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隅
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ぐう
ふりがな文庫
“
隅
(
ぐう
)” の例文
で、
椅子
(
いす
)
にかけたまま右後ろを向いて見ると、床板の上に三畳
畳
(
たたみ
)
を敷いた
部屋
(
へや
)
の一
隅
(
ぐう
)
に愛子がたわいもなくすやすやと眠っていた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そこからは、アカシアの植わった小さな広場の一
隅
(
ぐう
)
が見え、なお向うには
夕靄
(
ゆうもや
)
に浸った野が見えていた。ライン河は丘の
麓
(
ふもと
)
を流れていた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
踊る者があり、歌う者があれば、また、一
隅
(
ぐう
)
では、
怒色
(
どしょく
)
をなして、酒に、
欝
(
うつ
)
をいわせている者があるのも、人間講とすれば、やむをえない。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この陰うつなオピタル大通りのうちでの最も
陰鬱
(
いんうつ
)
な所といえば、五十・五十二番地の破屋のある今日でもあまり人の好まぬその一
隅
(
ぐう
)
であった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「一
隅
(
ぐう
)
を照らすものを国宝となす」と伝教大師はいっていますが、この国宝こそ、今日最も要求されているのです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
▼ もっと見る
「黒八、十とこれでよろしい。十四までの別れ申し分なしと。白を一
隅
(
ぐう
)
へ
屏息
(
へいそく
)
せしめ、外に向かって
驥足
(
きそく
)
を伸ばす。この作戦われながらよいて。……」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
炬燵の上にはお料理のお
膳
(
ぜん
)
が載せられてある。そのお膳の一
隅
(
ぐう
)
に、
雀焼
(
すずめや
)
きの皿がある。私はその雀焼きが食いたくてならぬのだ。頃しも季節は
大寒
(
だいかん
)
である。
チャンス
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ところが、ぼくは室の一
隅
(
ぐう
)
にポツンとあかりのさしているのに気がついた、ぼくはそっと近づいた、見ればイルコックが左門先生の地図を写しとっているのだ
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
すると、この建物が、戸山ヶ原の北がわ、西よりの一
隅
(
ぐう
)
にあるということが、ハッキリとわかったのでした。ここでまた、七つ道具の中の磁石が役にたちました。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
今まで心の一
隅
(
ぐう
)
にうごめいていた
処理
(
しょり
)
のつかぬ感情を根こそぎに
払
(
はら
)
いのけて、自分でも不思議なほど、どっしりとした落ちつきが、一日ごとに私の生活の上にあらわれていた。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
硝子
(
ガラス
)
窓が二つ附いて居る。
浦潮斯徳
(
ウラジホストツク
)
に駐在して居る東京朝日新聞社の通信員
八十島
(
やそじま
)
氏から贈られた果物の籠、リモナアデの
壜
(
びん
)
、寿司の箱、こんな物が室の一
隅
(
ぐう
)
に置いてあつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
此
(
この
)
一
日
(
にち
)
の
運動
(
うんどう
)
は、
骨
(
ほね
)
の
髓
(
ずい
)
まで
疲勞
(
ひろう
)
する
樣
(
やう
)
に
感
(
かん
)
じるのであるが、
扨
(
さ
)
て
其
(
その
)
洗
(
あら
)
ひ
上
(
あ
)
げたる
破片
(
はへん
)
を
食卓
(
しよくたく
)
の一
隅
(
ぐう
)
に
並
(
なら
)
べて、
然
(
さ
)
うして、一
杯
(
ぱい
)
やる
時
(
とき
)
の
心持
(
こゝろもち
)
といふものは、
何
(
な
)
んとも
云
(
い
)
はれぬ
愉快
(
ゆくわい
)
である。
探検実記 地中の秘密:01 蛮勇の力
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
彼はとうとう部屋の一
隅
(
ぐう
)
に求めるものを発見した。どうやら身体が抜けられるらしい。それが分ると、彼は急いで樽の明いているのを集めた。そしてそれを城のように積み重ねていった。
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その部屋はある教室の階上にあたって、一方に幹事室、一方に校長室と接して、二階の一
隅
(
ぐう
)
を占めている。窓は四つある。その一方の窓からは、群立した松林、校長の家の草屋根などが見える。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
僕も及ばずながら大原君を助けてそういう人にしてみたいと思う。家庭に
在
(
あ
)
りては
良主人
(
りょうしゅじん
)
、社会に立っては好紳士として文学者の感化力を
我邦
(
わがくに
)
は申すに及ばず、世界八
隅
(
ぐう
)
へ波及せしめたいと思う。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
この
命題
(
めいだい
)
の
下
(
もと
)
に見るにまかせ聞くにまかせ、
且
(
かつ
)
は思ふにまかせて
過現来
(
くわげんらい
)
を問はず、われぞ
数
(
かず
)
かくの歌の
如
(
ごと
)
