白馬はくば)” の例文
「見よ、見よ。凶雲きょううんぼっして、明星みょうじょう出づ。白馬はくばけて、黄塵こうじんめっす。——ここ数年を出でないうちじゃろう。青年よ、はや行け。おさらば」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
安子穴やすこあなというのがあった。白狗はくぐ白馬はくばとの天正時代の伝説がある。のち、おやすという女人が零落れいらくしてここに玉のような童子を育てた。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
「ここが有名な白馬はくばたけのお花畑でございます、まあ、この美しいとも何とも言いようのない花の色をごらんなさい」
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
またともゆめむ。たび蒋侯神しやうこうじん白銀しろがね甲胄かつちうし、ゆきごと白馬はくばまたがり、白羽しらはひてしたしみづからまくらくだる。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「よろしい、しゆう。」と将軍は、例の白馬はくばに一鞭くれて、一気に坂をかけあがる。大工はあとでぶつぶつ云つた。
北守将軍と三人兄弟の医者 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
だが、自分がここにしるそうとするのは、権兵衛さんの面影おもかげではなく、同じくその往来の出来事でながく心に残って忘れられない白馬はくばに乗った人の事なのである。
大人の眼と子供の眼 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
王女ご自身は、雪とみまがうような白馬はくばに、ダイヤモンドとルビイのかざりをつけてのっていました。
ながめると闇黒あんこくなる右舷うげん左舷さげん海上かいじやう尋常たゞならずなみあらく、白馬はくばごと立浪たつなみをどるのもえる。
何時か、秋の白馬はくばへ登つた時、案内の人夫が教へてくれた山の木の実である。なつめと無花果いちぢくとをいつしよにしたやうな、ちよつと舌を刺す不思議な味のものだといふことを覚えてゐる。
落葉日記 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
そうおもながら、不図ふとむかうの野原のはらながめますと、一とう白馬はくばむれれをはなれて、ぶがごとくに私達わたくしたちほうってまいりました。それはいうまでもなく、わたくしなつかかしい、愛馬あいばでございました。
最近日仏交換展覧会の用事をすませて仏蘭西から帰つて来た久米桂一郎氏が、まだ若盛りで白馬はくば会の仲間達と一緒にはしやぎまはつてゐた頃こんなことがあつた。それも宴会での出来事だつた。
彼女かのじょはおじょうさまのそばで、そのおとにききとれていると、まえ広々ひろびろとしたうみひらけ、緑色みどりいろなみがうねり、白馬はくばは、しまそらをめがけてんでいる、なごやかな景色けしきかんでえたのであります。
谷にうたう女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それが白馬はくばになつて飛ばうとする。
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
一 白馬はくばの姫君
ラマ塔の秘密 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
帝堯ていげう白馬はくば
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
幡旗はんきに埋められて行く車蓋しゃがい白馬はくば金鞍きんあんの親衛隊、数千兵のほこの光など、威風は道をはらい、その美しさは眼もくらむばかりだった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
するどいをして、ひげが二いろまつ白な、せなかのまがつた大将が、尻尾しつぽはうきのかたちになつて、うしろにぴんとのびてゐる白馬はくばに乗つて先頭に立ち、大きな剣を空にあげ、声高々と歌つてゐる。
北守将軍と三人兄弟の医者 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
ほのぼのと白馬はくば曳かれて濁り川濁れる水に口つけに来ぬ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「む。同門の友がそう朝廷の禁軍に臨み、白馬はくば金鞍きんあんを並べるなどの日がもしあったら、そいつあ、どんなに愉快だろうな」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
物おもふ白馬はくばのあかり。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
わーッと、いう声におくられて、正面の城戸を走りだした白馬はくば草薙くさなぎと、天下無類てんかむるい早足はやあし持主もちぬし、もう、御岳の広前ひろまえからッさかさまに、その姿すがたを見えなくしてしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白馬はくばに抱く火の被衣かつぎ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
じょうあまりな白木しらきの十字架は、八人の手下にゆらゆらとささえられ、すぐそばに呂宋兵衛るそんべえが、南蛮錦なんばんにしき陣羽織じんばおりに身をつつみ、白馬はくばにまたがり、十二鉄騎てっきにまもられながら、妖々ようよう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
や、白馬はくばだ。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
すなわちあれが能登のとの半島、また、うしろに見える山々は、白馬はくば戸隠とがくし妙高みょうこう赤倉あかくら、そして、武田家たけだけしのぎをけずった謙信けんしんの居城春日山かすがやまも、ここよりほど遠からぬ北にあたっておる
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、三男の祝彪しゅくひょうが、これも縷金荷葉るきんかようのうすがねのかぶとに、紅梅縅こうばいおどしのクサリよろいを着し、白馬はくば紅纓こうえいの上にまたがって、三叉さんさの大鎗も派手派手しく、部下百人の先頭に立って城門の外へ出てきた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「……や。林師範だぞ」「豹子頭ひょうしとうか」と、小声をかわしていたと思うと、たちまち、どどどっと階段を降りて、高御曹司を、白馬はくば金鞍きんあんの上にほうじ、まるで落花を捲いたほこりのように逃げ去った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白馬はくばとは、河北かほく河南かなんの国境にあたる平野をいう。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白馬はくば
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)