一齊いつせい)” の例文
新字:一斉
此時このとき堂上だうじやうそう一齊いつせい合掌がつしやうして、夢窓國師むさうこくし遺誡ゐかいじゆはじめた。おもひ/\にせきつた宗助そうすけ前後ぜんごにゐる居士こじみな同音どうおん調子てうしあはせた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いぬはまたなめた。其舌そのした鹽梅あんばいといつたらない、いやにべろ/\してすこぶるをかしいので、見物けんぶつ一齊いつせいわらつた。巡査じゆんさ苦笑にがわらひをして
迷子 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
兎角とかくするほどむすびのつなかれて、吾等われら兩人りやうにんせたる輕氣球けいきゝゆうは、つひいきほひよく昇騰しようたうをはじめた。櫻木大佐等さくらぎたいさら一齊いつせいにハンカチーフをつた。
これ老幼男女ろうようだんじよ區別くべつはず、一齊いつせい災害防止さいがいぼうし努力どりよくしなければならない所以ゆえんである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ああ我れ寡婦となりぬべし、——アカイア勢は一齊いつせい
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
躍出をどりいでて、一齊いつせい太郎たらうまへぬかづ
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
渠等かれら米錢べいせんめぐまるゝときは、「お月樣つきさまいくつ」と一齊いつせいさけれ、あとをもずしてはしるなり。ただ貧家ひんかふことなし。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
端艇たんてい右舷うげん左舷さげんオールにぎめたる水兵等すいへいらも、吾等われら兩人りようにんかほて、一齊いつせいおどろき不審いぶかりまなこ見張みはつた。
銀光照らす洞窟に皆一齊いつせいに胸打ちて、 50
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
ひとつでない、ふたつでもない。三頭みつ四頭よつ一齊いつせいてるのは、ちやう前途ゆくて濱際はまぎはに、また人家じんかが七八けん浴場よくぢやう荒物屋あらものやなど一廓ひとくるわになつてそのあたり。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
婢女一齊いつせいに悲みて、叫はげしく陣營の
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
またそれがためにいきほひし、ちからることは、たゝかひ鯨波ときげるにひとしい、曳々えい/\!と一齊いつせいこゑはせるトタンに、故郷ふるさとも、妻子つまこも、も、時間じかんも、よくも、未練みれんわすれるのである。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
とほりがかりのものは多勢おほぜいあつた。女中ぢよちうも、あひだはなれたが、みな一齊いつせい立留たちどまつて、あふいだ——とふのである。わたしいて、夫人ふじんが、わかいうつくしいひとだけに、なんとなくすごかつた。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しろちゝしてるのはむねところばかり、背向うしろむきのはおび結目許ゆひめばかり、たゝみをついてるのもあつたし、立膝たてひざをしてるのもあつたとおもふのとるのとまたゝくうち、ずらりと居並ゐならんだのが一齊いつせいわたし
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)