トップ
>
無骨
>
ぶこつ
ふりがな文庫
“
無骨
(
ぶこつ
)” の例文
大佐は
冷
(
ひやゝ
)
かに
片頬
(
かたほ
)
に笑みつ「はア、閣下、山木には
無骨
(
ぶこつ
)
な軍人などは駄目ださうです、既に三国一の
恋婿
(
こひむこ
)
が
内定
(
きま
)
つて居るんださうですから」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
そうして、ほどなく、見た所から
無骨
(
ぶこつ
)
らしい伝右衛門を伴なって、
不相変
(
あいかわらず
)
の微笑をたたえながら、
得々
(
とくとく
)
として帰って来た。
或日の大石内蔵助
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その
時分
(
じぶん
)
の
鎌倉
(
かまくら
)
は
武家
(
ぶけ
)
の
住居
(
やしき
)
の
建
(
た
)
ち
並
(
なら
)
んだ、
物静
(
ものしず
)
かな、そして
何
(
なに
)
やら
無骨
(
ぶこつ
)
な
市街
(
まち
)
で、
商家
(
しょうか
)
と
言
(
い
)
っても、
品物
(
しなもの
)
は
皆
(
みな
)
奥深
(
おくふか
)
く
仕舞
(
しま
)
い
込
(
こ
)
んでありました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
無論
(
むろん
)
千葉
(
ちば
)
さんの
方
(
はう
)
からさとあるに、おやあの
無骨
(
ぶこつ
)
さんがとて
笑
(
わら
)
ひ
出
(
だ
)
すに、
奧樣
(
おくさま
)
苦笑
(
にがわら
)
ひして
可憐
(
かわい
)
さうに
失敗
(
しくじり
)
の
昔
(
むか
)
し
話
(
ばな
)
しを
探
(
さぐ
)
り
出
(
だ
)
したのかと
仰
(
おつ
)
しやれば
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そして、
私
(
わたし
)
が、
一声
(
ひとこえ
)
かけさえすれば、あのおじいさんのような、
無骨
(
ぶこつ
)
な
枯
(
か
)
れ
木
(
き
)
までが
花
(
はな
)
を
咲
(
さ
)
くのですよ……。
風と木 からすときつね
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
一進一退、
裏
(
うら
)
むき
表
(
おもて
)
むき、立ったり
蹲
(
しゃが
)
んだり、黒紋付の袖からぬっと出た
逞
(
たく
)
ましい両の手を
合掌
(
がっしょう
)
したりほどいたり、真面目に踊って居る。
無骨
(
ぶこつ
)
で中々
愛嬌
(
あいきょう
)
がある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
彼処
(
かしこ
)
とこなたと、言い知らぬ、春の景色の繋がる中へ、
蕨
(
わらび
)
のような
親仁
(
おやじ
)
の手、
無骨
(
ぶこつ
)
な指で
指
(
ゆびさし
)
して
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
末子の
作之治
(
さくのじ
)
が、どうも生来
無骨
(
ぶこつ
)
で融通のきかないのを案じて、都人の風流にして優しい様子でも見せようと思い、彼をともなって一か月あまりを京都二条の出店に
逗留
(
とうりゅう
)
し
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
綾麻呂 (しんみりと)
儂
(
わし
)
は前からお前は本当に可哀想な奴だと思っていた。……幼いうちから、お母さんにも死別れて、儂のような
無骨
(
ぶこつ
)
な父親の手ひとつに育てられて来た。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
無骨
(
ぶこつ
)
一偏の者が
測
(
はか
)
らぬ時に
優
(
やさ
)
しき歌を
詠
(
うた
)
うとか、
石部金吉
(
いしべきんきち
)
と思われた者に
艶聞
(
えんぶん
)
があるとか、いずれも人生の表裏であるまいか。しかしこれあるは決して
矛盾
(
むじゅん
)
でない、あるこそ当然である。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
往来を仕切った
無骨
(
ぶこつ
)
な木柵もおもしろければ、家の前に刈り込まれた植木も(刈り込み方は技巧を凝らし過ぎてはいるけれども)おもしろく、後園に通じる木柵と
