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いきいき
ふりがな文庫
“
活々
(
いきいき
)” の例文
もっと
活々
(
いきいき
)
した美少年が、二枚折の蔭から半身を出して、桜子の寝姿を、いとも惚々と眺めて居るのだということが
判然
(
はっきり
)
わかりました。
新奇談クラブ:03 第三夜 お化け若衆
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一帯に熱帯風な日本の生活が、最も
活々
(
いきいき
)
として心持よく、決して他人種の生活に見られぬ特徴を示すのは夏の
夕
(
ゆうべ
)
だと自分は信じている。
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その顔色の可かったのも、元気よく
活々
(
いきいき
)
していたのだって、貴女、貴女の
傍
(
そば
)
に居る時の
他
(
ほか
)
に、そうした事を見た事はありますまい。
女客
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
昼の食事をとゝのへ、伊庭の飲み料にしてゐるサントリウィスキーを卓上に並べた頃、富岡が
活々
(
いきいき
)
した血色で風呂から上つて来た。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
この自分の心の中に、パッと白百合の花のように咲いているあの面影は、日に、月に、
活々
(
いきいき
)
と、瑞々と、匂いを増してきている。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
▼ もっと見る
同じ鶴岡には
竹塗
(
たけぬり
)
と呼ぶものがあって、材は
檜
(
ひのき
)
でありますが竹を模してあります。多少無理な仕事で
活々
(
いきいき
)
した
味
(
あじわ
)
いを欠く恨みがあります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
花瓶
(
かびん
)
の中の水は凍りつめているのに、買って
挿
(
さ
)
した南天の実は赤々と垂下って葉も青く水気を失わず、
活々
(
いきいき
)
と変るところが無い。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その火のぬくみに
全身
(
ぜんしん
)
の血が
活々
(
いきいき
)
とよみがえってくるのをおぼえて、かれは、この新しい力を、どこへそそごうかと
勇
(
いさ
)
みたった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なんかと、いやに調子づいたドン・モラガスが、舞台では見られない
活々
(
いきいき
)
さをもって独特の金切声を張り上げるのを聞いてみると、こうだ。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
今まで広場で調練の指図をしていたという能登守は、それがために血色が
活々
(
いきいき
)
として、汗ばんだところへ黒い髪の毛が乱れかかっていました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ともかくもあの頃の『ホトトギス』には何となしに
活々
(
いきいき
)
とした創成の喜びと云ったようなものが溢れこぼれていたような気がするのであるが
明治三十二年頃
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そういう貝十郎が見ているとも知らず、お品は何んとなく愁わしそうな様子で、暮れて行く空を仰いでいたが、にわかに
活々
(
いきいき
)
と眼を躍らせた。
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
おかっぱの娘の小さいぱっとした桃色と、絹子の黄がかった単衣姿とが逆光線を受け
活々
(
いきいき
)
した感じで佳一の目を捕えた。
ヴァリエテ
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
貞世の顔は今まで盛んな運動でもしていたように美しく
活々
(
いきいき
)
と
紅味
(
あかみ
)
がさして、ふさふさした髪の毛は少しもつれて汗ばんで額ぎわに粘りついていた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「ねえ、お姉さま。わたくしいつお姉さまのように
活々
(
いきいき
)
した女になって、恋が出来るのでしょうか」私は答えた。
健康三題
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
何故と云えば、それらを
活々
(
いきいき
)
と描写する事は、単なる一学究たる自分にとって、到底不可能な事だからである。
さまよえる猶太人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
たゞ、青山の葬場に集まった人
丈
(
だけ
)
は、
活々
(
いきいき
)
とした周囲の中に、しめっぽい静かな
陰翳
(
いんえい
)
を、投げているのだった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
活々
(
いきいき
)
とした
雑閙
(
ざっとう
)
と、華々しい灯の飾りの中にその姿を現はせば現はすほど、妻は自分の体から光りなり色彩なりを吸ひ取られて行くやうなのを確かに覚えた。
散歩
(新字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
