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蹌踉
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よろめ
ふりがな文庫
“
蹌踉
(
よろめ
)” の例文
権四郎爺は、二間道路の路幅一っぱいに、右斜めに歩いては左斜めに歩き、左斜めに歩いては右斜めに歩き、
蹌踉
(
よろめ
)
きながら蛇行した。
黒い地帯
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
すると彼ははずみを喰って
蹌踉
(
よろめ
)
くとたあいもなく尻もちをつきましたが、その時私のインヴァネスの羽を掴んで破ってしまったのです。
遺書に就て
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
余は驚きの余り
蹌踉
(
よろめ
)
きて倒れんとし
纔
(
わずか
)
に傍らなる柱につかまり我が身体を支え得たり、支え得しまゝ
暫
(
しば
)
しが程は
殆
(
ほとん
)
ど身動きさえも得せず
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
而して幾度か止まり幾度か
蹌踉
(
よろめ
)
いて、子供等の小さい胸を痛ましめた神輿は、突然何か思ひ付いたやうに細い道を東の方に驅つて行つた。
海郷風物記
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
手も力もなく
蹌踉
(
よろめ
)
きながら、はだかった胸を掻き合わせて、露深い草の上に落ちたマキリを探し当てて、
懐中
(
ふところ
)
の
鞘
(
さや
)
に納めながら
白菊
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
恥辱の念と憤怒の情が、ダイナマイトでも爆發した樣に、身體中の血管を破つて、
突然
(
いきなり
)
立上つたが、腹が減つてるのでフラフラと
蹌踉
(
よろめ
)
く。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そこへ来ると飛行機はもうよろよろと
蹌踉
(
よろめ
)
きます。しかし、絶壁下にひろがる悪魔の尿溜の湿林は
濃稠
(
のうちょう
)
な蒸気に覆われてまったく見通しが利きません。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
案山子
(
かゝし
)
の
簑
(
みの
)
は、
三
(
みつ
)
つともぴしよ/\と
音
(
おと
)
するばかり、——
中
(
なか
)
にも
憎
(
にく
)
かつたは
後
(
あと
)
から
行
(
ゆ
)
く
奴
(
やつ
)
、
笠
(
かさ
)
を
着
(
き
)
たを
得意
(
とくい
)
の
容躰
(
ようだい
)
、もの/\しや
左右
(
さいう
)
を
眴
(
みまは
)
しながら
前途
(
ゆくて
)
へ
蹌踉
(
よろめ
)
く。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そしてわしも亦、教会の戸口の方に
蹌踉
(
よろめ
)
いて行つた、死のやうに青ざめて、額にはカルヴァリイ(註。耶蘇の磔殺された地名)の汗よりも血のやうな汗を流しながら。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
空
(
くう
)
を撃ったお杉は力余って、思わず一足前へ
蹌踉
(
よろめ
)
く
機会
(
はずみ
)
に、
恐
(
おそら
)
く岩角に
蹉
(
つまず
)
いたのであろう、身を
翻
(
ひるが
)
えして穴の底へ真逆さまに転げ
墜
(
お
)
ちた。蝋燭は消えて真の闇となった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と怒鳴ると、陶は
蹌踉
(
よろめ
)
くように座敷へ上ってきて、畳に両手をついて頭をさげた。
湖畔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
森はひょろひょろと
蹌踉
(
よろめ
)
きながら後ずさりし、
膿盆
(
のうぼん
)
のような海は時々
妬
(
ねた
)
まし気な視線をギラリと
投
(
なげ
)
かける。やがて、けちくさい
斑
(
まだ
)
らな
芥
(
あくた
)
と化した地球は、だんだんに遠ざかって行く——。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
私は
蹌踉
(
よろめ
)
きかかった女をしっかり抱きとめて
日蔭の街
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
そして、
蹌踉
(
よろめ
)
きもせずに再び足で立った。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
彼は跛のように
蹌踉
(
よろめ
)
いた。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
蓬髪
(
ほうはつ
)
の男
蹌踉
(
よろめ
)
き
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
恥辱の念と憤怒の情が、ダイナマイトでも爆発した様に、身体中の血管を破つて、
突然
(
いきなり
)
立上つたが、腹が減つてるのでフラフラと
蹌踉
(
よろめ
)
く。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
平三はそう言い返して、大手を振りながら祠の軒先まで
蹌踉
(
よろめ
)
いて行った。そして彼は、そこの礼拝の座に立ち小便を始めた。
或る部落の五つの話
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
突然
蹌踉
(
よろめ
)
いて、持っていたその本を、隅にある
乾隆硝子
(
けんりゅうガラス
)
の大花瓶に打ち当てて、倒してしまったのでございます。ところが、それからが妙なんですわ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
時々見えたり聞えたりするものを夢うつつのように感じたが、
終
(
しま
)
いにはその夢うつつさえ感じられなくなるまで恍惚として
蹌踉
(
よろめ
)
いて行った……ように思う。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
蹌踉
(
よろめ
)
きて
卓子
(
ていぶる
)
に
仆
(
たお
)
れ掛り、唯口の中にて「私しでは有りません、私しでは有りません」と呟くのみ。
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
下じめの端を両手できりきりと
〆
(
し
)
めながら、
蹌踉
(
よろめ
)
いて二階を下りて来た、蝶吉の血相は変っている。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鷺太郎は、
