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真面目
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まじめ
ふりがな文庫
“
真面目
(
まじめ
)” の例文
旧字:
眞面目
「オムレツかね!」と今まで黙って半分眠りかけていた、
真紅
(
まっか
)
な顔をしている松木、坐中で一番年の若そうな紳士が
真面目
(
まじめ
)
で言った。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「へえ、
左様
(
そん
)
なもんですかな」と
門野
(
かどの
)
は稍
真面目
(
まじめ
)
な顔をした。代助はそれぎり
黙
(
だま
)
つて仕舞つた。
門野
(
かどの
)
は是より以上通じない男である。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
甲高いよく
透
(
とお
)
る声で早口にものをいい、かならず人先に発言し、
真面目
(
まじめ
)
な話にも
洒落
(
しゃれ
)
や地口をまぜ、
嘲弄
(
ちょうろう
)
するような言いかたをする。
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
然
(
しか
)
るにイタズラ小僧の茶目の二葉亭は高谷塾に入塾すると不思議に
俄
(
にわか
)
に打って変った謹直家となって
真面目
(
まじめ
)
に勉強するようになった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
女は物も云わず、
修行
(
しゅぎょう
)
を積んだものか泣きもせず、ジロリと男を見たるばかり、怒った様子にもあらず、ただ
真面目
(
まじめ
)
になりたるのみ。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
真面目
(
まじめ
)
な穏かなほとんど宗教的な感情をもつまでに達していない時には、そういう醜い女は、彼にとっては存在しないも同じだった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
見たりしてあたし今に堅気のお嫁さんになり
度
(
た
)
くなったの。でも、こんなことしていて、
真面目
(
まじめ
)
なお嫁さんになれるか知ら——それが
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「叔父の手前何と云ッて出たものだろう?」と改めて首を
捻
(
ひね
)
ッて見たが、もウ何となく馬鹿気ていて、
真面目
(
まじめ
)
になって考えられない。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
その男も、
真面目
(
まじめ
)
な
初心
(
うぶ
)
な男でしたから、僕が貴女に選まれたのと、同じような意味で、貴女に選まれたのではないかと思うのです。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
予の欧洲に赴いた目的は、日本の空気から遊離して、気楽に、
且
(
か
)
つ
真面目
(
まじめ
)
に、
暫
(
しば
)
らくでも文明人の生活に
親
(
したし
)
むことの外に何もなかつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
私とお前とは、其処からすこし離して、白墨で線を描いて、ネットを張って、それからラケットを握って、
真面目
(
まじめ
)
くさって向い合った。
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
お前も見る通り、先生はこんなお
爺
(
じ
)
いさんだ。もう今に七十に間もないお方だ。それにお前の見る通りの
真面目
(
まじめ
)
なお方だ。どうだろう。
花子
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それと僕の心持などは、
較
(
くら
)
べてゐるやうなことは無論思ひはしないんだが、
真面目
(
まじめ
)
に考へたところで、何うしたらばいゝんだらう。
椎の若葉
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
然し此の
数年来
(
すうねんらい
)
賭博風
(
とばくかぜ
)
は吹き過ぎて、遊人と云う者も東京に往ったり、
比較的
(
ひかくてき
)
堅気
(
かたぎ
)
になったりして、今は村民一同
真面目
(
まじめ
)
に稼いで居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
辞して帰る時、N氏は明日こそ本当に描くぞと奥さんに
真面目
(
まじめ
)
な顔をしていっていた。奥さんはにっこり笑って
頷
(
うなず
)
いているだけだった。
九谷焼
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
(ワーニャに)そらまた君は、例の皮肉な目で僕を見ているね。僕の言うことは残らずみんな、君には
真面目
(
まじめ
)
に受けとれないんだ。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
しかし、いったん
己
(
おのれ
)
の位置の悲劇性を悟ったが最後、
金輪際
(
こんりんざい
)
