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節穴
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ふしあな
ふりがな文庫
“
節穴
(
ふしあな
)” の例文
おじいさんは、わざと
勝手
(
かって
)
もとから、
門
(
もん
)
の
方
(
ほう
)
へまわりました。そして、
塀
(
へい
)
についている
節穴
(
ふしあな
)
から、
外
(
そと
)
のようすをのぞいて
見
(
み
)
ました。
日の当たる門
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「その野郎なら御心配なく、——
節穴
(
ふしあな
)
見たいなものを二つ持つて居ますが、何を聽いたつて、人に漏らす氣遣ひはございません」
銭形平次捕物控:204 美女罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
やがて、赤羽主任は、その
節穴
(
ふしあな
)
をふさいでいた
血染
(
ちぞ
)
めの
栓
(
せん
)
を、吹矢の先に刺して懐中電灯の光を借りて、じいっと見つめた。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「おのれがおのれがその二つの眼、
節穴
(
ふしあな
)
かそれとも蜂の
巣空
(
すがら
)
か! ……その香具師の群れ茨組こそ、飛天夜叉なのじゃ、飛天夜叉組なのじゃ!」
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
立て
籠
(
こ
)
められた湯気は、
床
(
ゆか
)
から天井を
隈
(
くま
)
なく
埋
(
うず
)
めて、
隙間
(
すきま
)
さえあれば、
節穴
(
ふしあな
)
の細きを
厭
(
いと
)
わず
洩
(
も
)
れ
出
(
い
)
でんとする
景色
(
けしき
)
である。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
星どころじゃない、
節穴
(
ふしあな
)
どころの
沙汰
(
さた
)
じゃアない。
変
(
へん
)
なやつがいる! へんな人間が屋根うらの
梁
(
はり
)
に、取ッついている!
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
新三郎は一心になって経文を唱えていたが、やがて駒下駄の音が垣根の傍でぴたりととまったので、恐るおそる蚊帳から出て雨戸の
節穴
(
ふしあな
)
から覗いてみた。
円朝の牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
お客は
馬屋
(
うまや
)
の戸に、なかからかんぬきをおろしてしまいました。そこで、主人は
節穴
(
ふしあな
)
からのぞいてみました。
「テーブルよ、ごはんの用意」と、金貨をうむロバと、「こん棒、ふくろから」
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
そう申しては口幅っとうございますが、先ずこう申す五郎助七三郎が筆頭で、それから
夜泣
(
よな
)
きの
半次
(
はんじ
)
、
逆
(
さか
)
ずり
金蔵
(
きんぞう
)
、
煙
(
けむり
)
の
与兵衛
(
よへえ
)
、
節穴
(
ふしあな
)
の
長四郎
(
ちょうしろう
)
。それだけでございます
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
……へッ、嘘をつけ、唄の文句ならそれでもいいだろうが、そんなチョロッカなことじゃ世間は誤魔化されねえ。……おい、六平、芳太郎さんの眼は
節穴
(
ふしあな
)
じゃアねえよ。
顎十郎捕物帳:21 かごやの客
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「新ちゃん、君と僕は子供の時からの附き合いだが、君は僕の目を
節穴
(
ふしあな
)
だと思っているのかい?」
田園情調あり
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ううむ! と左膳が寝返りをうった時、やにわに! 紙を貼った戸の
節穴
(
ふしあな
)
に人影がさして
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「また雨らしいな……」と
溜息
(
ためいき
)
をつきながら私が雨戸を繰ろうとした途端に、その
節穴
(
ふしあな
)
から明るい外光が
洩
(
も
)
れて来ながら、
障子
(
しょうじ
)
の上にくっきりした小さな
楕円形
(
だえんけい
)
の
額縁
(
がくぶち
)
をつくり
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
お駒と定吉とは、
正午
(
ひる
)
少し前頃まで寢てゐて、門も雨戸も閉め切りになつてゐた。
節穴
(
ふしあな
)
や
隙間
(
すきま
)
から日の光が白く射し込んで、サーチライトのやうにお駒と定吉との枕元を照らした。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
雨戸に大きな
節穴
(
ふしあな
)
があって、障子に
倒逆
(
とうぎゃく
)
した小さい風景を映していた。天然色映画のように、何か高価な感じのする色がその風景を
彩
(
いろど
)
っていた。どういう景色だかはっきり判らない。
風宴
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
南屋の
普請
(
ふしん
)
に
懸
(
かか
)
って居るので、ちょうど与吉の小屋と往来を隔てた
真向
(
まむこ
)
うに、小さな普請小屋が、
真新
(
まあたらし
)
い、
節穴
(
ふしあな
)
だらけな、薄板で建って居る、
三方
(
さんぽう
)
が囲ったばかり、編んで繋いだ
縄
(
なわ
)
も見え
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それは勿論戸の
節穴
(
ふしあな
)
からさして来る光のためだったのです。しかし僕は腹ばいになり、一本の巻煙草をふかしながら、この妙に澄み渡った、小さい初秋の風景にいつにない静かさを感じました。
手紙
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
米友は戸の
節穴
(
ふしあな
)
からそっと
覗
(
のぞ
)
いていると、
蜜柑箱
(
みかんばこ
)
を枕にした折助が