お勢も今日は取分け気の晴れた
面相
(
かおつき
)
で、
宛然
(
さながら
)
籠
(
かご
)
を出た小鳥の如くに、言葉は勿論
歩風
(
あるきぶり
)
身体
(
からだ
)
のこなしにまで何処ともなく
活々
(
いきいき
)
としたところが有ッて
冴
(
さえ
)
が見える。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
舌打をしながらがぶりと
珈琲
(
コーヒー
)
を飲んで、
煙草
(
たばこ
)
に火を点けようとした時、卓上電話がジリジリと鳴りだした。——受話器を取ると、いきなり
活々
(
いきいき
)
した少女の声で
亡霊ホテル
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
平凡で簡単なこの言葉ほど、都会を知らぬ者の心に都会の美しい光景を
活々
(
いきいき
)
と描かす言葉はなかった。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
それよりも、私達は生きなけりやなりますまい。健全に、
活々
(
いきいき
)
した生命を養はなきやなりますまい。
計画
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
活々
(
いきいき
)
と紅かった頬の色は次第に蒼ざめ、平素の活溌さが失われて極端な無口になり、時々ションボリと机の前に坐って、溜息を洩しているのを見かけるようになった。
湖畔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
氏は前よりも血色がよく、
活々
(
いきいき
)
した顔をしていましたが、眼には失望の色を湛えていました。病人の待ちかねた眼付を見ると、氏はよけい気づかわしげになりました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
「
老齢
(
とし
)
には勝てない」としみじみ自分へ云いきかせ、諦めさせようとするのだが、眼の前の
活々
(
いきいき
)
としたおしもの体へ視線がいくと、不意に激しい妬心が頭をもたげてきて
女心拾遺
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
日は
没
(
い
)
りて東窓の部屋の
中
(
うち
)
やゝ暗く、
都
(
すべ
)
ての物薄墨色になって、暮残りたるお辰白き肌
浮出
(
うきいず
)
る如く、
活々
(
いきいき
)
とした姿、
朧
(
おぼろ
)
月夜に
真
(
まこと
)
の人を見る
様
(
よう
)
に、呼ばゞ答もなすべきありさま
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
父は自分の家が第二の桐畠になるのを恐れでもするように、
活々
(
いきいき
)
と
傍
(
そば
)
のものに話し掛けた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小松原で、
小児
(
こども
)
の時分遊んだ日の
光景
(
ありさま
)
などが
活々
(
いきいき
)
と現われて来て、つらい、今の身を慰めてくれる。それを楽しみに、今日も空を見ていたのであった。つい三十分前までは……。
悪魔
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
点火器
(
ライター
)
の
淡黄色
(
あわきいろ
)
い光に照し出された一つの顔は、たしかに松山虎夫の顔であるには相違なかったけれど、そこには
最早
(
もはや
)
あの
活々
(
いきいき
)
とした
朗
(
ほがら
)
かなスポーツ・マン松山の顔はなかった。
麻雀殺人事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ここへ来た当季は、あンまり景色がいいもんだから、何もかも忘れてしまひて、もとの
活々
(
いきいき
)
とした身躰に返つたやうだつたが、慣れて来るとまたいろんな事を考へ出していけない。
磯馴松
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
アア妾もまた不幸
落魄
(
らくはく
)
の身なり、不徳不義なる日本紳士の
中
(
うち
)
に立ち交らんよりは、知らぬ他郷こそ恋しけれといいけるに、彼は
忽
(
たちま
)
ち
活々
(
いきいき
)
しく、さらば自分と同行するの意はなきや
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
口もとは小さからねど締りたれば醜くからず、一つ一つに取たてては美人の
鑑
(
かがみ
)
に遠けれど、物いふ声の細く
清
(
すず
)
しき、人を見る目の愛敬あふれて、身のこなしの
活々
(
いきいき
)
したるは快き物なり
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
どうかすると妻の衰えた顔には
微
(
かす
)
かながら
活々
(
いきいき
)
とした
閃
(
ひらめ
)
きが現れ、弱々しい声のなかに一つの
弾
(
はず
)
みが含まれている。すると、彼は昔のあふれるばかりのものが蘇ってくるのを夢みるのだった。
美しき死の岸に
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
人の
活々
(
いきいき
)
した顔を、仮面ではあるまいかなどと疑うは余り馬鹿げて居る、勿論仮面ではない、血と肉と筋と皮とで天然に育った当り前の顔である、余とても必ずしも疑ったと云う程ではない