、正しく美しい生活を
真面目
(
まじめ
)
に続けていくことができないに違いない。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
N専門学校の校長様で、
真面目
(
まじめ
)
すぎるのが、かえってたった一つの欠点に見えるくらいの、立派な厳格な先生様でございました。
幽霊妻
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
真面目
(
まじめ
)
な顔で小母さんは造花を咲かせ続けた。紫の花。
褪紅色
(
たいこうしょく
)
の蕾。緑の葉。
緋
(
ひ
)
の花。——クレエム・ペエパァの安っぽい造花であった。
街底の熔鉱炉
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
田代君は存外
真面目
(
まじめ
)
な表情を浮べながら、ちょいとその麻利耶観音を
卓子
(
テーブル
)
の上から取り上げたが、すぐにまた元の位置に戻して
黒衣聖母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この画は、私でなければ、わからないのだと思いました。
真面目
(
まじめ
)
に申し上げているのですから、お笑いになっては、いけません。
きりぎりす
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
けれどこの男は、至極
真面目
(
まじめ
)
なむっつり屋なのだ。郵便局長は背丈のちんちくりんな男だが、しかし頓智があって、なかなかの哲学者だ。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
彼はそう言って、自身の生活環境と心持を
真面目
(
まじめ
)
に説明した。記者は時代の青年らしい感想など、無遠慮に吐いて、やがて帰って行った。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
なぜなら、夫人の品のよい端麗な顔は、そう云う風に
真面目
(
まじめ
)
に打ち沈んでいる時が、最も美しく、
気高
(
けだか
)
く感ぜられるからである。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
病人はその
後
(
のち
)
一
言
(
こと
)
もものを言わない。もう口の
周囲
(
まわり
)
に見えていた
微笑
(
ほほえ
)
みの影も消えた。今は
真面目
(
まじめ
)
な、陰気な顔をして
空
(
くう
)
を見詰めている。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
といい、
真面目
(
まじめ
)
になって
猿嘉
(
さるか
)
という命名書を与えた。
爾来
(
じらい
)
この若者はこの姓を用いしのみならず、その子孫は今なお
猿嘉
(
さるか
)
氏を称している。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
わたしたちは明け放した障子の敷居のところに
胡坐
(
あぐら
)
をかいて、いろいろな世間話をしましたが、突然紳士は
真面目
(
まじめ
)
な顔をして
メデューサの首
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
真面目
(
まじめ
)
な
会話
(
はなし
)
をしている時に、子供心にも、
狐
(
きつね
)
につままれたのではないかと、ふと、
老媼
(
おばあ
)
さんを
呆
(
あき
)
れて見詰めることがあった。
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「この上申分無しだと、どこまで酔うか分らない。そうしたら江戸まで今日中には帰られまい」と若殿は未だ
真面目
(
まじめ
)
であった。
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
与吉の
真面目
(
まじめ
)
なのに
釣込
(
つりこ
)
まれて、笑うことの出来なかったお品は、
到頭
(
とうとう
)
骨のある豆腐の注文を笑わずに聞き済ました、そして
真顔
(
まがお
)
で
尋
(
たず
)
ねた。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
老人
(
としより
)
はにやにや笑って答えないが、若者の一人が
真面目
(
まじめ
)
くさって考えこみ、多少ためらった末に「そりゃ、ごっつぉうの方がええ」と答え
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
当時はただ一場の癡話として夢のごとき記憶に残ったのであるけれど、二十年後の今日それを極めて
真面目
(
まじめ
)
に思い出したのはいかなる訳か。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
よろず喧嘩買い入れ申し候、は実にふざけ切っているようで、これが決してふざけているのではない、
正真正銘
(
しょうしんしょうめい
)
の
真面目
(
まじめ
)
な
稼業
(
かぎょう
)
なので——。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
私の方が
呆気
(
あっけ
)
に
奪
(
と
)
られるくらい、
真面目
(
まじめ
)
な顔付きです。真面目というよりも、
土気
(
つちけ