蹌踉
(
よろめ
)
くように、人の輪を抜けて、ほっと沖に目をやっていた。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
そして
跣足
(
はだし
)
のまま、
蹌踉
(
よろめ
)
きながら、咳につぶれた声で呼び立てた。
勝敗
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
長順 (
蹌踉
(
よろめ
)
きながら立ち上りて、南蛮寺の門扉に至り倚る。)
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
ロンネの蒼ざめた影のような身体が、扉から
蹌踉
(
よろめ
)
き出たのはそれから間もなくの事で、法水は何んと考えたか、それなり追求を止めて去らしめてしまった。
オフェリヤ殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
私はヨロヨロと
背後
(
うしろ
)
に
蹌踉
(
よろめ
)
いた。モウ一度眼を皿のようにしてその声の聞こえて来る方向を凝視した……。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
定めし居
耐
(
たた
)
まらぬ想いをしたに違いない、いま物音をさせたのも余りの事に聞きかねて気絶しかけ、身の中心を失って
蹌踉
(
よろめ
)
いた為ではあるまいか、何うも其の様な音であった。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
出足へ
唐突
(
だしぬけ
)
に
突屈
(
つッかが
)
まれて、女房の身は、前へしないそうになって
蹌踉
(
よろめ
)
いた。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その中でも、どうしたものか、
車輛
(
しゃりん
)
の放射状になった軸の一つにその男の
掌
(
て
)
だけが、ぶら下っていた。源吉は、
覗
(
のぞ
)
き込むように見て、思わず「わッ!」と叫ぶと、よろよろっと
蹌踉
(
よろめ
)
いて仕舞った。
鉄路
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
その男は、再びもとの酔いどれ口調に返って、
襟
(
えり
)
を立てながら
渡舟
(
わたし
)
のなかに
蹌踉
(
よろめ
)
き込んだ。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
何か
言
(
いお
)
うとするけれど其言葉は口から出ず
蹌踉
(
よろめ
)
いて椅子に倒れると云う騒ぎです
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
身の
健
(
すこや
)
かなる夫人は、かえって、かッと上気して
眩暈
(
めまい
)
を感じて、扉を閉めながら
蹌踉
(
よろめ
)
いたが、ばらばら脱ぎ散らした上草履乱れた中に、良人のを見て、取って揃えて直しながら、袖にも襟にも
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ですから、その『
予言の薫烟
(
ヴァイスザーゲント・ラウフ
)
』の存在が明瞭になると、自然伸子の
嘘
(
うそ
)
が成立しなくなるのです。あの女は、
蹌踉
(
よろめ
)
いた拍子に『聖ウルスラ記』を花瓶に当てて倒したと云いました。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
空色の
袷
(
あわせ
)
に襟のかかった
寝衣
(
ねまき
)
の
形
(
なり
)
で、寝床を
脱出
(
ぬけだ
)
した
窶
(
やつ
)
れた姿、追かけられて逃げる風で、あわただしく越そうとする敷居に
爪先
(
つまさき
)
を取られて、うつむけさまに倒れかかって、横に流れて
蹌踉
(
よろめ
)
く処を
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あっ、水だ!」と熊城は、思わず頓狂な叫び声を立てたが、跳び
退
(
の
)
いた
機
(
はず
)
みに
蹌踉
(
よろめ
)
いて、片手を左側にある
洗手台
(
せんしゅだい
)
で支えねばならなかった。しかし、それで万事が
瞭然
(
りょうぜん
)
となった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
手の
手巾
(
ハンケチ
)
を愛吉が一心になって
掴
(
つか
)
んだ、拳が凝って指がほぐれず。はッと腰を
擡
(
もた
)
げると、膝がぶつかって
蛸
(
たこ
)
の脚、ひょろひょろと
縺
(
もつ
)
れて、ずしん、また腰を抜く。おもみに
曳
(
ひ
)
かれて、お夏も
蹌踉
(
よろめ
)
く。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、そう云い終ると同時に、突然ジナイーダはかすかな
呻声
(
うめきごえ
)
を発してクラクラと
蹌踉
(
よろめ
)
いた。法水は危く
横様
(
よこざま
)
に支えたが、額からネットリした汗が筋を引いて、顔面は蝋黄色を呈している。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
老爺
(
ぢい
)
は
咳
(
しはぶき
)
を
一
(
ひと
)
つ
故
(
わざ
)
として、
雪枝
(
ゆきえ
)
の
背中
(
せなか
)
を
丁
(
とん
)
と
突出
(
つきだ
)
す。これに
押出
(
おしだ
)
されたやうに、
蹌踉
(
よろめ
)
いて、
鼓草
(
たんぽゝ
)
菫
(
すみれ
)
の
花
(
はな
)
を
行
(
ゆ
)
く、
雲
(
くも
)
踏
(
ふ
)
む
浮足
(
うきあし
)
、ふらふらと
成
(
な
)
つたまゝで、
双六
(
すごろく
)
の
前
(
まへ
)
に
渠
(
かれ
)
は
両手
(
りやうて
)
を
支
(
つ
)
いて
跪
(
ひざまづ
)
いたのであつた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
月と
葭
(
よし
)
を描いた
衝立
(
ついたて
)
の蔭から、よろよろと
蹌踉
(
よろめ
)
き上り、止めようとする宅悦の
襟首
(
えりがみ
)
をひっ掴んで、
逆体
(
さかてい
)
に引き据え、上になったお岩の
生際
(
はえぎわ
)
から一溜の
生血
(
なまち
)
、どろどろと宅悦の顔にかかるのが
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
蹌踉
(
よろめ
)
いたように母屋の羽目に
凭
(
もた
)
れた時
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“蹌踉”の意味
《名詞》
蹌踉(そうろう)
足元がよろめくさま。
(出典:Wiktionary)
蹌
漢検1級
部首:⾜
17画
踉
漢検1級
部首:⾜
14画
“蹌踉”で始まる語句
蹌踉々々
蹌踉蹌踉
蹌踉状