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赫
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あか
ふりがな文庫
“
赫
(
あか
)” の例文
電燈の球は
卓子
(
テイブル
)
の上を
這
(
は
)
ったまま、朱を
灌
(
そそ
)
いだように
颯
(
さっ
)
と
赫
(
あか
)
くなって、ふッと消えたが、白く
明
(
あかる
)
くなったと思うと、
蒼
(
あお
)
い光を放つ!
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ひょっとしてそれがむす子の情事に関する隠語ではあるまいか」こういう考えがちらりと頭に
閃
(
ひらめ
)
くと、かの女は少し
赫
(
あか
)
くなった。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
と松さんは大げさにいつて、
酔
(
よひ
)
で
赫
(
あか
)
らんだ顔を向けてそちらを見た。そして「
豊助
(
とよすけ
)
。栄坊ちやんの大事な鹿にわるさするぢやないぞォ。」
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
その「火の玉」少尉は、田毎大尉と旧友戸川中尉との前を辞するときに、一段とかたちを
改
(
あらた
)
め顔面を
朱盆
(
しゅぼん
)
のごとに
赫
(
あか
)
くして
空中漂流一週間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
まだ
七刻
(
ななつ
)
を過ぎたころ、
黄昏
(
たそがれ
)
には間のある時刻だが、剣山の高所、陽は遠く
山間
(
やまあい
)
に蔭って、
逆
(
さか
)
しまに
射
(
さ
)
す日光が
頂
(
いただき
)
にのみカッと
赫
(
あか
)
く、谷、
峡
(
かい
)
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
がっちりと骨太に肥えた、
赫
(
あか
)
ら顔のぶあいそな、そしてひどく口の重い男であるが、気の好い情に
脆
(
もろ
)
い性分であった。
秋の駕籠
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
チッとしか鳴かない
赫
(
あか
)
ちゃけた土色の
若雲雀
(
わかひばり
)
がころがるようにとびだしてきても、それに気がついていながら振り返ってみる心の余裕がないのである。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
左内から恋の告白をされて、お菊は眼もとを
赫
(
あか
)
らめたが、物もいわずにうつむいて、膝の上で両手を握りしめた。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
でっぷり肥った
赫
(
あか
)
ら顔の折鞄をマントの下に抱え込んだ男だった。私はその姿を見ると興ざめた心地がした。それで順番を村瀬に譲って、傍から見ていた。
微笑
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
これは普通火山で見受ける、
赫
(
あか
)
く焦げた熔岩とは思えないので、道者連は真石と称えているが、平林理学士に従えば、
橄欖
(
かんらん
)
輝石富士岩に属しているそうだ。
高山の雪
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
「あの、
何卒
(
どうぞ
)
お構いなく」娘は
赫
(
あか
)
くなって下を向いた。その
生
(
う
)
ぶな優しさがフリント君の心を捕えた。
夜汽車
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
と、言い、わしは出所して始めての暖かく
恭謙
(
きょうけん
)
な挨拶を受けたが、その時、眼をあげた奈世はわしの眼にぶつかると、わしにもはっきりとわかる程に顔を
赫
(
あか
)
らめた。
面
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
「兎も角御邸へ帰って見ようじゃありませんか。まさかさっきの様に僕と駈落して下さいとはいえませんからね」紋三は
赫
(
あか
)
くなってぎこちなく冗談みたいなことをいった。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
色合いは
赫
(
あか
)
色がかった熱帯色。だが、ノラよ。スリップにつけたレースがまんかいしてスカートから
臑
(
すね
)
のあたりに××××るのはあまり感心しないがどうしたものか。赤い
蛇皮
(
へびかわ
)
の靴。
新種族ノラ
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
大たぶさに
結
(
と
)