く
其時々
(
そのとき/″\
)
の
筆次第
(
ふでしだい
)
に
郵便
(
いうびん
)
はがきを
以
(
もつ
)
て
申上候間
(
まうしあげさふらふあひだ
)
願
(
ねが
)
はくは
其儘
(
そのまゝ
)
を
紙面
(
しめん
)
の一
隅
(
ぐう
)
に
御列
(
おんなら
)
べ
置
(
おき
)
被下度候
(
くだされたくさふらふ
)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
自分
(
じぶん
)
は
先
(
ま
)
づ
押
(
おし
)
ずしなるものを一つ
摘
(
つま
)
んで
見
(
み
)
たが
酢
(
す
)
が
利
(
き
)
き
過
(
す
)
ぎてとても
喰
(
く
)
へぬのでお
止
(
や
)
めにして
更
(
さら
)
に
辨當
(
べんたう
)
の一
隅
(
ぐう
)
に
箸
(
はし
)
を
着
(
つ
)
けて
見
(
み
)
たがポロ/\
飯
(
めし
)
で
病人
(
びやうにん
)
に
大毒
(
だいどく
)
と
悟
(
さと
)
り、これも
御免
(
ごめん
)
を
被
(
かうむ
)
り、
元來
(
ぐわんらい
)
小食
(
せうしよく
)
の
自分
(
じぶん
)
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
円座に着きながら、ふと見ると、無地の銀
屏風
(
びょうぶ
)
が一
隅
(
ぐう
)
にめぐらしてあり、そこに鏡立と、
耳盥
(
みみだらい
)
や
剃刀
(
かみそり
)
などがそなえてあった。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼が立っている広間の一
隅
(
ぐう
)
には、判事らがぼんやりした顔つきをしすり切れた服を着て、爪をかんだり目を閉じたりしていた。他の一隅には粗服の群集がいた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
とテーブルの一
隅
(
ぐう
)
でひたいをあつめてなにごとか話しあっていたドノバンが、とつぜん立ちあがった。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
いつでも部屋の一
隅
(
ぐう
)
の小さな卓を囲んで、その卓の上にはウイスキー用の小さなコップと水とが備えられていた。いちばんいい
香
(
にお
)
いの
煙草
(
たばこ
)
の煙もそこから漂って来た。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
これは
後々
(
のちのち
)
にも関係のあることだから、読者の記憶の一
隅
(
ぐう
)
に
留
(
とど
)
めて置いて
貰
(
もら
)
わねばならぬのだ。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ある者は口笛を吹き、ある者は皮肉な
喝采
(
かっさい
)
をした。最も気のきいた連中は「
も一度
(
ビス
)
」と叫んだ。一つの
低音
(
バス
)
が舞台前の一
隅
(
ぐう
)
から響いてきて、
道化
(
どうけ
)
た主題を
真似
(
まね
)
しはじめた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
と、八方から呼ばわる捕手に追い廻され、とどのつまり、僧房の一
隅
(
ぐう
)
に袋づめにされて、十手の乱打に気をうしない、高手小手にしばりあげられる。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
葉子はさすがに針で突くような痛みを鋭く深く良心の一
隅
(
ぐう
)
に感ぜずにはいられなかった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
首領は天井の一
隅
(
ぐう
)
からさがっているストーブのえんとつみたいな物を指さしました。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
イルコックの三人と
党
(
とう
)
を組んで、食事のときのほかは一同と顔をあわすこともほとんどまれとなり、多くは洞穴の一
隅
(
ぐう
)
にひとかたまりとなって首をあつめなにごとかひそひそと語りあうのであった。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
おそらく、彼はその精神の最も
空漠
(
くうばく
)
たる一
隅
(
ぐう
)
において、移り変わりゆく眼界と人間の一生とを比べてみたであろう。人生のあらゆる事物は絶えず
吾人
(
ごじん
)
の前を過ぎ去ってゆく。影と光とが入れ交じる。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
すると、一
隅
(
ぐう
)
から、一羽の烏天狗が起って、ずかと、高時の前に立った。と思うと
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
開けろ。開けねば蹴破るぞ。この
荘院内
(
やしきうち
)
に、こよい少華山の賊どもが会合しておると、
訴人
(
そにん
)
あって明白なのだ。四
隣
(
りん
)
八
隅
(
ぐう
)
、
遁
(
のが
)
れんとて、遁るる道はない。賊を渡すか、踏み込もうか。いかにいかに
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と——廊下の一
隅
(
ぐう
)
で、
唐金
(
からかね
)
の水盤らしいものにさわった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
などと、一
隅
(
ぐう
)
の席も空けてくれた。そのうえ皆して
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
隅
常用漢字
中学
部首:⾩
12画
“隅”を含む語句
一隅
隅々
隅田
片隅
隅田川
隅隅
四隅
大隅
大隅守
大隅流
夷隅
隅田堤
二隅
辺隅
隅柱
室隅
隅々隈々
隅棚
海隅
八隅知之
...