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閉口
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へいこう
ふりがな文庫
“
閉口
(
へいこう
)” の例文
『さようか。いや
御念入
(
ごねんいり
)
は結構。
此方
(
このほう
)
も、歳のせいか、近来はとかく耳が遠い。それにな、物忘れや勘違いが多うて、
閉口
(
へいこう
)
でござるよ』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私の心事について
素振
(
そぶり
)
に対して一点の疑いを
挾
(
はさ
)
むこともなく、かえって
閉口
(
へいこう
)
頓首
(
とんしゅ
)
してその日の中に送り出すようにしてくれたというのは
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
見て實に
閉口
(
へいこう
)
屈伏
(
くつぷく
)
したりと思はるゝならんが此伊賀亮が
思
(
おも
)
ふには今日大岡が恐れ入りしは
僞
(
いつは
)
りにて多分病氣を申立引籠るべし其内に紀州表を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
親が、子供のいう事を聞かぬ時は、
二十四孝
(
にじゅうしこう
)
を引き出して子供を
戒
(
いまし
)
めると、子供は
閉口
(
へいこう
)
するというような風であります。
教育と文芸
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「うむ‥‥」と、
河野
(
かうの
)
は
頷
(
うなづ
)
いた。「
然
(
しか
)
し、
演習地
(
えんしふち
)
の
雨
(
あめ
)
は
閉口
(
へいこう
)
するな‥‥」と、
彼
(
かれ
)
はまた
疲
(
つか
)
れたやうな
聲
(
こゑ
)
で
云
(
い
)
つた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
▼ もっと見る
けれども、私は、そんなことに
閉口
(
へいこう
)
してはいられない場合ですから、ただ、もう百観音の運命が気掛かりでたまらないのですから、こう主人に話し掛けました。
幕末維新懐古談:33 蠑螺堂百観音の成り行き
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「そうですかね……それにあの学生さんたちが
無遠慮
(
ぶえんりょ
)
に僕のからだをいじりまわすので
閉口
(
へいこう
)
しました」
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
踏み返した男、とうとう
閉口
(
へいこう
)
してあやまりし由。その老婦人は
矢島楫子
(
やじまかぢこ
)
女史か何かの子分ならん。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いちいちの
口上
(
こうじょう
)
にマチアは目を
丸
(
まる
)
くした。でもかれはいっこう
閉口
(
へいこう
)
したふうを見せなかった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
此
(
かく
)
の如き僞善的態度を自分は憎むのだ。若し已むを得ない方便として假面を冠る必要があるなら、もう少し上手に冠つて貰ひたい。直ぐに奧の見えすく山師の玄關は
閉口
(
へいこう
)
である。
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
私
(
わたくし
)
も
之
(
これ
)
には
頗
(
すこぶ
)
る
閉口
(
へいこう
)
したが、どつこひ
待
(
ま
)
てよ、と
踏止
(
ふみとゞま
)
つて
命掛
(
いのちが
)
けに
揉合
(
もみあ
)
ふ
事
(
こと
)
半時
(
はんとき
)
ばかり、
漸
(
やうやく
)
の
事
(
こと
)
で
片膝
(
かたひざ
)
を
着
(
つ
)
かしてやつたので、
此
(
この
)
評判
(
へうばん
)
は
忽
(
たちま
)
ち
船中
(
せんちゆう
)
に
廣
(
ひろ
)
まつて、
感服
(
かんぷく
)
する
老人
(
らうじん
)
もある
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
今度は五右衛門も、まったく
閉口
(
へいこう
)
してしまいました。夜になると、痛みと寒さとで今にも死ぬような思いをしながら、橋の上まではい出してきまして、ポンポンポンと手を三度
拍
(
たた
)
きました。
泥坊
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そら、お談議になったと、静枝がかしこまって、
閉口
(
へいこう
)
しかけているところへ
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
かけまわっているうちに体はぽかぽかあたたまってきたが、すっかり
風邪
(
かぜ
)
をひいたらしく、しきりにくしゃみがでるのには
閉口
(
へいこう
)
したよ。落ちついてみると、ぼくの
下宿
(
げしゅく
)
のある
街
(
まち
)
にきてたんだ
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
私にはそれが
嘘
(
うそ
)
のような気がしてならないのである。信じたいとあがいても、私の感覚が承知しないのである。実際、あのドラマチックな転機には
閉口
(
へいこう
)
するのである。鳥肌立つ思いなのである。
苦悩の年鑑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「
閉口
(
へいこう
)
閉口。」と元から細い眼尻を一倍細くして、赤い顔をした。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
所
(
ところ
)
で
奴
(
やつ
)
、
突然
(
とつぜん
)
僕
(
ぼく
)
の
内
(
うち
)
にやつて
來
(
き
)
やがつて、『どうも五
個月間
(
かげつかん
)
の
葉書攻
(
はがきぜめ
)
には
閉口
(
へいこう
)
しました。あなたの
根氣
(
こんき
)
には
實際
(
じつさい
)
驚
(
おどろ
)
きました』なんて
云
(
い
)
やがつて、三十
圓
(
ゑん
)
の
金
(
かね
)
を
置
(
お
)
いて
行
(
い
)
つたが、
僕
(
ぼく
)
ア
實
(
じつ
)
に
嬉
(
うれし
)
しかつたよ。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
