玄関げんくわん)” の例文
旧字:玄關
此方こなたには具足櫃ぐそくびつがあつたり、ゆみ鉄砲抔てつぱうなど立掛たてかけてあつて、ともいかめしき体裁ていさい何所どこたべさせるのか、お長家ながやら、う思ひまして玄関げんくわんかゝ
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
さういひながら、玄関げんくわんつゞきのちやへはひると、青木さんはかみにくるんだ額面がくめん十円の△△債劵さいけん背広せびろの内がくしから、如何いかにも大さうにとり出した。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
代助はうんと云つて、入口いりぐちに返事をつてゐた門野かどのを追ひはらふ様に、自分でつてつて、椽側へくびした。三千代は椽側と玄関げんくわん継目つぎめの所に、此方こちらいてためらつてた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たい医者殿いしやどののつけやうがなくつて、おとろへをいひてに一にちばしにしたのぢやが三つと、あにのこして、克明こくめい父親てゝおや股引もゝひきひざでずつて、あとさがりに玄関げんくわんから土間どま
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
玄関げんくわん式台しきだいへ戸板に載せてかつぎ込まれたのは、薩州の陣所へ入浸いりびたつて半年も帰つて来ぬ朗然和上が、法衣を着た儘三条の大橋おほはし会津方あひづがたの浪士に一刀眉間を遣られた負傷ておひの姿であつた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
あれが ミルチス・マヂョル市庁しちよう玄関げんくわんです
するとつゞいてお姫様ひめさま玄関げんくわんまで追掛おつかけまゐられて、円朝わたくし喚留よびとめたがうもりゝ々しくツて、なんとなく身体からだちゞあがり、わたくししばられでもするかと思ひました。姫
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
さうこたへて玄関げんくわんにあがると、機嫌きげんのいいときにするいつものくせで、青木さんは小がらおくさんのからだかるせながら、そのくちびるにみじかせつぷんをあたへた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
起上おきあがつて玄関げんくわんはうはしつて出ようとすると
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
御徒士町辺おかちまちあたりとほつて見るとお玄関げんくわんところ毛氈もうせん敷詰しきつめ、お土蔵くらから取出とりだした色々いろ/\のお手道具てだうぐなぞをならべ、御家人ごけにんやお旗下衆はたもとしゆう道具商だうぐやをいたすとふので
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
どういふわけ梅廼屋うめのや塔婆たふばげたか、不審ふしんに思ひながら、矢立やたて紙入かみいれ鼻紙はながみ取出とりだして、戒名かいみやう俗名ぞくみやうみなうつしましたが、年号月日ねんがうぐわつぴ判然はつきりわかりませぬから、てら玄関げんくわんかゝつて
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
うむ、ぢやアつてるよ。これから衣服きもの着換きかへて、おくのお医者いしやもとへやつてまゐり、玄関げんくわんかゝつて、甚「おたのまうします。書生「どーれ、ヤ、これはお入来いでなさい。甚「エヽ先生は御退屈ごたいくつですか。 ...
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
それからすぐ本所ほんじよを出て吾妻橋あづまばしを渡つて、森下もりしたつてさがすと、いまの八軒寺町けんでらまち曹洞宗さうどうしう東陽寺とうやうじといふてらがあつた。門の所で車からりてズツと這入はいると、玄関げんくわん襖紙からかみまるに十のしるしいてゐる。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)