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育
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はぐく
ふりがな文庫
“
育
(
はぐく
)” の例文
特に全く
異
(
ことな
)
った文化に
育
(
はぐく
)
まれた日本人にそれが不可能であるとは思えないという風の意味のことを始終考えておられたようである。
指導者としての寺田先生
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
千登世の無常觀——は過去の閲歴から
育
(
はぐく
)
まれたのだつた。時折りその感情が潮流のやうに一時に彼女に歸つて來ては彼女をくるしめた。
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
僕の
情念
(
じょうねん
)
を察して呉れ
給
(
たま
)
え。しかし僕は自分の任務をおろそかにはしない。この苦しき恋を
育
(
はぐく
)
んだ
日
(
ひ
)
の
本
(
もと
)
の国を愛するが故に……
壊れたバリコン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そこでは新しい光栄が、徐々に形造られ
育
(
はぐく
)
まれていた。それは大きな団体であって、幾つもの礼拝堂をもってる小教会であった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
父母の愛にも
育
(
はぐく
)
まれてきたが、維新の戰亂で、家は悲境に沈み、十五、六歳で、もう田舍酌婦から夜の女への道を生き喘いだ。
折々の記
(旧字旧仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
精神的にも物質的にも茫々たる不毛の国土を開拓して、隆々たる文化を
育
(
はぐく
)
みつつ、世界を併呑すべく雄視した鼻がありました。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
而して無口な子が時時片言交りに一つより知らぬ讚美歌の「夕日は隱れて路は遙けし。我主よ、今宵も共にいまして、寂しき此身を
育
(
はぐく
)
み給へ」
巴里にて
(旧字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
産湯から
育
(
はぐく
)
みのことに
与
(
あずか
)
る壬生部は、貴種の子の出現の始めに禊ぎの水を
灌
(
そそ
)
ぐ役を奉仕していたらしい。これが、
御名代部
(
みなしろべ
)
の一成因であった。
水の女
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
而
(
さう
)
して無口な子が
時時
(
ときどき
)
片
言
(
こと
)
交りに一つより知らぬ讃美歌の「夕日は隠れて
路
(
みち
)
は遥けし。
我主
(
わがしゆ
)
よ、
今宵
(
こよい
)
も共にいまして、寂しき
此
(
この
)
身を
育
(
はぐく
)
み給へ。」
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
少年の日の彼の夢想を
育
(
はぐく
)
んだ山や河はどうなったのだろうか、——彼は足の
赴
(
おもむ
)
くままに郷里の景色を見て歩いた。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
そのお寺の宗旨が「秘密」とか、「
禁厭
(
まじない
)
」とか、「
呪詛
(
じゅそ
)
」とか云うものに縁の深い真言宗であることも、私の好奇心を誘うて、
妄想
(
もうそう
)
を
育
(
はぐく
)
ませるには
恰好
(
かっこう
)
であった。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
加之
(
しかのみならず
)
牛に養はれて、牛の乳に
育
(
はぐく
)
まれしかば、また牛の力量をも
受得
(
うけえ
)
て、けだし
尋常
(
よのつね
)
の犬の猛きにあらず。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
ワグナーの音楽の感銘は強大
深甚
(
しんじん
)
で、その支持者はきわめて熱烈であった反面には、常に
反
(
アンチ
)
ワグネリスムスの
萌芽
(
ほうが
)
が
育
(
はぐく
)
まれ、時あって全ワグナーの功業、芸術を
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
豊穣な濃尾の地利に
培
(
つちか
)
はれ、人文に
育
(
はぐく
)
まれた英雄児信長は、遮るものあらば性来の勇猛心で撃砕した。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
その
土地
(
とち
)
にゐついてゐるのですから、
何
(
なに
)
よりもその
地方
(
ちほう
)
の
過去
(
かこ
)
を
思
(
おも
)
ひ
起
(
おこ
)
させ、
地方歴史上
(
ちほうれきしじよう
)
の
參考
(
さんこう
)
ともなり、
愛郷心
(
あいきようしん
)
をも
養
(
やしな
)
ひ、ひいては
愛國心
(
あいこくしん
)
を
育
(
はぐく
)
むことにもなります。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
とは云え私がこれまで信じてきたもの、私が胸のうちに
育
(
はぐく
)
