トップ
>
透綾
>
すきや
ふりがな文庫
“
透綾
(
すきや
)” の例文
今日自家の祭酒に酔うた仁左衛門さんが、明日は隣字の芝居で、
透綾
(
すきや
)
の羽織でも
引被
(
ひっか
)
け、寸志の
紙包
(
かみづつみ
)
を懐中して、芝居へ出かける。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
透綾
(
すきや
)
の着物が肌まで濡れ徹った。水を吸い込んだ草履が重くふやけ、ビシャッ、ビシャッと、伸子の足の下で泥を跳ね上げた。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
煙草をのみながら、
透綾
(
すきや
)
のように透き通る笠の、前半面から、悠然として、目に余るすすき野原をながめているのであります。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
萌黄の
帷子
(
かたびら
)
。水色の
透綾
(
すきや
)
。境内は雜然としてかんてらの
燈火
(
あかり
)
が
四邊
(
あたり
)
一面の
光景
(
ありさま
)
を花やかに、闇の地に浮模樣を染め出した。
二十三夜
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
餘り結構な身なりではないが、義雄の餘り構はない棒じま
透綾
(
すきや
)
の羽織りの袖口に汗じみがあるなどには、却つて釣り合ひが取れてゐると思へた。
泡鳴五部作:01 発展
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
▼ もっと見る
縞
(
しま
)
の
単衣
(
ひとえ
)
に古びた
透綾
(
すきや
)
の夏羽織を着て、なかばはげた頭には帽子もかむらず、小使部屋からこっそりはいってきて、「清三はいましたか」と聞いた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
ところへ花道から俳人
高浜虚子
(
たかはまきょし
)
がステッキを持って、白い
灯心
(
とうしん
)
入りの帽子を
被
(
かぶ
)
って、
透綾
(
すきや
)
の羽織に、
薩摩飛白
(
さつまがすり
)
の
尻端折
(
しりっぱしょ
)
りの半靴と云うこしらえで出てくる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
磨いた顔を
忌
(
いや
)
にてかてかと光らせて、眉毛を細く剃りつけ、見るから芸人を看板にかけているような
気障
(
きざ
)
な
人体
(
じんてい
)
であったが、
工面
(
くめん
)
が悪くないので
透綾
(
すきや
)
の
帷子
(
かたびら
)
に博多の帯
廿九日の牡丹餅
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ねへ美登利さん今度一処に写真を取らないか、
我
(
お
)
れは祭りの時の
姿
(
なり
)
で、お前は
透綾
(
すきや
)
のあら
縞
(
じま
)
で意気な
形
(
なり
)
をして、
水道尻
(
すいだうじり
)
の加藤でうつさう、龍華寺の奴が浦山しがるやうに
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
でも、お
師匠
(
しょ
)
さん、すこし根下りの
大丸髷
(
おおまるまげ
)
に、水色
鹿
(
が
)
の
子
(
こ
)
の手柄で、
鼈甲
(
べっこう
)
の
櫛
(
くし
)
が眼に残っていますって——黒っぽい
透綾
(
すきや
)
の着物に、腹合せの帯、
襟裏
(
えりうら
)
も
水浅黄
(
みずあさぎ
)
でしたってね。
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それで
高帽子
(
たかじゃっぽ
)
で、羽織がというと、
縞
(
しま
)
の
透綾
(
すきや
)
を黒に染返したのに、五三の何か
縫着紋
(
ぬいつけもん
)
で、少し
丈不足
(
たけたらず
)
というのを着て、お召が、
阿波縮
(
あわちぢみ
)
で、
浅葱
(
あさぎ
)
の
唐縮緬
(
とうちりめん
)
の
兵児帯
(
へこおび
)
を
〆
(
し
)
めてたわ。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
薩摩の蚊
飛白
(
がすり
)
、紺献上の五分づまりの帯、
透綾
(
すきや
)
の羽織、扇子と煙草入れを腰へ差し、
白木
(
しらき
)
ののめりの下駄を履き、
白鞣
(
しろなめし
)
の鼻緒に、十三本柾が通っている。桐は越後ではなく会津でございます。
噺家の着物
(新字新仮名)
/
三遊亭金馬
(著)
それが
癪
(
しやく
)
に触ると言つて、お客は桃太郎の頭から
熱爛
(
あつかん
)
の酒をぶつ掛けた。酒は肩から膝一面に流れた。
紅
(
あか
)
い
長襦袢
(
ながじゆばん
)
の色は
透綾
(
すきや
)
の表にまで
滲
(
し
)
み
透
(
とほ
)
つて来たが、桃太郎は眉毛一つ動かさうとしなかつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
白い
透綾
(
すきや
)
の霧が降つて居ます。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
媒妁夫妻は心嬉しく、主人は
綿絽
(
めんろ
)
の紋付羽織に木綿茶縞の袴、妻は
紋服
(
もんぷく
)
は御所持なしで
透綾
(
すきや
)
の縞の単衣にあらためて、
徐
(
しずか
)
に新郎新婦の到着を待った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
白縮緬
(
しろちりめん
)
の
襟
(
えり
)
のかかった
襦袢
