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白鞘
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しらさや
ふりがな文庫
“
白鞘
(
しらさや
)” の例文
見ると、なる程、胸の辺の藁がズタズタに斬りきざまれて、そこに小型の
白鞘
(
しらさや
)
の短刀が、心臓をえぐった形で、突き立ててあった。
鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
『——下の
抽斗
(
ひきだし
)
じゃ。この正月、
山浦真雄
(
やまうらさねお
)
が
鍛
(
う
)
ち上げて来た一腰があるじゃろう。二尺六寸ほどな物で、新しい
木綿
(
もめん
)
に巻き、まだ
白鞘
(
しらさや
)
の儘で』
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この刀は
白鞘
(
しらさや
)
の刀ではありません。それは神尾が差しても竜之助が差しても恥かしからぬほどの拵えのある刀でありました。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
納屋
(
なや
)
の方でようやく返事がする。足音が
襖
(
ふすま
)
の
向
(
むこう
)
でとまって、からりと、
開
(
あ
)
くが早いか、
白鞘
(
しらさや
)
の
短刀
(
たんとう
)
が畳の上へ
転
(
ころ
)
がり出す。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
清兵衛は平五の頼みを承知し、さっそく心当りを捜してみようと云い、それからふと思いついたようすで、脇に置いてあった
白鞘
(
しらさや
)
の短刀を示した。
末っ子
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
そして甥が行李の底に
収
(
しま
)
っていた
白鞘
(
しらさや
)
の短刀を捜したが、それは見つからなくて、代りに笹村が大切に保存していたある人の手蹟を
留
(
とど
)
めた
唐扇
(
とうせん
)
などが出て来た。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
やっとの思いで夜が
更
(
ふ
)
けて来て、お台所の時計が十二時を打つのをチャンと数えてから、ソーッと押入を出て行って、叔父の
蒲団
(
ふとん
)
の下に隠して在った
白鞘
(
しらさや
)
の刀を
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ひゅうひゅうと云うのは、切られた気管の
疵口
(
きずぐち
)
から呼吸をする音であった。お蝶の
傍
(
そば
)
には、佐野さんが自分の
頸
(
くび
)
を深く
剜
(
えぐ
)
った、
白鞘
(
しらさや
)
の短刀の
柄
(
つか
)
を握って死んでいた。
心中
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「親分は目が高いね、匕首の
白鞘
(
しらさや
)
ですね。薪の中に半分燒け殘つて居るのを見付けて來ましたが」
銭形平次捕物控:257 凧糸の謎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
時に
立窘
(
たちすく
)
みつゝ、
白鞘
(
しらさや
)
に思はず手を掛けて、以ての
外
(
ほか
)
かな、
怪異
(
けい
)
なるものどもの
挙動
(
ふるまい
)
を
屹
(
き
)
と
視
(
み
)
た夫人が、忘れたやうに、
柄
(
つか
)
をしなやかに袖に
捲
(
ま
)
いて、するりと帯に落して
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
山吹社中が奔走尽力の結果、四大人の遺族から贈られたという御霊代は得がたい遺品ばかりである。松坂の本居家からは銅製の鈴。浜松の賀茂家からは四寸九分無銘
白鞘
(
しらさや
)
の短刀。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
布団
(
ふとん
)
がまくれて、
仰臥
(
ぎょうが
)
した初代の胸が真赤に染まり、そこに小さな
白鞘
(
しらさや
)
の短刀が
突立
(
つきた
)
ったままになっていた。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
羅門のこう言ったことばの下に、刑吏は
白鞘
(
しらさや
)
の大刀を抜いて、桶の水を、刃渡りへ、さらさらとながした。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは
白鞘
(
しらさや
)
の九寸五分で、近くの路上に落ちていたという鞘には、乾いた土がこびり着いていた。中身は血のりがついたままなので、むろん鞘におさめてはなかった。
しじみ河岸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
刀は幾本も幾本もあって、
白鞘
(
しらさや
)
のものや
拵
(
こしら
)
えのついたものが、竜之助の左の側に積み重ねるようにしてあるのを、右へ取っては拭いをかけて置き換えているようです。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
時
(
とき
)
に
立窘
(
たちすく
)
みつゝ、
白鞘
(
しらさや
)
に
思
(
おも
)
はず
手
(
て
)
を
掛
(
か
)
けて、
以
(
もつ
)
ての
外
(
ほか
)
かな、
怪異
(
けい
)
なるものどもの
擧動
(
ふるまひ
)
を
屹
(
き
)
と
視
(
み
)
た
夫人
(
ふじん
)
が、
忘
(
わす
)
れたやうに、
柄
(
つか
)
をしなやかに
袖
(
そで
)
に
捲
(
ま
)
いて、するりと
帶
(
おび
)
に
落
(
おと
)
して
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
閃
(
ひらめ
)
くは
稲妻
(
いなずま
)
か、
二折
(
ふたお
)
れ
三折
(
みお
)
れ胸のあたりを、するりと走るや
否
(
いな
)
や、かちりと音がして、閃めきはすぐ消えた。女の左り手には九
寸
(
すん
)
