郊外かうぐわい)” の例文
郊外かうぐわい際涯さいがいもなくうゑられたもゝはなが一ぱいあかくなると木陰こかげむぎあをおほうて、江戸川えどがはみづさかのぼ高瀬船たかせぶね白帆しらほあたたかえて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
蓮根はす蓮根はすとははず、蓮根れんこんとばかりとなふ、あぢよし、やはらかにして東京とうきやう所謂いはゆる餅蓮根もちばすなり。郊外かうぐわい南北なんぼくおよみな蓮池はすいけにて、はなひらとき紅々こう/\白々はく/\
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ある日、私はつまと二人で郊外かうぐわいへ家を見付みつけに出て行つた。おな見付みつけるからには、まだ一も行つたことのない方面はうめんが良いといふ相談さうだんになつた。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
今頃いまごろ馬車ばしやにでもつて、郊外かうぐわいつたらさぞいでせう。』と、イワン、デミトリチはあかこすりながらふ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
さうして京都きやうとつき東京とうきやうつきよりもまるくておほきいやうかんじた。まちひときたときは、土曜どえう日曜にちえう利用りようしてとほ郊外かうぐわいた。宗助そうすけいたところ大竹藪おほたけやぶみどりこもふか姿すがたよろこんだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それは彼のあしを止めたところが郊外かうぐわいにあつたからで、そこは平野神社から銀閣寺へ途中とちうえる衣笠山のなだらかな姿がのきの下から望まれるやうな場所にある、まづしい家であつた。
(新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
近頃ちかごろ東京とうきやうける、あるひ日本にほんける麻雀マアジヤン流行りうかうすさまじいばかりで、麻雀倶樂部マアジヤンくらぶ開業かいげふまつた雨後うごたけのこごとしで邊鄙へんぴ郊外かうぐわいまちにまでおよんでゐるやうだが、そこはどこまでも日本式にほんしき小綺麗こぎれい
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
今朝けさひがしきんまどから朝日影あさひかげのまだのぞきませぬころむねもだへなぐさめませうと、郊外かうぐわいましたところ、まちからは西にしあたる、とあるかへで杜蔭もりかげに、れば、其樣そん早朝あさまだきに、御子息ごしそくあるいてござる、ちかづけば
うめいて、紫色むらさきいろ雑木林ざふきばやしこずゑが、湿味うるみつたあをそらにスク/\けてえ、やなぎがまだあら初東風はつこちなやまされて時分じぶんは、むやみと三きやく持出もちだして、郊外かうぐわい景色けしきあさつてあるくのであるが
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「で、てるとなると、やつぱり郊外かうぐわいね。」
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)