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ひるが
ふりがな文庫
“
飜
(
ひるが
)” の例文
新字:
翻
という風の問答を交しながら、どうかしてこの昂奮した、善良な、そしていっこくそうな青年の思い立ちを
飜
(
ひるが
)
えさせようと私は努めた。
青年僧と叡山の老爺
(新字新仮名)
/
若山牧水
(著)
喘ぎながら多可子は、
僅
(
わず
)
か十四の政枝が思いつめた死の決意を考えてみ、それを
飜
(
ひるが
)
えさせるだけの立派な理由を見出そうと努めた。
勝ずば
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そして直ぐさま身を
飜
(
ひるが
)
えすようにして門前につづく広い空地の片隅に
佇
(
たたず
)
んで細田氏の姿の現われるのを今や遅しと待っていました。
三角形の恐怖
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
真っ直に一、二丁行って左折すると広い坂になって、白い白い銀の葉裏を
飜
(
ひるが
)
えしているポプラの片側並木の輝きがまず目に映った。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
も
吐
(
つか
)
ず逃たりしが惡者共は何所迄もと猶も
間近
(
まぢかく
)
逐來
(
おひきた
)
る故に半四郎は如何にもして逃行んとする
機
(
をり
)
幸ひ
脇道
(
わきみち
)
の有しかば身を
飜
(
ひるが
)
へして逃込を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
その時、ヒラリと駕籠の垂れが、風もないのに
飜
(
ひるが
)
えったかと思うと、
電光
(
いなずま
)
のように飛び出して来たのは白毛を冠った犬であった。
紅白縮緬組
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
時は九月の初め、
紅塵
(
こうぢん
)
飜
(
ひるが
)
へる街頭には
尚
(
な
)
ほ
赫燿
(
かくやく
)
と暑気の残りて見ゆれど、
芝山内
(
しばさんない
)
の森の
下道
(
したみち
)
行く袖には、早くも秋風の涼しげにぞひらめくなる
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
無論論文の材料とする考もなく、帰朝の後教授上の便に供するがためにもあらず、ただ漫然と出来得る限り多くの頁を
飜
(
ひるが
)
へし去りたるに過ぎず。
『文学論』序
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
この精神の錯乱して居る最中に、例の
飜
(
ひるが
)
へつた縁の帽を被つた先生は、又たリツプに向つて、其方は誰だと問ひました。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
追ひすがる八五郎の鼻先へ、一刀を
閃
(
ひら
)
めかした曲者、身を
飜
(
ひるが
)
へしたと見るや、路地の外へ、バラバラと逃げ出します。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
哲学者みたいに
瞑想
(
めいそう
)
に耽っているかと思うと、突然車にも乗らないで、異様なモーニングの裾を
飜
(
ひるが
)
えしながら、鉄砲玉のようにどこかへ飛び出して行く。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
するとマダム・レムブルグは素早く太い胴体を
飜
(
ひるが
)
えして、この近代の機能の発明家は青い化粧的で、牛の舌みたいな腕で
扉
(
ドア
)
を閉めると、再び細目に開けて
地図に出てくる男女
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
夫人は
蒼
(
あお
)
い顔をして立っていたが、急に身を
飜
(
ひるが
)
えして入口の
扉
(
と
)
を開けて走りでた。出口には李張の手があった。
悪僧
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
機
(
とき
)
こそ来たれ。と泰助が、幕を絞って
顕
(
あら
)
われたり。名にし負う三日月の姿をちらと見せるとおもえば、早くもお藤を小脇に
抱
(
いだ
)
き、身を
飜
(
ひるが
)
えして部屋を出でぬ。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
帝國軍艦旗
(
ていこくぐんかんき
)
の
翩飜
(
へんぽん
)
と
飜
(
ひるが
)
へるを
見
(
み
)
ば、
更
(
さら
)
に
其時
(
そのとき
)
は、
軍艦
(
ぐんかん
)
「
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
」の
萬歳
(
ばんざい
)
と、
電光艇
(
でんくわうてい
)
の
萬歳
(
ばんざい
)
とを
三呼
(
さんこ
)
せられよ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
関城書は、親房が関城に孤立せし際、親朝がまだ形勢を観望せるに当り、大義を説きて、その心を
飜
(
ひるが
)
へさむとせしもの也。辞意痛切、
所謂
(
いわゆる
)
懦夫
(
だふ
)
を起たしむるの概あり。
秋の筑波山
(新字新仮名)
/
大町桂月
(著)
かかる
苦
(
くるし
)
き
枕頭
(
まくらもと
)
に彼は又驚くべき事実を
見出
(
みいだ
)
しつつ、
飜
(
ひるが
)
へつて己を顧れば、測らざる累の既に
逮
(
およ
)
べる迷惑は、その
藁蒲団
(
わらぶとん
)
の内に
針
(
はり
)
の包れたる心地して、今なほ彼の病むと謂はば
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
溢
(
あふ
)
れる水に
濡
(
ぬ
)
れた
御手洗
(
みたらし
)
の石が
飜
(
ひるが
)
へる
奉納
(
ほうなふ
)
の
手拭
(
てぬぐひ
)
のかげにもう
何
(
なん
)
となく
冷
(
つめた
)
いやうに思はれた。
其
(
そ
)
れにも
拘
(
かゝは
)
らず
朝参
(
あさまゐ
)
りの男女は本堂の階段を
上
(
のぼ
)
る前に
何
(
いづ
)
れも手を洗ふ
為
(
た
)
めにと
立止
(
たちど
)
まる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
大海
(
おほうみ
)
華のごと
飜
(
ひるが
)
へりけり。
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
氣が付くと、徳三郎は眞つ蒼になつて身を
飜