冠木門
(
かぶきもん
)
もしゃれたものであり
シェイクスピアの郷里
(新字新仮名)
/
野上豊一郎
(著)
隨分
無骨
(
ぶこつ
)
なる調子にて始はフト吹出すやうなれど嶮しき山坂峠をば上り下りに唄ふものなれば
濁
(
だみ
)
たる
節
(
ふし
)
も無理ならず其文句に至りては率直にして
深切
(
しんせつ
)
ありのまゝにして興あり始の歌木曾の山の
寒
(
さぶき
)
を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
午後には見知らない青年が一人、金の
工面
(
くめん
)
を頼みに来た。「僕は筋肉労働者ですが、C先生から先生に紹介状を
貰
(
もら
)
いましたから」青年は
無骨
(
ぶこつ
)
そうにこう云った。
子供の病気:一游亭に
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今日
(
けふ
)
は
用
(
よう
)
なしの
身
(
み
)
なればとて
兄
(
あに
)
は
終日
(
しゆうじつ
)
此處
(
こゝ
)
にありけり、
氷
(
こほり
)
を
取寄
(
とりよ
)
せて
雪子
(
ゆきこ
)
の
頭
(
つむり
)
を
冷
(
ひや
)
す
附添
(
つきそひ
)
の
女子
(
をなご
)
に
代
(
かは
)
りて、どれ
少
(
すこ
)
し
私
(
わし
)
がやつて
見
(
み
)
やうと
無骨
(
ぶこつ
)
らしく
手
(
て
)
を
出
(
いだ
)
すに、
恐
(
おそ
)
れ
入
(
いり
)
ます
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
たとえば
無骨
(
ぶこつ
)
一偏の人と思った者にして、案外にも美音を発して
追分
(
おいわけ
)
を
唄
(
うた
)
う、これも一つの表裏ではあるまいか。また
髯
(
ひげ
)
もやもやの
鹿爪
(
しかつめ
)
らしき
爺
(
おやじ
)
が娘の結婚の席上で舞を舞いて
祝
(
いわ
)
うことがある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
時によると又幅の広い肩を揺すつて、
嗄
(
しはが
)
れた笑ひ声を洩す事もあつた。それは
無骨
(
ぶこつ
)
なトルストイに比べると、上品な趣があると同時に、
何処
(
どこ
)
か女らしい答ぶりだつた。
山鴫
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
無骨
(
ぶこつ
)
一
遍
(
ぺん
)
律義
(
りつぎ
)
男
(
をとこ
)
の
身
(
み
)
を
忘
(
わす
)
れての
介抱
(
かいほう
)
人
(
ひと
)
の
目
(
め
)
にあやしく、しのびやかの
咡
(
さゝや
)
き
頓
(
やが
)
て
無沙汰
(
ぶさた
)
に
成
(
な
)
るぞかし、
隱
(
かく
)
れの
方
(
かた
)
の六
疊
(
でう
)
をば
人
(
ひと
)
奧樣
(
おくさま
)
の
癪
(
しやく
)
部屋
(
べや
)
と
名付
(
なづ
)
けて、
亂行
(
らんげう
)
あさましきやうに
取
(
とり
)
なせば
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
植村
(
うゑむら
)
さまも
好
(
よ
)
いお
方
(
かた
)
であつたものをとお
倉
(
くら
)
の
言
(
い
)
へば、
何
(
なに
)
があの
色
(
いろ
)
の
黒
(
くろ
)
い
無骨
(
ぶこつ
)
らしきお
方
(
かた
)
、
學問
(
がくもん
)
はえらからうとも
何
(
ど
)
うで
此方
(
うち
)
のお
孃
(
ぢやう
)
さまが
對
(
つゐ
)
にはならぬ、
根
(
ね
)
つから
私
(
わたし
)
は
褒
(
ほ
)
めませぬとお
三
(
さん
)
の
力
(
りき
)
めば
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
“無骨”の意味
《名詞》
礼儀や作法を知らないこと。無作法。
(context、dated)役立たず。
(context、dated)都合が悪いこと。
ごつごつしていること。武骨。
やぼなこと。
(出典:Wiktionary)
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
骨
常用漢字
小6
部首:⾻
10画
“無骨”で始まる語句
無骨者
無骨漢