“鈎:かぎ” の例文
“鈎:かぎ”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治8
海野十三4
野村胡堂4
ヴィクトル・ユゴー3
寺田寅彦2
“鈎:かぎ”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語13.5%
文学 > 中国文学 > 小説 物語1.9%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)0.6%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
それから狐の読んでいたものをあらためると、それには大勢の女の名を書きならべて、ある者には朱でかぎを引いてあった。
みると周馬の左の手が、いつのまにか、部屋の角柱すみばしらに伸びていて、そこにあるかぎのようなものへ指をかけている。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
石畳を一つ起すと、その中に凹みがあって、したたかな棕梠しゅろ縄、かぎ、柄の短かい鶴嘴つるはしなどが入って居ります。
古城の真昼 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
警護の兵士のひとりは、先にかぎのついた棒を持っていて、時々その人間の塵芥溜ごみためをかき回そうとするような顔つきをした。
追いまくって密林の小道へ迫りかけた時、四方の巨木から乱離らんりとしてかぎのついた投縄なげなわ分銅ふんどうが降った。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平吉はさっきから人待顔にすぐ前に下っていた太いくさりの先のかぎに軽く右足をかけて鎖に全身をたくした。
秋空晴れて (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
ピューッと舟から空に走ったのは、かぎのついた一本のなわ。ガリッというと手にもどって、上からザラザラと岩のかけらが落ちてくる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、男はもうハンカチを拡げてしまっていた。真赤に染まったハンカチの上に、何かしら細長いものが、かぎなりに曲って横わっていた。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
多くの小船は、たちまちそこに集まってかぎをおろし、エイヤエイヤの声をあわせて、だんだんと浅瀬あさせのほうへひきずってくるようすだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
またたく間に、繩梯子なわばしごは窓の外におろされ、二つの鉄のかぎでしっかと窓縁に止められた。
仕事師はまといを振りかぎをかついで威勢く繰出してまいる騒ぎに、二人はまご/\しながら漸く逃出しましたが、き所がありません。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
電灯をその方へさしつけてみたが、天井のあることと、そのまん中あたりに、よろいでもぶら下げるためにつけてあるのか、大きなかぎが一つ見える。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
anchor はラチンの anchara でまたギリシアのアンキユラで「曲がったかぎ」であり、従ってまた英の angle とも関係しているらしい。
言葉の不思議 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
縁から一インチ半ばかりのところに、穴を二つあけ、これにかぎが二つ引っかけてあります。
そのうちにかぎが舌に引っかかるんだが、引っかかったら最後、決して啼かないから妙だ。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ひろげた指はき寄せようと、かぎになったり熊手になったりしてあがいている。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
第一校舎の脇を通りぬけた。向うのアカシヤの植えこみに包まれたかぎ型の第三、第四校舎の間で、焚火が見えた。若芽が伸びたアカシヤの葉末は、焚火に紅く染っていた。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
鳥は灰黒色のはねを持っていて、口喙くちばしかぎのように曲がっていた。
と、突然、後部の巻揚機ウインチががら/\とすさまじい響を出して、その五六本の鋼条ワイヤーの先にるしたかぎづきの滑車が弾薬庫にする/\と滑りこんだ。
怪艦ウルフ号 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
わけのわからぬ事をわめくと、お小夜の手はかぎの如く曲つて、十本の指は、喉から胸へと、滅茶々々に掻きむしりながら、はぢも外聞もなく、その邊をのた打ち廻るのです。
平次は棒秤のかぎの先に分銅を縛り付けて、力任せに振つて見せました。
そして此の房の一つをぐる/\廻つてゐるかぎのそばへ持つて行く。
分銅ふんどうだのかぎのついた鎖だのが、彼の体へからみついた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、そのかぎの爪がガッキとどこかへ食いついた途端に、天神岸から軽舸けいかを飛ばしてついてきた原士はらしたち、縄をじてポンポンといなごのようにおどり込んできた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その時マリユスは、今まで何かわからなかったその繩みたいなものは、実は木の桟と引っかけるための二つのかぎとがついてるきわめて巧みにできた繩梯子なわばしごだということがわかった。
魚というものは普通えさかぎもない糸を食うものではないということは、彼もよく知っていたけれど、しかし一度くらいは、自分のために、魚が例外なことをするかもしれないと思っていた。