まるで大きな荷物をしょいこんだ形でほとほと
閉口
(
へいこう
)
してしまった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
爺やは頭を
掻
(
か
)
いて
閉口
(
へいこう
)
するばかりだ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しゃべりまくるんだ。
閉口
(
へいこう
)
したよ。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
矢野は人一倍
閉口
(
へいこう
)
したのである。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
弁慶
(
べんけい
)
は
閉口
(
へいこう
)
して
牛若と弁慶
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
聞今さら何とも
陳
(
ちん
)
ずべき樣なく
赤面
(
せきめん
)
閉口
(
へいこう
)
なし甚だ恐れ入候旨答へければ大岡殿には
彌々
(
いよ/\
)
以て申
譯
(
わけ
)
なきやと申さるゝに三人口を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
はたして、兼好は、「そいつは
閉口
(
へいこう
)
ですな。色恋のとりもちなどは、法師の不得手。ましてただ
人
(
びと
)
の後家ではなし」
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「うん、それもさうだが、
何
(
なに
)
しろ
己
(
おれ
)
はもう
眠
(
ねむ
)
くて
閉口
(
へいこう
)
だ。
此處
(
ここ
)
らでゴロリとやつちまひたいな‥‥」
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
ところが異人たちは、それには
閉口
(
へいこう
)
せず、遠まきにして目を光らかせ、すきをみては、とびこんで来た。岩石をなげつけられても、けがをして血を出すようでもなかった。
三十年後の世界
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
南無三
(
なむさん
)
。」と
私
(
わたくし
)
は
逡巡
(
しりごみ
)
した。
多
(
おほく
)
の
白晢
(
はくせき
)
人種
(
じんしゆ
)
の
間
(
あひだ
)
に
人種
(
じんしゆ
)
の
異
(
ちが
)
つた
吾等
(
われら
)
は
不運
(
ふうん
)
にも
彼等
(
かれら
)
の
眼
(
め
)
に
留
(
とま
)
つたのである。
私
(
わたくし
)
は
元來
(
ぐわんらい
)
無風流
(
ぶふうりう
)
極
(
きは
)
まる
男
(
をとこ
)
なので
此
(
この
)
不意打
(
ふいうち
)
にはほと/\
閉口
(
へいこう
)
せざるを
得
(
え
)
ない。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
閉口
(
へいこう
)
したですが荷物をそのまま
抛
(
ほう
)
っては自分の命の
糧
(
かて
)
がなくなるから
一生懸命
(
いっしょうけんめい
)
力を籠めて両方の手で荷物を上に引き挙げた。まあこれでいいと思ってどっかり坐ってホッと一息
吐
(
つ
)
きました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
決してそんなつもりじやないのだから
閉口
(
へいこう
)
した。
僕の昔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
取て
頼
(
たの
)
まれしとて罪の處は同じ事だぞと申さるゝに多兵衞は
彌々
(
いよ/\
)
閉口
(
へいこう
)
なし實に恐れ入ました金子を
別
(
べつ
)
に取て
頼
(
たの
)
まれたと申ではなく
少々
(
せう/\
)
計
(
ばか
)
りの
酒代
(
さかだい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「毎晩、足の土踏まずが、かさかさして
閉口
(
へいこう
)
でござる。われら、今は何の慾もない。
裸足
(
はだし
)
で土がふみとうござる」
べんがら炬燵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おかしいぞ、へんなことをいいだしたな。どうもこっちへきてから人造人間をつかいすぎたせいか、ときどき故障がおこるのには
閉口
(
へいこう
)
じゃ。どれ、ちょっとしらべてやろう」
人造人間エフ氏
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
下僕はへいへいと実に
蛭
(
ひる
)
に塩を掛けたように縮こまって
閉口
(
へいこう
)
してしまった。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
牛丸少年は、たいくつに
閉口
(
へいこう
)
しながら、一つの願いを持つようになった。それはいつか頭目の前へいっしょに呼びだされた戸倉老人と、話しあうようになりたいという望みであった。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
聞きほじると、生意気に
諌
(
いさ
)
めだてして、それにゃ、浄海入道も
閉口
(
へいこう
)
だからな
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まっぴら
閉口
(
へいこう
)
して、もうもういたしません。
まざあ・ぐうす
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
又右衛門も、
閉口
(
へいこう
)
している。こちらでは問題としなくても、先は熱心を
冷
(
さ
)
まさないのである。物を届けて来る。
些細
(
ささい
)
な用でもすぐ来る。無くてもやって来る。来れば話しこむ。——その末には
日本名婦伝:太閤夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もういい加減、
閉口
(
へいこう
)
したろうねえ”
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“閉口”の意味
《名詞》
閉口(へいこう)
口を閉ざすこと。黙ること。
勢いに圧倒されたり、言い負かされたりして口を閉ざすこと。
うんざりすること。
(出典:Wiktionary)
閉
常用漢字
小6
部首:⾨
11画
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
“閉口”で始まる語句
閉口垂
閉口頓首