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薄黒
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うすぐろ
で、
船が
一揺れ
揺れると
思ふと、
有繋に
物駭きを
為たらしい、
艫に
居た
五位鷺は、はらりと
其の
紫がゝつた
薄黒い
翼を
開いた。
その
時、
降りて
來た
小鳥をびつくりさせるものは、
急に
横合から
飛出す
薄黒いものと、
鷹の
羽音でもあるやうなプウ/\
唸つて
來る
音です。
もう下の方を見
廻しても、
積み
重った山や
遠い野が少し見えるきりで、初めのような
美しい
景色は
眼にはいりませんでした。
薄黒い
雲がすぐ前を
飛んで行きました。
宗助は
思ひ
出した
樣に
立ち
上がつて、
座敷の
雨戸を
引きに
縁側へ
出た。
孟宗竹が
薄黒く
空の
色を
亂す
上に、
一つ
二つの
星が
燦めいた。ピヤノの
音は
孟宗竹の
後から
響いた。
と夜具を
奪りにかかる
女房は、
身幹の少し高過ぎると、眼の
廻りの
薄黒く顔の色一体に
冴えぬとは難なれど、
面長にて
眼鼻立あしからず、
粧り立てなば
粋に見ゆべき三十前のまんざらでなき女なり。
欄干の
横木が、
水の
響きで、
光に
搖れて、
袂に
吹きかゝるやうに、
薄黒く
二ツ
三ツ
彳むのみ、
四邊に
人影は
一ツもなかつた。
薄黒い
雲が
足下に一
面にひろがっていて、
遠くの下の方で
雷が
鳴るような音がしていました。
雲よりも高い山だったのでした。それでも、
向うにはさらに高い山がつき立っていました。
ト
錨が
一具据つたやうに、
間十
間ばかり
隔てて、
薄黒い
影を
落して、
草の
中でくる/\と
𢌞る
車がある。
ト
錨が
一具据つたやうに、
間十間ばかり
隔てて、
薄黒い
影を
落して、
草の
中でくる/\と
𢌞る
車がある。
で、
老爺は
今度は
自分の
刻んだ
魚を、これは
又、
不状に
引握つたまゝ
斉しく
投げる、と
潵が
立つたが、
浮草を
颯と
分けて、
鰭を
縦に
薄黒く、
水際に
沈んでスツと
留る。
一度は、たとへば、
敦賀灣でありました——
繪にかいた
雨龍のぐる/\と
輪を
卷いて、
一條、ゆつたりと
尾を
下に
垂れたやうな
形のものが、
降りしきり、
吹煽つて
空中に
薄黒い
列を
造ります。