り上げ、
赫
(
あか
)
ぐろい、酒やけのした顔で、長身の——清水狂太郎なのだ。
口笛を吹く武士
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
鼠色の壁の幾つかの煤けた
硝子
(
ガラス
)
窓からは、
流石
(
さすが
)
に強烈な日光が流れ込んで、そこらの麦稈帽や鳥打帽や
赫
(
あか
)
ら
面
(
づら
)
や
鼈甲縁
(
べっこうぶち
)
の眼鏡やアルパカの詰襟のぼんの
凹
(
くぼ
)
などが一時にくわっと燃え立って
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
わたくしがこう問ねましたとき、童子は
赫
(
あか
)
くなってこたえました。
あじゃり
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「あまり
晩
(
おそ
)
くならないうちに、お庄ちゃんは一足先へお帰り。叔父さんが心配するといけませんよ。」と、大分経ってから、安火に
逆上
(
のぼ
)
せたような
赫
(
あか
)
い顔をあげながら磯野はいいつけるように言った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「
何
(
どう
)
しなすツたの」と、お花も、松島と云ふ一語に顔
赫
(
あか
)
らめぬ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
かの女は危く叫びそうになって、
屹
(
きっ
)
と心を引締めると、身体の中で全神経が酢を浴びたような気持がした。次に
咽喉
(
のど
)
の辺から下頬が
赫
(
あか
)
くなった。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
云いながら、フッと気がついてそれは自分自身に納得させているのだと思うと鷲尾は顔が
赫
(
あか
)
くなった気がした。——
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
赫
(
あか
)
ら顔の、口のあたりに、もぢやもぢやと無精ひげの生えた、眼のぎよろりとした、屈強の男かと思つて出て来た役人は、庭にちよこんと
坐
(
すわ
)
つてゐる
痩
(
や
)
せぎすの
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
予も
些
(
いささ
)
か
辟易
(
へきえき
)
したから謹んで傍へ行って、「此処で貝を拾っても宜いか」と訊ねた。壮漢は逞しい
赫
(
あか
)
ら顔をはたと予に向けて「どんな貝を取っているんだ」と居丈高に
呶鳴
(
どな
)
る。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と、
梁軍
(
りょうぐん
)
七千の人と旗は黒い風に吹きちらされ、
揉
(
も
)
み舞わされ、冬の木の葉に異ならない。あれよあれよの、
叫喚
(
きょうかん
)
だった。ただ見る日輪だけが
赫
(
あか
)
く、
雹
(
ひょう
)
に
交
(
ま
)
じって
砂礫
(
されき
)
を吹きつける。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
Kama Sutra や Ananga Ranga にでてくるような、
閨技
(
けいぎ
)
の
秘奥
(
ひおう
)
や交合の姿態などを細密に説いて、
旦那
(
マスター
)
がたをよろこばせ、若い夫人たちの顔を
赫
(
あか
)
くするのを
ヤトラカン・サミ博士の椅子
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
四、五間うしろにその
赫
(
あか
)
い平べったい、顔を見いだしたとき、女は
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
たぶん妹か、
姪
(
めい
)
らしい女の
児
(
こ
)
に声をかけると、
曼珠沙華
(
ひがんばな
)
のように
赫
(
あか
)
ちゃけた頭髪はくるッと振りむいて、ひどく
憤
(
いきどお
)
った顔色で「赤ンベイ」をしてみせた。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
親たちのこの模様がえを聞かされた時、かなり一緒に行き
度
(
た
)
い心を抑えていたむす子は「なんだい、なんだい」と
赫
(
あか
)
くなって自分の苦笑にむせ
乍
(
なが
)
ら云った。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
今晩だけは特別だと云って、康子の手で
麦酒
(
ビール
)
が開けられた、清三も青木も顔の
赫
(
あか
)
くなるほど飲んだ、清三はまたかねがね聞かされていた神戸の牛肉の
美味
(
うま
)
さに
頻繁
(
ひんぱん
)
に
箸
(
はし
)
を鍋に運んだ。
須磨寺附近