(
ひるが
)
へしましたが、平次の手は早くも伸びて、その襟髮を掴んだのでした。
銭形平次捕物控:038 一枚の文銭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今
(
いま
)
や
遠
(
とほ
)
からず
橄欖島
(
かんらんたう
)
のほとりで
櫻木大佐
(
さくらぎたいさ
)
に
對面
(
たいめん
)
し、それより
本艦
(
ほんかん
)
「
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
」と
櫻木大佐
(
さくらぎたいさ
)
の
電光艇
(
でんくわうてい
)
とが
舳艫
(
じくろ
)
相
(
あひ
)
並
(
なら
)
んで
颯々
(
さつ/\
)
たる
海風
(
かいふう
)
に
帝國軍艦旗
(
ていこくぐんかんき
)
を
飜
(
ひるが
)
へしつゝ
頓
(
やが
)
て
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
再び
裾
(
すそ
)
へ
飜
(
ひるが
)
えるのは、柄長き薙刀の
刃尖
(
はさき
)
である。その稲妻が、雨のごとき冷汗を
透
(
とお
)
して、再び光った。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
僕等でさへ先生の誠心に動かされて退会の決議を
飜
(
ひるが
)
へし、今日も
満腔
(
まんかう
)
の不平を抑へて来た程ぢやないか、剛一何物ぞ、
苟
(
いやしく
)
も
己
(
おのれ
)
が別荘で催ふさるゝ親睦会であつて見れば
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
そのサラダは全く
地面
(
じべた
)
から湧き出た滋味そのものの新鮮さと気品とを
飜
(
ひるが
)
えしている。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
頤髯
(
あごひげ
)
が長く腹まで垂れて、それが沙漠の風に吹かれて、
仏子
(
ほうす
)
のように
飜
(
ひるが
)
った。
沙漠の美姫
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
溢
(
あふ
)
れる水に
濡
(
ぬ
)
れた
御手洗
(
みたらし
)
の石が
飜
(
ひるが
)
える奉納の
手拭
(
てぬぐい
)
のかげにもう何となく
冷
(
つめた
)
いように思われた。それにもかかわらず朝参りの男女は本堂の階段を
上
(
のぼ
)
る前にいずれも手を洗うためにと立止まる。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
少女は小鳥のように身を
飜
(
ひるが
)
えして往った。広巳はやっぱり眩しかった。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
赤色旗
飜
(
ひるが
)
える下、さすが悪い気持ちではない。
恋の一杯売
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
さてこそ、海は
飜
(
ひるが
)
へり
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
平次の冷たい一
瞥
(
べつ
)
を喰ふと、暫く佐吉の身體は硬直したやうでしたが、次の瞬間には身を
飜
(
ひるが
)
へして奧へ——。
銭形平次捕物控:050 碁敵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
虎髯大尉
(
こぜんたいゐ
)
、
本名
(
ほんめい
)
は
轟大尉
(
とゞろきたいゐ
)
であつた。『
諾
(
だく
)
。』と
應
(
こた
)
えたまゝ、
身
(
み
)
を
飜
(
ひるが
)
へして
前甲板
(
ぜんかんぱん
)
の
方
(
かた
)
へ
走
(
はし
)
り
去
(
さ
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
二の腕に
颯
(
さっ
)
と
飜
(
ひるが
)
えって、雪なす小手を
翳
(
かざ
)
しながら、
黒煙
(
くろけむり
)
の下になり行く汽車を
遥
(
はるか
)
に見送った。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
井上でも大橋でも脱会の決心を
飜
(
ひるが
)
へしたのは、篠田さんに
懇々
(
こん/\
)
説諭されたからでもありますが、姉さん、篠田さんの居ない教会に、寂しく残つて居なさる貴嬢を
見棄
(
みす
)
てるに忍びないと云ふのが
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
飜
(
ひるが
)
へれ、君はいづこに、——北のかた
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ヒラリと身を
飜
(
ひるが
)
へしたお瀧、平次の袖の下を潜るやうに先へ立塞がつて大手を擴げます。
銭形平次捕物控:063 花見の仇討
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
引断
(
ひっちぎ
)
れたやうに残つて、
袷
(
あわせ
)
はのけざまにずる/\と
畳
(
たたみ
)
の上を
引摺
(
ひきず
)
らるゝ、
腋
(
わき
)
あけのあたり、ちら/\と、
残
(
のこ
)
ンの雪も消え、目も消えて、
裾
(
すそ
)
の端が
飜
(
ひるが
)
へつたと思ふと、
倒
(
さかしま
)
に裏庭へ
引落
(
ひきおと
)
された。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
八五郎はヒラリと身を
飜
(
ひるが
)
へすと、怪しの男が平内樣の堂を離れるのと一緒でした。二人は仲見世の人混みの中を縫つて、雷門の方へ泳いで行くのを、平次は何にか
覺束
(
おぼつか
)
ない心持で見送つて居ります。
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その脚の地に着くともろともに身を
飜
(
ひるが
)
えしてどんと突くと
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
羽衣を
飜
(
ひるが
)
へし、朱の
袴
(
はかま
)
さばきも見事に、歌ひ且つ踊るのです。
銭形平次捕物控:283 からくり屋敷
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
飜
漢検1級
部首:⾶
21画
“飜”を含む語句
飜々
飜然
飜弄
飜筋斗
飜案
飜斗
飜斗返
飜訳者
飜訳
翩飜
飜意
飜譯
飜刻
飜牌
飜訳方
飜訳局
飜訳大監
飜魚
飜覆
飜躍
...