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難有
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ありがと
ふりがな文庫
“
難有
(
ありがと
)” の例文
「いいえ、そんなじゃありません。切なければ
直
(
じ
)
きに寝ますよ。お嬢さん、
難有
(
ありがと
)
う存じます。
貴嬢
(
あなた
)
、よくおいで下さいましたのね。」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三四郎は「えゝ、
難有
(
ありがと
)
う、御蔭さまで」と云ふ様な事を
真面目
(
まじめ
)
に答へながら、
下
(
した
)
を向いて、
御猪口
(
おちよく
)
の葡萄
豆
(
まめ
)
をしきりに突つつき出した。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
難有
(
ありがと
)
うございますと御礼はいったけれども、実によくわからないので、戸棚へつッこんでおくうちに、震災でみんな焼いてしまいました。
久保田米斎君の思い出
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
女はそれから先の事を
細
(
こまか
)
に想像して見ずにはいられなかった。多分男は冷やかに
微笑
(
ほほえ
)
んで、自分と握手をして、「
難有
(
ありがと
)
う」というだろう。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
「
難有
(
ありがと
)
う。いろいろ御心配を掛けて済まなかったが、自分は熟考の上で御断りすることに決心した。校長先生へもよろしく伝えて下さい」
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
「どうも
難有
(
ありがと
)
うございました。この汽車は長くて、辛いですね。殊に家内は夜汽車に慣れないものですから」
ペルゴレーズ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「そうですか? じゃ失敬します。」青年はただ疑わしそうに、
難有
(
ありがと
)
うとも何とも云わずに帰って行った。
子供の病気:一游亭に
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
難有
(
ありがと
)
よ」といったきりで百合子さんは平気な顔をしている。それ見ろ。乃公はトウトウ失恋になってしまった。
最早
(
もう
)
此んな薄情な奴とは遊ばないからいいや。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
難有
(
ありがと
)
うございます。いえ。県庁からお宿を
仰附
(
おおせつ
)
けられましたのは、この上もない名誉な事でございます。
蛇
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
左
(
さ
)
まで喜びもしなければ、品物が粗末だと
云
(
いっ
)
て苦情も
云
(
い
)
わず、
只
(
ただ
)
難有
(
ありがと
)
うございますと云て
拝領
(
はいりょう
)
して
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
『
毎日
(
まいにち
)
安泰
(
あんたい
)
に
暮
(
くら
)
させていただきまして
誠
(
まこと
)
に
難有
(
ありがと
)
うございます。
何卒
(
なにとぞ
)
明日
(
あす
)
も
無事
(
ぶじ
)
息災
(
そくさい
)
に
過
(
すご
)
せますよう……。』
昔
(
むかし
)
はこんなあっさりしたのが
大
(
たい
)
そう
多
(
おお
)
かったものでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
いろいろ教えて
頂戴
(
ちょうだい
)
したのね。
難有
(
ありがと
)
うよ。お前さんのお蔭で、わたしはあの人が本当に可哀くなったんだから、それもお前さんにお礼を言っても好いわ。わたしもう行ってよ。
一人舞台
(新字新仮名)
/
アウグスト・ストリンドベリ
(著)
青年は、貨幣を受け取って「
難有
(
ありがと
)
う」と云った時にもう三足ほど立ち退いていた。長い足で、雪の上を町の方へ向いて行くのである。折々手でずぼんを引き上げながら、歩いて行く。
鴉
(新字新仮名)
/
ウィルヘルム・シュミットボン
(著)
「
難有
(
ありがと
)
う御座います。それで僕も安心しました。イヤ
真
(
まこと
)
に失礼しました
匆卒
(
いきなり
)
貴様を
詰
(
とが
)
めまして……」と彼は人を
圧
(
おし
)
つけようとする最初の気勢とは
打
(
うっ
)
て変り、
如何
(
いか
)
にも力なげに
詫
(
わび
)
たのを見て
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
難有
(
ありがと
)
うございます。いつか
中
(
じゅう
)
も願って見ようかと思っていましたの。(間。)
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
切
(
しきり
)
に勧められるけれど、
難有
(
ありがと
)
う難有うとばかり言ってて、手を出さなかった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
それは
難有
(
ありがと
)
うございます。なぜと云うに、
死人
(
しびと
)
なんぞに
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「それは
難有
(
ありがと
)
う。それではウイスキイでも抜くかな。」
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
丹「
難有
(
ありがと
)
うございます」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お返事
難有
(
ありがと
)
う。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「身に染む話に
聞惚
(
ききと
)
れて、人通りがもう影法師じゃ。世の中には
種々
(
いろいろ
)
な事がある。お婆さん、お
庇
(
かげ
)
で
沢山
(
たんと
)
学問をした、
難有
(
ありがと
)
う、どれ……」
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「いや
難有
(
ありがと
)
う」と云っただけであった。別段腹を立てた様子も見えなかったが、些とも感激していないのは、この返事でも明かであった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「それは
難有
(
ありがと
)
う。私もお前さんの
許
(
とこ
)
の子供を見に行かずと思っていた。それに、久し振でお雪さんにも御目に掛りたいし……」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「お
難有
(
ありがと
)
うござります、旦那さま。どうぞ御
姓名
(
なまえ
)
を伺わせて下さい、貴方さまの
御幸福
(
おしあわせ
)
をお
祷
(
いの
)
りするために」
幻想
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
その暇に巻煙草へ火を移した学生が、日に焼けた
頬
(
ほお
)
へ微笑を浮べながら、「
難有
(
ありがと
)
う」と云った所を見ると、お君さんのこの親切が先方にも通じたのは勿論である。
葱
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「それは
難有
(
ありがと
)
う。
明日