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「そうだ、その
意気
(
いき
)
だ、しっかりやれ。」と、
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
で、
酒屋
(
さかや
)
の
小僧
(
こぞう
)
さんに
応援
(
おうえん
)
しながら、
塀
(
へい
)
の
節穴
(
ふしあな
)
から
目
(
め
)
をはなしませんでした。
日の当たる門
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
なかなかあかなかったけれど、蜂矢がその黒箱の板の
節穴
(
ふしあな
)
に小指を入れてみたときに、きゅうに箱がばたんとはねかえり、四方の枚がはずれた。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
坑
(
あな
)
の底で生れて一段ごとに美しい浮世へ近寄るためには二十七年かかった。二十七年の歴史を過去の
節穴
(
ふしあな
)
から
覗
(
のぞ
)
いて見ると、遠くなればなるほど暗い。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「曲者の姿は確かにこの眼で見た。火を附けるところを
節穴
(
ふしあな
)
から覗いたんだから、間違ひのある筈はない」
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
事実
(
じじつ
)
、よくよく目をあらためてみるとそれは星に
似
(
に
)
て星の光ではなく、屋根うらの
隙間
(
すきま
)
や
節穴
(
ふしあな
)
が、あかるい空の
光線
(
こうせん
)
をすかして、星のように見えたのであった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
南屋
(
みなみや
)
の
普請
(
ふしん
)
に
懸
(
かゝ
)
つて
居
(
ゐ
)
るので、ちやうど
與吉
(
よきち
)
の
小屋
(
こや
)
と
往來
(
わうらい
)
を
隔
(
へだ
)
てた
眞向
(
まむか
)
うに、
小
(
ちひ
)
さな
普請小屋
(
ふしんごや
)
が、
眞新
(
まあたらし
)
い、
節穴
(
ふしあな
)
だらけな、
薄板
(
うすいた
)
で
建
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る、
三方
(
さんぱう
)
が
圍
(
かこ
)
つたばかり、
編
(
あ
)
むで
繋
(
つな
)
いだ
繩
(
なは
)
も
見
(
み
)
え
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
節穴
(
ふしあな
)
の多い天井だなあ。暇にまかせて数えてやるか。七ツ八ツ九ツ十」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
まなこはあッても
節穴
(
ふしあな
)
同然
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
低い
天井
(
てんじょう
)
の白茶けた板の、二た所まで
節穴
(
ふしあな
)
の
歴然
(
れっき
)
と見える上、
雨漏
(
あまもり
)
の
染
(
し
)
みを
侵
(
おか
)
して、ここかしこと
蜘蛛
(
くも
)
の
囲
(
い
)
を
欺
(
あざむ
)
く
煤
(
すす
)
がかたまって黒く釣りを
懸
(
か
)
けている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
斯
(
こ
)
うした油断のならぬ
節穴
(
ふしあな
)
があったことさえ、夢にも知らない事であったのに、その上、誰が持ち込んだものか、望遠鏡やら、活動写真の撮影機やら、吹矢やら
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
十手を
箸
(
はし
)
のように持って、この年まで目明しの飯を食ってきた自分でさえ、あの下屋敷の塀の
節穴
(
ふしあな
)
さえ
覗
(
のぞ
)
けずにいたものをと、少し片腹痛い気がしないでもない。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「へェ、何んにもありませんね、
節穴
(
ふしあな
)
は一つも無いし——血は
飛沫
(
しぶ
)
いて居るが」
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
小野さんは重い足を引き
擦
(
ず
)
ってまた部屋のなかへ
這入
(
はい
)
って来た。坐らずに机の前に立っている。過去の
節穴
(
ふしあな
)
がすうと
開
(
あ
)
いて昔の歴史が細長く遠くに見える。暗い。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そッと
裏
(
うら
)
へまわってみたり、
羽目板
(
はめいた
)
に耳をつけてみたり、
窓
(
まど
)
の
節穴
(
ふしあな
)
からのぞいたりしてみると、天なるかな
命
(
めい
)
なるかな、
寝
(
ね
)
ているどころか、ふだんより大きな声をだして
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それが終ると、彼はかねて探って置いた、由蔵の秘密の
娯
(
たの
)
しみ場所たる、女湯の天井の仕掛のある
節穴
(
ふしあな
)
の処へ来て、由蔵が設置した望遠鏡の代りに、持って来た撮影機を据えつけた。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼等のあるものは、
石油缶
(
せきゆくわん
)
の
底
(
そこ
)
を
継
(
つ
)
ぎ
合
(
あ
)
はせた四角な
鱗
(
うろこ
)
で蔽はれてゐる。彼等の一つを借りて、
夜中
(
よなか
)
に
柱
(
はしら
)
の割れる
音
(
おと
)
で
眼
(
め
)
を
醒
(
さ
)
まさないものは
一人
(
ひとり
)
もない。彼等の戸には必ず
節穴
(
ふしあな
)
がある。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
敬二はハアハア息をはずませながら、それを塀の
節穴
(
ふしあな
)
から認めたのである。
○○獣
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
節
常用漢字
小4
部首:⽵
13画
穴
常用漢字
小6
部首:⽳
5画
“節”で始まる語句
節
節々
節句
節会
節奏
節季
節廻
節供
節操
節約