五
分
(
ぶ
)
の
白鞘
(
しらさや
)
がある。姿はたちまち障子の影に隠れた。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そんなことを半分ひとりごとのようにしながら、
白鞘
(
しらさや
)
をぬいて見せました。
力餅
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
右の
丸柱
(
まるばしら
)
から
駈
(
か
)
けよってきたのは、
白衣
(
びゃくえ
)
に
白鞘
(
しらさや
)
の刀をさしたひとりの
六部
(
ろくぶ
)
、左からぬッと立ったのは
墨
(
すみ
)
の
法衣
(
ほうい
)
をまとって、色しろく、クリクリとした
若僧
(
わかそう
)
である。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
恁
(
こ
)
う
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しく
言出
(
いいだ
)
すと、
仇
(
かたき
)
の
髑髏
(
しゃれこうべ
)
か、毒薬の
瓶
(
びん
)
か、と驚かれよう、
真個
(
まったく
)
の事を言ひませう、さしたる儀でない、
紫
(
むらさき
)
の
切
(
きれ
)
を掛けたなりで、一
尺
(
しゃく
)
三
寸
(
ずん
)
、
一口
(
ひとふり
)
の
白鞘
(
しらさや
)
ものの刀がある。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
といって不意に立ってお銀様が持ち出したのは、例の床の間の
白鞘
(
しらさや
)
の一刀です。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
なかに、目立つはひとりの将、
漆黒
(
しっこく
)
の馬にまたがって身には
鎧
(
よろい
)
をまとわず、頭に
兜
(
かぶと
)
をかぶらず、白の
小袖
(
こそで
)
に、
白鞘
(
しらさや
)
の一刀を
帯
(
お
)
びたまま、
鞭
(
むち
)
を
裾野
(
すその
)
にさして、いそぎにいそぐ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
恁
(
か
)
う
仰々
(
ぎやう/\
)
しく
言出
(
いひだ
)
すと、
仇
(
かたき
)
の
髑髏
(
しやれかうべ
)
か、
毒藥
(
どくやく
)
の
瓶
(
びん
)
か、と
驚
(
おどろ
)
かれよう、
眞個
(
まつたく
)
の
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ひませう、さしたる
儀
(
ぎ
)
でない、
紫
(
むらさき
)
の
切
(
きれ
)
を
掛
(
か
)
けたなりで、一
尺
(
しやく
)
三
寸
(
ずん
)
、
一口
(
ひとふり
)
の
白鞘
(
しらさや
)
ものの
刀
(
かたな
)
がある。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それから神尾が袋を払って、その
白鞘
(
しらさや
)
の刀に手をかけて
鄭重
(
ていちょう
)
に抜いて見ました。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
竜之助は拭った刀を壁へ立てかけて、別に例の
白鞘
(
しらさや
)
の一刀を取り出しました。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
夕食後、銀左衛門の部屋から「丈之助、ちょっと来い」とよばれたので、彼が入ってゆくと、三宝の上に、少し刃を見せた
白鞘
(
しらさや
)
の短刀が載せてある。その向うに銀左衛門が四角な膝をして坐っていた。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
徐大盡
(
じよだいじん
)
、
赫
(
かつ
)
と
成
(
な
)
り、
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
に、これも
自慢
(
じまん
)
の、
贋物
(
にせもの
)
らしい
白鞘
(
しらさや
)
を、うんと
拔
(
ぬ
)
いて、ふら/\と
突懸
(
つきかゝ
)
る、と、
畫師
(
ゑし
)
又
(
また
)
身
(
み
)
を
飜
(
ひるがへ
)
して、
畫
(
ゑ
)
の
中
(
なか
)
へ、ふいと
入
(
はひ
)
り、
柳
(
やなぎ
)
の
下
(
した
)
の
潛
(
くゞ
)
り
門
(
もん
)
から、
男振
(
をとこぶ
)
りの
佳
(
い
)
い
顏
(
かほ
)
を
出
(
だ
)
して
画の裡
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
やがて室内の四方へ眼を配った二人のうち南条は、能登守の机の
抽斗
(
ひきだし
)
から
白鞘
(
しらさや
)
の短刀一
口
(
ふり
)
を探し出しました。五十嵐は能登守が鎔鉱の試験用に使う三尺ばかりの鉄の棒を一本探し出しました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
主
(
あるじ
)
の柘植嘉兵衛は、袋巻の
白鞘
(
しらさや
)
を
提
(
ひっさ
)
げて、一緒に立ち上りながら
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蒲団の下へ
突込
(
つッこ
)
んで置いた、
白鞘
(
しらさや
)
の短刀が転がって出たですが。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とて、夫人は椅子なる袖に寄せた、
白鞘
(
しらさや
)
を軽く
圧
(
おさ
)
へながら
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
とて、
夫人
(
ふじん
)
は
椅子
(
いす
)
なる
袖
(
そで
)
に
寄
(
よ
)
せた、
白鞘
(
しらさや
)
を
輕
(
かる
)
く
壓
(
おさ
)
へながら
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
鞘
漢検準1級
部首:⾰
16画
“白鞘”で始まる語句
白鞘物