)
色のオドオドした顔といった方がいいのかも知れません。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
こう言って、正太は
激昂
(
げっこう
)
した眼付をした。彼は、
真面目
(
まじめ
)
でいるのか、不真面目でいるのか、自分ながら解らないように思った。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それが
稀々
(
まれまれ
)
にはこういう事実も伝えられて、いよいよ
真面目
(
まじめ
)
なる女たちの、日ごろのたしなみの内に
算
(
かぞ
)
えられていたのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
この一首は、前にあった旅人の歌同様、線の太い、直線的な歌いぶりであるが、感慨が
浮調子
(
うわちょうし
)
でなく
真面目
(
まじめ
)
な歌いぶりである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
といってお母さんはちょっと
真面目
(
まじめ
)
な顔をなさったが、すぐそのあとからにこにこして僕の寝間着を着かえさせて下さった。
碁石を呑んだ八っちゃん
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
しかるに帆村荘六だけは、たいへんに
真面目
(
まじめ
)
に、その話を聞いてくれ、そしてそれは貴重な資料だとほめてくれるのである。
宇宙戦隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
早朝から人を叩き起して不思議な事を聞く男ですが、その真剣な顔を見ると、怒ることもならず
真面目
(
まじめ
)
に挨拶させられます。
死の予告
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
が、やがて、指の先で、自分の皿の底からパンのかけらを
抓
(
つま
)
み上げ、
真面目
(
まじめ
)
に、無愛想に、そいつをルピック夫人めがけて
抛
(
ほう
)
ったものである。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
少し
真面目
(
まじめ
)
な話しになろうとすると、後はそういってそらしてしまった。そういうわけで私もしばらくお宮に会わずにいた。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
恵林寺
(
えりんじ
)
の僧堂では、若い雲水たちが集って雑談に
耽
(
ふけ
)
っておりました。彼等とても、
真面目
(
まじめ
)
な経文や禅学の話ばかりはしていないのであります。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その上に、彼は
白無垢
(
しろむく
)
の布を肩から
吊
(
つ
)
って、胸にうやうやしく白木の
祠
(
ほこら
)
をかかえていた。唐突なほど
真面目
(
まじめ
)
くさっていた。鎮守の
小祠
(
しょうし
)
である。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
これを笑ふけれど、遊佐の如きは
真面目
(
まじめ
)
で孝経を読んでゐるのだよ、既に借りてさ、
天引四割
(
てんびきしわり
)
と
吃
(
く
)
つて一月
隔
(
おき
)
に血を
吮
(
すは
)
れる。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
真面目
(
まじめ
)
な顔になっている。美しい
瓜実顔
(
うりざねがお
)
が正面になって、かすかな社燈の光に浮き出たとき、マンは、あッと、思いだした。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「なるほど。としてもだな、ジャップ」とルグランは、その場合としては不必要なほどちょっと
真面目
(
まじめ
)
すぎると思われるような調子で、答えた。
黄金虫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
と
痩
(
や
)
せた蒼白い顔をことさら
真面目
(
まじめ
)
にして
誡
(
いまし
)
めた。なぜということはなしに私は町っ子と遊んではいけないものだと思っているほど幼なかった。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
正直な愚者周利槃特は、
真面目
(
まじめ
)
にこの一句を唱えつつ考えました。多くの坊さんたちの
鞋履
(
はきもの
)
を掃除しつつ、彼は懸命にこの一句を思索しました。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
本当に
調
(
こしら
)
へてくれるかえと
真面目
(
まじめ
)
だつて言へば、それは調らへて上げられるやうならお
目出度
(
めでたい
)
のだもの喜んで調らへるがね、
私
(
わたし
)
が姿を見ておくれ
わかれ道
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
真
常用漢字
小3
部首:⽬
10画
面
常用漢字
小3
部首:⾯
9画
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
“真面目”で始まる語句
真面目顔