絨毯の上にどっしりした台を置き、そこから上に向って人の背丈よりもやや高く架台があって、その架台の先が提灯をかけるように曲って横に出ているが、そのかぎに鳥籠が下げられているのだった。
地獄の使者 (新字新仮名) / 海野十三(著)
自在かぎにつるしてある鉄の鍋は火に煮立っていた。
エーレンフェルトは、小柄で、頭が禿げ、微笑を浮かべ、茶褐ちゃかっ色の頤髯あごひげやし、元気のない繊細な顔つきをし、かぎ鼻であって、流行記事や世間的雑報を雑誌に書いていた。
というのは、その廊下の斜向うに、かぎの手になった建物の大きな白壁が、夜目にも薄白く、目を圧するように浮上っているのだが、その白壁の表面にボーッと白くりんのような光がさしていたのである。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
また、衝車というのは、それを自由に押す車である。この車にはまた、起重機のようなかぎがついている。台上の歯車を兵が三人掛りで廻すと、綱によって、地上の何でも雲梯の上に運び得る仕掛になっていた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黄金こがねかぎ龍王りうわう
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
萬一のおとがめを恐れて、それ/″\の係りに屆出ると、一方町役人の助けをえて、十二三人の人數を狩り集め、あつと言ふ間に、溜池の底に鳶口とびくちと手網と、かぎと、あらゆる道具を入れて掻き廻しました。
もう子ねずみさえもかからなくなってしまった捕鼠器ねずみとりは、ふたの落ちたまま台所の戸棚とだなの上にほうり上げられて、かぎにつるした薩摩揚さつまあげは干からびたせんべいのようにそりかえっていた。
ねずみと猫 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
肉屋の店に皮を剥がれたまゝの豚がかぎに吊されて逆さになツてゐることや、其の店に人間の筋肉よりも少し汚ない牛肉が大きなまないたの上にこて/\積上げてあることや、其の中のだ活きてゐる奴が二匹ばかりで
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
と、あらわに痩せたすねが膝の上まで捲くれ上がり衣裳の裾から洩れて見えたが、その脛が一本塀の上から、塀の面へのばされて、拇指おやゆびの先がかぎのように曲がって、塀の面の一所へいぼのように吸い付いた。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
またこういう物を持って歩くと便利だよと、智慧ののような金具を出して五ツのかぎに解き放し、それを長押なげしへ一つずつ懸けて、笠、衣類、合財袋、煙草入れ、旅の身上しんしょうをのこらずこれに吊ってみせる。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
甲虫は六本の足をひろげて、釣針つりばりのやうなかぎつめをどこへでもひつかけて、赤や青や黄や紫の自動車や汽船や大砲やタンクや乳母車を、五つも六つも、いつしよにひいて、ゾロッ・ゾロッと、お縁をはつて行きます。
かぶと虫 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
しかしそれは洋杖の握りのところに小型の電球をつけ、それから中身に小さい受信機が入っていたり、石附のところにはかぎのついた分銅が入っていて、振るとブーンとうなりを立てて、長い綱が飛び出してくる仕掛けになっていた。
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かぎをッ」
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
バシリスク一名コッカトリセは、蛇また蟾蜍ひきが雄鶏が産んだ卵を伏せかえして生じ、蛇形で翼と脚あり、鶏冠をいただくとも、八足または十二足を具え、かぎごとく曲ったくちばしありとも、また単に白点を頂にせる蛇王だともいう。
人の思考力がいかに底深い所につき落とされているか、そこで宿命の暗澹あんたんたる暴虐からいかにむごたらしく引きずられ縛り上げられているか、その深淵しんえんの中でいい知れぬかぎにいかにしかと結び止められているか、それを見ては心おびえるほどである。
「よろしい。」とどなりましたが、あんまりじぶんの声がたかかったために、円いかぎをもち、髪をわけ下駄げたをはいた魚屋の主人や、けらを着た村の人たちが、みんなこっちを見ているのに気がついて、すっかりあわてて急いで手をふりながら、小声で言い直しました。
山男の四月 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
その橋梁の下には、重い物体をひっかける化物ばけもののようにでっかいかぎが、太い鋼線ロープってあり、また橋梁の一隅いちぐうには、鉄板てっぱんで囲った小屋がっていて、その中には、このクレーンを動かすモートルと其の制動機とがえてあった。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
バスを降りてから一里の道を雨に濡れて三浦さんの家に辿り着いたのは、黄昏時たそがれどきの七時頃、がらっと障子戸を開けると土間、あがりばたの部屋には囲炉裡があって、自在かぎにかけたお鍋の蓋をとって煮物のお塩梅をしていた、やせたお婆さんが、おやっといった目付きで訪問客を見た。
三浦環のプロフィール (新字新仮名) / 吉本明光(著)
盆のようにも大きな顔には、かぎのような鼻が盛り上っているし、牛のようにも太い頸筋には静脈が紐のようにうねっている、半白ではあったがたっぷりとある髪を、太々しく髷に取り上げている、年の格好は六十前後であったが、血色がよくて肥えていて、皮膚に弛みがないところから五十歳ぐらいにしか思われない。
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)