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
さらに
眼
(
まなこ
)
の光もただならず、丸ッこい
赫
(
あか
)
ら顔を、もじゃもじゃした
髯
(
ひげ
)
が取り巻いている。また腰なるは、
太原風
(
たいげんふう
)
の帯ヒモとそして
金環
(
きんかん
)
の飾りある剣。——問うまでもなくこれは軍装である。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのとき良寛さんの
長頭
(
ながあたま
)
が、こてんこてんと左右にかたぶくので、うしろから見てゐる下男は
可笑
(
をか
)
しくなつて、つい、ぷつ、と噴き出してしまつた。すると良寛さんは、さつと顔を
赫
(
あか
)
めて
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
おきみは急に深く首を下げましたが、彼の頸元から
耳朶
(
みみたぶ
)
へかけて日の出のさしたように
赫
(
あか
)
くなっていました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
遠くから見る西洋人の肌は
剥
(
む
)
き立てのバナナのようにういういしい——小田島は突然顔を
赫
(
あか
)
らめた。
ドーヴィル物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
三月の末、
雲雀
(
ひばり
)
が野の彼処に声を落し、太陽が
赫
(
あか
)
く森の向うに残紅をとどめていた。森の樹々は、まだ短くて
稚
(
おさな
)
い芽を、ぱらぱらに立てていた。風がすこし寒くなって来た。
兄妹
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
肩を
揺
(
ゆす
)
って顔を覗き込む。子供は感違いした母親に対して何だか恥しく
赫
(
あか
)
くなった。
鮨
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
いかに戦国の
慣
(
なら
)
いとは云え敵と味方に分れて
謀
(
はかりごと
)
の裏をかき合って居るのだとは……蘇秦の豪傑肌な
赫
(
あか
)
ら顔と張儀の神経質な青白い顔とが並び合って落日を浴び
乍
(
なが
)
ら洛邑の厚い城壁に影を
荘子
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
濃く縮れた髪の毛を、程よくもじょもじょに分け
仏蘭西
(
フランス
)
髭
(
ひげ
)
を生やしている。服装は
赫
(
あか
)
い短靴を
埃
(
ほこり
)
まみれにしてホームスパンを着ている時もあれば、少し古びた
結城
(
ゆうき
)
で着流しのときもある。
鮨
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
作太郎は
赫
(
あか
)
くなってそれから土気色になった。口に一ぱい詰めた生米は程よく乾いていたので少々の唾液では
嚥
(
の
)
み下せなかった。まして新妻の前で吐き出すことはどうしても出来なかった。
百喩経
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
熟し切った太陽の下でセーヌ河のうす
赫
(
あか
)
い土色の水が流れて居た。流れは箱型の水泳船の蔭へ来て涼しい蘆の中で小さい渦を沢山こしらえる。渦と渦と抱き合ってぴちょんぴちょんと音を立てる。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
おとうさんが、きつぱりと云ひますと、先に云ひ出したおかあさんがいそいそとしたなかにもすこし
恥
(
はずか
)
し相な
赫
(
あか
)
らめた顔色を見せました。わが母
乍
(
なが
)
ら美くしい愛らしいと、むすめはそれを眺めました。
秋の夜がたり
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
灼熱
(
しゃくねつ
)
した
塵埃
(
じんあい
)
の空に
幾百
(
いくひゃく
)
筋も
赫
(
あか
)
く
爛
(
ただ
)
れ込んでいる
煙突
(
えんとつ
)
の
煙
(
けむり
)
。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
おとうさんの
頬
(
ほお
)
は
何故
(
なぜ
)
か少し
赫
(
あか
)
らみました。
秋の夜がたり
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
娘は少し
赫
(
あか
)
くなった。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
赫
漢検準1級
部首:⾚
14画
“赫”を含む語句
赫々
赫耀
目赫
赫灼
赫奕
赫燿
威赫
赫夜姫
赫耶
赫怒
真赫
赫奕姫
赫土
赫光
赫然
赫映姫
赫耶姫
恐赫
赫爾洪得
赫熱
...