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
痩
(
や
)
せぎすであったけれども顔は丸い方で、透き徹るほど白い皮膚に
紅味
(
あかみ
)
をおんだ、誠に
光沢
(
つや
)
の好い児であった。いつでも
活々
(
いきいき
)
として元気がよく、その癖気は弱くて憎気の少しもない児であった。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
ははははは、無学の暴言かも知れないが、
一家言
(
いっかげん
)
として聞いてもいい、とにかくあいつは
活々
(
いきいき
)
した人間らしいな、この
杢之進
(
もくのしん
)
に較べてみても
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いわれぬ
懐
(
なつか
)
しい感情と共にこの
年月
(
としつき
)
の放浪の悲しみと喜びと、
凡
(
すべ
)
ての
活々
(
いきいき
)
した自由な感情は名残もなく消えてしまったような気がしました。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
これらはほとんどすべて純粋に支那のものであって、如何にこの国の手工藝がまだ
活々
(
いきいき
)
としているかを知ることが出来ます。
北支の民芸(放送講演)
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
踊りの輪は又
活々
(
いきいき
)
と廻り始めました。和服姿の千種十次郎はそぐわない心持で、マジマジとこの歓楽の渦を眺めて居ります。
踊る美人像
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
黒目勝
(
くろめがち
)
な、意味の深い、
活々
(
いきいき
)
とした
瞳
(
ひとみ
)
に映ると、何思ひけむ、紫ぐるみ、本に添へて、すらすらと持つて椅子に帰つた。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
時が経てば経つほど、あの
花弁
(
はなびら
)
のように開いた清い
口唇
(
くちびる
)
は
活々
(
いきいき
)
として記憶に上って来た。何処へ行って、何を為ても、それだけは忘れられなかった。
船
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
仏教もなるだけ、本来の持つところの
活々
(
いきいき
)
と輝かしいものを取り戻し、感覚にも快いものにしたいものです。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
何かを! 見よ、彼の眉がきりきりと
痙攣
(
ひきつ
)
った。そして固く引結んだ唇に
活々
(
いきいき
)
とした
微笑
(
ほほえみ
)
が
彫
(
きざ
)
まれて来た。
流血船西へ行く
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
血色
(
けっしょく
)
の鮮かな、眼にも
眉
(
まゆ
)
にも
活々
(
いきいき
)
した力の
溢
(
あふ
)
れている、年よりは
小柄
(
こがら
)
な
初子
(
はつこ
)
は、
俊助
(
しゅんすけ
)
の姿を見るが早いか、遠くから
靨
(
えくぼ
)
を寄せて、気軽くちょいと腰をかがめた。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
で、葉の色も花の色も、
活々
(
いきいき
)
と明るく健康に見えた、近くに泉水でもあるのであろう、
樋
(
とい
)
から水でも落ちてくるのであろう、トコトコという音が聞こえていた。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
活々
(
いきいき
)
と巧まない巧みにみちた話術ということからすれば、やっぱり、自然に、あらァ困った、私まるでだらしないのよ、と自分も笑いひとも笑いながらの品評が
女の歴史:そこにある判断と責任の姿
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ゆき子は書きものをしてゐるのは、そんな事だつたのかと、急に
活々
(
いきいき
)
として、ベッドから降りると
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
さっきここの玄関へ入ってきたときとは別人のような
活々
(
いきいき
)
としたものを顔中に漂わせながら今松は、浜松で一座と別れ、あと二、三日は宿屋でゴロッチャラしていたものの
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
眼窓
(
めまど
)
の外は元のままに灰色はしているが、
活々
(
いきいき
)
とした光が添い加わって、甲板の上を毎朝規則正しく散歩する白髪の米人とその娘との足音がこつこつ快活らしく聞こえていた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
娘は自分の家に使っている黄銅の
湯沸
(
ゆわかし
)
や、青い錆の出た昔の鏡や、その他、
総
(
すべ
)
て古くから伝わっていた器物以外に眼を
娯
(
たのし
)
ましたような、鮮かな緑、
活々
(
いきいき
)
とした紅、冴え冴えしい青
僧
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
活
常用漢字
小2
部首:⽔
9画
々
3画
“活”で始まる語句
活
活溌
活計
活動
活花
活人形
活物
活気
活字
活動写真