(
じゅばん
)
の上へ
薩摩絣
(
さつまがすり
)
を着て、茶の
千筋
(
せんすじ
)
の
袴
(
はかま
)
に
透綾
(
すきや
)
の羽織をはおったその
拵
(
こしら
)
えは、まるで
傘屋
(
かさや
)
の
主人
(
あるじ
)
が町内の葬式の供に立った帰りがけで
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
詰襟
(
つめえり
)
の服を着けた、
白縞
(
しろじま
)
の袴に
透綾
(
すきや
)
の羽織を着たさまざまの教員連が、校庭から門の方へぞろぞろ出て行く。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
無地
(
むぢ
)
かと
思
(
おも
)
ふ
紺
(
こん
)
の
透綾
(
すきや
)
に、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
長襦袢
(
ながじゆばん
)
、
小柳繻子
(
こやなぎじゆす
)
の
帶
(
おび
)
しめて、
褄
(
つま
)
の
堅
(
かた
)
きまで
愼
(
つゝ
)
ましきにも、
姿
(
すがた
)
のなよやかさ
立
(
た
)
ちまさり、
打微笑
(
うちほゝゑ
)
みたる
口紅
(
くちべに
)
さへ、
常夏
(
とこなつ
)
の
花
(
はな
)
の
化身
(
けしん
)
に
似
(
に
)
たるかな。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
多少骨っぽくなって、頭髪などもさらりと
粗
(
あら
)
っぽい感じがする。羽二重や、
絖
(
ぬめ
)
や、
芦手
(
あしで
)
模様や
匹田鹿
(
ひったが
)
の
子
(
こ
)
の手ざわりではなく、ゴリゴリする浜ちりめん、
透綾
(
すきや
)
、または
浴衣
(
ゆかた
)
の感触となった。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ねへ美登利さん今度一處に寫眞を取らないか、我れは祭りの時の
姿
(
なり
)
で、お前は
透綾
(
すきや
)
のあら縞で意氣な
形
(
なり
)
をして、水道尻の加藤でうつさう、龍華寺の奴が浦山しがるやうに、本當だぜ彼奴は岐度怒るよ
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
薄い
透綾
(
すきや
)
を
著
(
き
)
せに来る。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
べら/\した
透綾
(
すきや
)
の羽織を着て、扇子をぱちつかせて、御国はどちらでげす、え? 東京? 夫りや嬉しい、御仲間が出来て……私もこれで江戸っ子ですと云つた。
坊っちやん
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
此辺には滅多に見た事も無い立派な輿だ。白無垢の婦人、白衣の看護婦、黒い洋服の若い医師、
急拵
(
きゅうごしら
)
えの紋を
透綾
(
すきや
)
の羽織に
張
(
は
)
った親戚の男達、其等が棺の前後に附添うた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
透綾
(
すきや
)
の羽織に白地の
絣
(
かすり
)
を着て、安い
麦稈
(
むぎわら
)
の帽子をかぶった清三の姿は、キリギリスが鳴いたり鈴虫がいい声をたてたり
阜斯
(
ばった
)
が飛び立ったりする土手の
草路
(
くさみち
)
を急いで歩いて行った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
ねへ
美登利
(
みどり
)
さん
今度
(
こんど
)
一
處
(
しよ
)
に
寫眞
(
しやしん
)
を
取
(
と
)
らないか、
我
(
お
)
れは
祭
(
まつ
)
りの
時
(
とき
)
の
姿
(
なり
)
で、お
前
(
まへ
)
は
透綾
(
すきや
)
のあら
縞
(
じま
)
で
意氣
(
いき
)
な
形
(
なり
)
をして、
水道尻
(
すいだうじり
)
の
加藤
(
かとう
)
でうつさう、
龍華寺
(
りうげじ
)
の
奴
(
やつ
)
が
浦山
(
うらやま
)
しがるやうに、
本當
(
ほんたう
)
だぜ
彼奴
(
あいつ
)
は
屹度
(
きつと
)
怒
(
おこ
)
るよ
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
べらべらした
透綾
(
すきや
)
の羽織を着て、
扇子
(
せんす
)
をぱちつかせて、お国はどちらでげす、え? 東京? そりゃ
嬉
(
うれ
)
しい、お仲間が出来て……
私
(
わたし
)
もこれで
江戸
(
えど
)
っ子ですと云った。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一
能
(
のう
)
一
術
(
じゆつ
)
これも
藝人
(
げいにん
)
の
名
(
な
)
はのがれぬ、よか/\
飴
(
あめ
)
や
輕業師
(
かるわざし
)
、
人形
(
にんげう
)
つかひ
大神樂
(
だいかぐら
)
、
住吉
(
すみよし
)
をどりに
角兵衞獅子
(
かくべいじゝ
)
、おもひおもひの
扮粧
(
いでたち
)
して、
縮緬
(
ちりめん
)
透綾
(
すきや
)
の
伊達
(
だて
)
もあれば、
薩摩
(
さつま
)
がすりの
洗
(
あら
)
ひ
着
(
ぎ
)
に
黒繻子
(
くろじゆす
)
の
幅狹帶
(
はゞせまおび
)
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
透
常用漢字
中学
部首:⾡
10画
綾
漢検準1級
部首:⽷
14画
“透綾”で始まる語句
透綾娘
透綾上布