んできた愛、それは何処へ行くのであろう? そう思う時、私は自分の足元が暗くなって倒れそうな気がした。
運命のままに
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
余は日本人の血を受けて生れ、日本の歴史によつて
育
(
はぐく
)
まれ、日本の社會の中に生息してゐる。故に自ら好むと好まざるとを問はず、日本人であることは余の運命である。
三太郎の日記 第三
(旧字旧仮名)
/
阿部次郎
(著)
親しくその人を
育
(
はぐく
)
んだ山川草木の間で、相当の研究を積んでいたには相違ないが、その中でも
竹中半兵衛尉重治
(
たけなかはんべえのじょうしげはる
)
の研究に就いては、なかなかの
造詣
(
ぞうけい
)
を持っているらしい。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
時々帳場格子のなかに坐っている
良人
(
おっと
)
の顔を眺めたり、独り居るときに、そんな思いを胸に
育
(
はぐく
)
み温めていたりして、自分の心が次第に良人の方へ
牽
(
ひき
)
つけられてゆくのを
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかし、日本に着いてからの四十年余りの間と云うものは、確かに美衣美食と高い教程でもって
育
(
はぐく
)
まれていったのですから、外見だけでは、十分宮廷生活と申せましょう。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
主体性と創造性と理想性と
叡知
(
えいち
)
を持ち、環境に
育
(
はぐく
)
まれながら自ら環境を作り、歴史を伝承しつつしかも自ら歴史を創造するものであることからくる、当然の結果なのである。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
それも貴方の御意志であった事は
勿論
(
もちろん
)
です。私はこの意外な家庭の空気に驚いたものです。こういう状態において貴方と私との間に真の愛や理解が
育
(
はぐく
)
まれようはずがありません。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
まるで反対の方へ押し
遣
(
や
)
られるような
迂曲
(
うきょく
)
の道を
辿
(
たど
)
りながら、しかもその間に頼りない細流を引取り
育
(
はぐく
)
み、強力な流れはそれを
馴致
(
じゅんち
)
し、より強力で偉大な川には潔く
没我合鞣
(
ぼつがごうじゅう
)
して
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ただ父親の慈愛一つに
育
(
はぐく
)
まれて、その時分姉妹の住んでいた本邸は、首府のベルグラード郊外、そこで三十人近くの召使に
侍
(
かしず
)
かれて、別邸は銅山の所在地のゼニツアの町に一つと
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
しかも、かつての僕の魂はかくのごとき「言葉」の温床に
育
(
はぐく
)
まれているのであった。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
周囲を清潔にして、その中に美しい人格を
育
(
はぐく
)
み、そして、心からの美しい料理をつくらせたいと思っているんですがね。ですから、料理人なども一年も経ちますと、みな変ってきますね。
料理一夕話
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
だが万般の事象は皆同じ法のもとに
育
(
はぐく
)
まれているのである。人々は宗教と工藝とその間に何の
縁
(
ゆかり
)
があるかを
訝
(
いぶか
)
しく尋ねる。そうしてそれをただの器物のことに過ぎぬと云って
蔑
(
さげす
)
むようである。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
言いようもない悲しみになって、宮は心の中でこそ娘への愛情から離れようと努力はしておいでになったであろうが、明け暮れそばにいてあたたかい手で
育
(
はぐく
)
んでおいでになったのであるから
源氏物語:48 椎が本
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
気絶したまま可哀そうな浜路、三人の眼の前に
横仆
(
よこた
)
わっている。乱れた髪の毛、蒼褪めた顔、崩れた衣裳、露出した肌、その肉体の豊麗さ! 秀麗な御岳の山霊に、
育
(
はぐく
)
まれて出来た女神である。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「しかし自分では冬も居る気でいるようですよ」私はこういう山の孤独がどんなに私達の幸福を
育
(
はぐく
)
んでいて呉れるかと云うことを、どうしたら父に理解させられるだろうかともどかしがりながら
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
静寂な「無」に
育
(
はぐく
)
まれる
遑
(
あわ
)
ただしい幻想でなくて何であろう。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
罪なき者の血に、長くそが狂暴の
呪文
(
じゅもん
)
を
育
(
はぐく
)
みぬ。
落穴と振子
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
