貴孃あなた)” の例文
新字:貴嬢
千葉ちば貴孃あなたいてりますと言上ごんじようすれば、おゝ可愛かわいをとこ奧樣おくさま御贔負ごひゐきまさりて、おこゝろづけのほどいままでよりはいとゞしうりぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もよほまことに驚き入たる御志操おこゝろざしなれども夫よりは貴孃あなた御縹緻ごきりやうなれば御縁の口は何程も有るべし我等かねたのみおきたればまづまち給へと云ふにいな縁付も氣兼きがねが否なれば氣樂きらくに遊女奉公を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
うして貴孃あなたのおくちびるで、わたしつみこのくちびるからきよめられ、ぬぐはれました。
やれもらへと無茶苦茶むちやくちやすゝめたてる五月蠅うるささ、うなりとれ、れ、勝手かつてれとてれをうちむかへたは丁度てうど貴孃あなた御懷妊ごくわいにんだときゝました時分じぶんこと
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
左樣さやうならばと挨拶あいさつすれば録之助ろくのすけかみづゝみをいたゞいて、お辭儀じぎまをはづなれど貴孃あなたのおよりくだされたのなれば、ありがた頂戴ちようだいしておもにしまする
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
可愛想かわいそうなことをとすこなみだくんでおさくをかばふに、それは貴孃あなた當人たうにんぬゆゑ可愛想かわいさうともおもふからねど、おさくよりはれのほうあはれんでくれてはづ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たい土地とちはふみがたく、兀々こつ/\として月日つきひおくらねばならぬかとおもふに、のふさぐも道理だうりとせめては貴孃あなたでもあはれんでくれ給へ、可愛かわいさうなものではきかとふに
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
氣のふさぐも道理とせめては貴孃あなたでもあはれんでくれ給へ、可愛さうなものでは無きかと言ふに、あなたは左樣仰しやれど母などはお浦山しき御身分と申て居りまする。
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
厭やと思へば日がな一日ごろ/\として烟のやうに暮して居まする、貴孃あなたは相變らずの美くしさ、奧樣にお成りなされたと聞いた時から夫でも一度は拜む事が出來るか
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
やとおもへばがな一日いちにちごろ/\としてけぶりのやうにくらしてまする、貴孃あなた相變あいかはらずのうつくしさ、奧樣おくさまにおりなされたといたときからそれでも一おがこと出來できるか
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あれお前さんは彼のお方では無いか、私をよもやお忘れはなさるまいと車よりすべるやうに下りてつく/″\と打まもれば、貴孃あなたは齋藤の阿關さん、面目も無い此樣こん姿なり
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
洒落氣しやれげなしではられぬはづ勉強家べんきようかにしたは其自狂そのやけからかとおつしやるに、中々なか/\もちまして彼男あれ貴孃あなた自狂やけなどおこすやうなおとこ御座ござりましよか、無常むじやうさとつたので御座ござりますとふに
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
長居ながゐをして御世話おせわさまにつたは、申わけがありませぬ、いやでらぬ田舍いなかへはかへらねばならず、なさけのあろうとおも貴孃あなたがそのやうにすてゝくだされば、いよ/\なか面白おもしろくないの頂上ちやうじよう
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
奧樣おくさまはおせいをりふしふさしようにもおあそばすし眞實しんじつわるときくらところいてらつしやるがお持前もちまへふたらば、んなにか貴孃あなた吃驚びつくりいたしまして、んでもこと、それは大層たいそう神經質しんけいしつ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)