』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
毒を遣った横著な人殺ひとごろし
吹雪ふゞきに、なんつてそとようと、放火つけび強盜がうたう人殺ひとごろしうたがはれはしまいかとあやぶむまでに、さんざんおもまどつたあとです。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ドッ/\と岩へあたって落します水に移るは夕日影、さしひらめく刀の光り、右内は心がせきますから、サア/\/\と責めつけられ、下では只人殺ひとごろし々々と云っている。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
神田三崎町かんだみさきちょう調練場跡ちょうれんばあと人殺ひとごろし首縊くびくくりの噂で夕暮からは誰一人通るものもない恐しい処であった。
無實むじつに殺させん事不便ふびんなりとて我と名乘なのり奉行所ぶぎやうしよいで火付ひつけ十三ヶしよ人殺ひとごろしにん夜盜かずれず其中そのうち麻布あさぶ原町はらまち質屋しちや這入はい金子きんす八十りやう代物しろもの二十五しなぬすみよし白状はくじやうに及びしかば大岡殿おほをかどの八を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お此無惨なる人殺ひとごろしに附き其筋の調しらべたる所を聞くに死骸は川中より上げたれど流れきたりし者には非ず別におぼれ漂いたりと認むる箇条は無く殊に水の来らざる岸の根に捨てゝ有りたり
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
人殺ひとごろしでもしてやろうか!)
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
『この山師やまし! 人殺ひとごろし!』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
何と言って外へ出ようと、放火つけびか強盗、人殺ひとごろしに疑われはしまいかとあやぶむまでに、さんざん思いまどったあとです。
雪霊続記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ソラ喧嘩けんか人殺ひとごろしだというが早いか路行く人々は右方左方うほうさほう逃惑にげまどうものもあれば、我遅れじと駈けつけるものもある。その後につづいて町の犬が幾匹ともなくえながら走る。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
目科はすきも有らせず「なに珈琲館を出たのは六時頃だッたがバチグノールに人殺ひとごろしが有たので隣室の方と共に其方そのほうへ廻ッて夫故それゆえ此通このとおり」と言開く、細君は顔色にて偽りならぬを悟りし
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
たき「誰か来ておくんなさいよ、うち良人ひとが大変でございますよ、人殺ひとごろしイ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
知る者なし依ては人殺ひとごろし盜賊たうぞくだん有體ありていに白状致せと嚴敷きびしく申されけれども決して右體の惡事あくじいたしたる事なしと申きるゆゑ是非なく拷問がうもんかけ日夜にちや牢問らうとひきびしければ苦痛くつう堪兼たへかねいつそ無實むじつの罪を引受此苦みを免れんと覺悟かくご
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「いや、お前の方が乱暴だ。道理こそ、人殺ひとごろしとも、盗人とも、助けてくれとも泣かないで、争っていたっけが、お前、それじゃ、取組み合う気でかかったのか。」
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
後になって見れば、女の方じゃ別にだまそうと思ってかかった訳でも無いんでしょうが、実に妙な意地張りずくになって、先生、わッしゃ全く人殺ひとごろしをしようと思ったんで御在ます。
あぢさゐ (新字新仮名) / 永井荷風(著)
染め去年築地河岸海軍原に於て人殺ひとごろしのありしことを作り設け之れに探偵の事項を附会して著作せし小説なり本書を読むに始めに探偵談を設けてそれより犯罪の事柄に移りお紺と云う一婦人を
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
何うぞわっしに縄を掛けて引く処へ引いてお呉んなせえ、決して粂之助のとがじゃアねえ、わっち人殺ひとごろしをしたんですから……其の代りどうかあにさん粂を可愛がってやってお呉んなさい、又粂もいか
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「いいえ、お前さん、何だか一通ひととおりじゃあないようだ、人殺ひとごろしもしかねない様子じゃあないか。」さすがの姉御あねご洞中ほらなかやみに処して轟々ごうごうたる音のすさまじさに、奥へ導かれるのを逡巡しりごみして言ったが
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼は既に離縁いたした女で、拙者の妻でないから、白のためにも母でない、それ故に忌服を受けさせんのであると答えられました、礼記の記事は悪人だの人殺ひとごろしだのという事ではありませんが
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
年紀としは若し、容色きりょうし、なるほど操は守られますまい、情夫いろおとこが千人あろうと、姦夫まおとこをなさろうと、それは貴女の御勝手だが、人殺ひとごろしをしても仁者と謂われ、盗人どろぼうをしても善人と謂われて
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鳶「ハ、飛んでもねえ事をいいますね、其様そんなおめえさん……ナなんぼ粂どんが憎いたって、無暗むやみ人殺ひとごろしに落したりなんかして、どうしておまえさん粂どんは其様な悪い事をするような人じゃアねえ」
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そううまくはきっとさせない。言訳がましいことを謂うな。聞くような吾でもなし。またお前だってそうだ。人殺ひとごろしよりなおひどい、(死んでくれれば可い)と思うほどの度胸のある婦人おんなでないか。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
玄「なに強請だ、愚老が強請なら貴公達は人殺ひとごろしの提灯持だ」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
どうです言種いいぐさは、前かど博徒ばくちうち人殺ひとごろし兇状持きょうじょうもち挨拶あいさつというもんです。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
山「人殺ひとごろしい……泥坊……」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
手前は立派な人殺ひとごろしでございます。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
人殺ひとごろし々々」