*レーアの手よりわれを取りその宮中に
育
(
はぐく
)
みき。
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
心情の力を尽してそれを
育
(
はぐく
)
んで行った。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
もつと此の風景に養はれ
育
(
はぐく
)
まれて
道程
(旧字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
水はめぐり水は
育
(
はぐく
)
む
大大阪のれいめい
(新字新仮名)
/
安西冬衛
(著)
とはいえ、十を幾ツも出ぬ
女童
(
めわらべ
)
のころより、この玄恵が手もとにて
育
(
はぐく
)
みしものを、かかる始末となっては、
迂僧
(
うそう
)
も何やら申しわけない心地ではある
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幼児は其直後九州へ下ったのだが、二十になって又京都へ上って来て、偶然の機会から源氏に
育
(
はぐく
)
まれる事になる。当時、実の父頭中将は内大臣となっている。
反省の文学源氏物語
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
而もその記憶と感覚とは、四十年の間彼の頭の中で大切に
育
(
はぐく
)
まれつゝ、次第に理想的なものに美化され、浄化されて、実物とは遥かに違ったものになって行ったのであった。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
明治時代の政権と金権とに、楽々と
育
(
はぐく
)
まれて来たさすが時代の
寵児
(
ちょうじ
)
であっただけに、その存在は根強いものであり、ある時は富士や桜や
歌舞伎
(
かぶき
)
などとともに日本の
矜
(
ほこ
)
りとして
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
二十世紀の大ヴァイオリニストたちを
育
(
はぐく
)
んだ十九世紀末の巨大な教授たちのうちには、ハイフェッツやジンバリストを育てたアウアーがあり、クベリック、コチアンなどを世に送った
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
ところが長々と
育
(
はぐく
)
まれて来た
呪
(
のろ
)
いは、遂に最後のカタストロフを導き出すことになったのです。それはもう三月も暮れ、四月に入って学校の授業も一両日中には始まろうという日でした。
三角形の恐怖
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
が、この少女は、夜
毎
(
ごと
)
に下る白露に
育
(
はぐく
)
まれた自然の花のような生きた新鮮な美しさを持っていた。人間の手の及ばない海底に、自然と造り上げられる、天然真珠の
如
(
ごと
)
き輝きを持っていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
青藍色に澄み切った大空の
燦爛
(
さんらん
)
たる烈日の
下
(
もと
)
に燃え上る褐色の沙漠の一端、暗黒の大陸を貫いて南から北へ流るるナイル河の氾濫に
育
(
はぐく
)
まれたエジプトの文化は、実に奇怪を極めたものでありました。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
子をば
育
(
はぐく
)
む大切な
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
頑是
(
がんぜ
)
ないこの一子まであの世へつれてゆくに忍びぬので、煩悩とおわらいもあろうが、家臣の端へなと置かれて、どうか成人までお
育
(
はぐく
)
みをねがいたい
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは
御坂
(
みさか
)
山脈のあたりから発生した上昇気流が、折からの高温に
育
(
はぐく
)
まれた水蒸気を伴って
奔騰
(
ほんとう
)
し、やがて入道雲の多量の水分を持ち切れなくなったときに俄かにドッと崩れはじめると見るや
雷
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
かれが、
上淫
(
じょういん
)
を好んだのも、良風良俗のうちに
育
(
はぐく
)
まれた子女には、おのずから、優雅な香気があるからであった。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こういう一
徹
(
てつ
)
な曲げない風は、老人ばかりでなく、彼の
擁
(
よう
)
す
兵
(
つわもの
)
ばらには皆あった。坂東の原野と山川が人間のなかに
育
(
はぐく
)
んだ太いすじ骨というものであろう。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かえって随喜したりした頃の——みじめ極まる家庭に
育
(
はぐく
)
まれて、自然、右を見ても
不愍
(
ふびん
)
、左を見ても不愍という愛情が、天性というよりも、境遇と共に濃くされたせいであろう。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
育
常用漢字
小3
部首:⾁
8画
“育”を含む語句
教育
紐育
養育
生育
撫育
哺育
山家育
野育
育馬所
無教育
阿育
都育
御養育
養育料
教育法
山育
薫育
發育
傅育
鞠育
...