(
あした
)
役所から帰る時にでも廻って見ましょう。さあ。饂飩が冷えます。」
独身
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
夜
(
よる
)
は
夜
(
よる
)
で、
又
(
また
)
神様
(
かみさま
)
に
御礼
(
おれい
)
を
申上
(
もうしあ
)
げます。『
今日
(
きょう
)
一
日
(
にち
)
の
仕事
(
しごと
)
を
無事
(
ぶじ
)
に
勤
(
つと
)
めさせて
戴
(
いただ
)
きまして、まことに
難有
(
ありがと
)
うございました……。』その
気持
(
きもち
)
は
別
(
べつ
)
に
現世
(
げんせ
)
の
時
(
とき
)
と
些
(
すこ
)
しも
異
(
かわ
)
りはしませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「
難有
(
ありがと
)
う」と言ったぎり自分が
躊躇
(
もじもじ
)
しているので斎藤は
不審
(
いぶかし
)
そうに自分を見ていたが、「イヤ失敬」と言って去って
終
(
しま
)
った。十歩を隔てて彼は振返って見たに違ない。自分は思わず
頸
(
くび
)
を
縮
(
すく
)
めた。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
誠に
難有
(
ありがと
)
うございます、大阪に行けば必ず面白い仕事がありましょうけれども、私はドウも首をもがれたッて攘夷のお供は出来ません、
爾
(
そ
)
うじゃないかと、箕作と
云
(
いっ
)
て断わったことがありましたが
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
いろいろ伺って
難有
(
ありがと
)
うございます。さようなら。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
丁度
好
(
い
)
い時にいらっしゃって
難有
(
ありがと
)
う。あなたを
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
代助はただ
難有
(
ありがと
)
うと答えただけであった。
愈
(
いよいよ
)
汽車の出る
間際
(
まぎわ
)
に、梅子はわざと、窓際に近寄って、とくに令嬢の名を呼んで
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「また始めたい、理窟をいったってはじまらねえ。可いからまあ
難有
(
ありがと
)
うと、そういってみねえな、よ、
厭
(
いや
)
なら
止
(
よ
)
せ。」
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
難有
(
ありがと
)
う御座います。あの御守は紙入の中に入れて、こうしてちゃんと持ってます。今日は大に考えました」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「髪長彦さん。
難有
(
ありがと
)
う。この御恩は忘れません。私は食蜃人にいじめられていた、生駒山の
駒姫
(
こまひめ
)
です。」
犬と笛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「ええ
難有
(
ありがと
)
う。でも、わたし
左様
(
そう
)
していられないの。ちょいと出かけて、すぐ帰って来るわ」
碧眼
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「はははは。しかしとにかく
難有
(
ありがと
)
う。奥さんにも宜しく云ってくれ給え。」
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
誠に
難有
(
ありがと
)
うございます。お蔭で始めてこんな兵書を見ました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「ああそれは
難有
(
ありがと
)
う。毎度お気の毒だと思うんだけれど、ツイね私の方も
請取
(
うけと
)
る金が都合よく請取れなかったりするものだから、
此方
(
こっち
)
も困るだろうとは知りつつ、
何処
(
どっこ
)
へも言って行く処がないし、ツイね」と言って
莞爾
(
にっこり
)
。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「はい、はい。それはどうも、何ともはや、
勿体
(
もったい
)
もない、お
難有
(
ありがと
)
う存じます。ああ、
南無阿弥陀仏
(
なむあみだぶつ
)
、
南無阿弥陀仏
(
なむあみだぶつ
)
。」
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其代り
己
(
おれ
)
の方が
出
(
で
)
るから。——里見さん
一寸
(
ちよつと
)
立
(
た
)
つて見て
下
(
くだ
)
さい。団扇は
何
(
ど
)
うでも
好
(
い
)
い。ただ立てば。さう。
難有
(
ありがと
)
う。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ナニ、何でもないんです」とお雪は
暫時
(
しばらく
)
動かずにいた後で言った。「
難有
(
ありがと
)
う——直樹さん、もう沢山です」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「髪長彦さん。
難有
(
ありがと
)
う。この御恩は忘れません。
私
(
わたし
)
は土蜘蛛にいじめられていた、
笠置山
(
かさぎやま
)
の
笠姫
(
かさひめ
)
です。」
犬と笛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
わたし達
両女
(
ふたり
)
もやっと安心して、お互いに口を利くようになりました……尤も、初めはごく慎ましく『
難有
(
ありがと
)
うございます、
奥様
(
マダム
)
』とか『御免あそばせ、
奥様
(
マダム
)
』といったような風でしたが
二人の母親
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「
難有
(
ありがと
)
うございます」と、りよはお
請
(
うけ
)
をして、老女の部屋をすべり出た。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「
難有
(
ありがと
)
う御座います。」
恋を恋する人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
やい、この
態
(
ざま
)
はどうしたのだ。と口なる手拭
退
(
の
)
けてやれば、お録はごほんと
咳
(
せ
)
き入りて、「はい、
難有
(
ありがと
)
うございます。 ...
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
難有
(
ありがと
)
う、まあ相変らずだ。君に宜しく云っていた。実は今日連れて
来
(
き
)
ようと思ったんだけれども、何だか汽車に揺れたんで頭が悪いというから宿屋へ置いて来た」
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「これはこれはどうも
難有
(
ありがと
)
うござります。どうも奥様、御蔭様で助かりますでござります」
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「阿母さん。
難有
(
ありがと
)
う。」「何だね、お前、私より泰さんに御礼を申し上げなくっちゃ。」
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
難
常用漢字
小6
部首:⾫
18画
有
常用漢字
小3
部首:⽉
6画
“難有”で始まる語句
難有味
難有迷惑
難有候
難有泪
難有連
難有過
難有由時々申出候