本家ほんけ)” の例文
一種抽象した概念をただちに実際として、即ち、この世にあり得るものとして、それを理想とさせた、即ち孔子を本家ほんけとして
教育と文芸 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それから、本家ほんけ附人つけびととして、彼がいんに持っている権柄けんぺいを憎んだ。最後に、彼の「家」を中心とする忠義を憎んだ。
忠義 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「はッは。たかが九州きゅうしゅう小大名こだいみょうのくせに、ばかなやつらだ。いったいおれをなんだとおもっているのだろう。子供こどもだって、りっぱな源氏げんじ本家ほんけの八なんじゃないか。」
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ものの、化身の如き、本家ほんけの婦人の手すさびとは事かわり、口すぎの為とは申せ、見真似のれ仕事。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
読経がすむと、かねて備えのお膳を大きな、ぶちぬきの部屋にずらりと並べ、本家ほんけ、かまどの順を正して座につき、酒盛りがはじまる。村の娘や小母さんが酌にまわる。
山の秋 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
その本家ほんけである支那しな朝鮮ちようせん佛像ぶつぞうにもまさるともおとらない、立派りつぱ彫刻ちようこく出來できたのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
正月に二人は本家ほんけに呼ばれて行ってみんながみかんをたべたとき楢夫がすばやく一つたべてしまっても一つを取ったので一郎はいけないといふやうにひどく目でしかったのでした
ひかりの素足 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
そこには妻君さいくんの喜代子と、二人の間にできたミツ子という赤ン坊との三人のほかに三人の雇人がいた。今日は本家ほんけの大旦那長造の誕生日であるから、店を頼んで、浅草へ出て来たのだった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
先方さき公立こうりつなりとておな唱歌しようか本家ほんけのやうなとほをしおる、去年こぞ一昨年おととし先方さきには大人おとな末社まつしやがつきて、まつりの趣向しゆこうれよりははなかせ、喧嘩けんくわ手出てだししのなりがたき仕組しくみもりき
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
分与ぶんよしたる田畑をば親族の名に書き換え、即ちこれに売り渡したるていに持てして、その実は再び本家ほんけゆうとなしたるなど、少しも油断なりがたく、彼の死後は殊更ことさら遺族の饑餓きがをもかえりみず
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
いちばんの本家ほんけは、船のメインマストになりました。その船は、世界じゅうを航海しようと思えば、航海できるくらい、りっぱな船なんですよ。ほかの枝も、それぞれ、別の地位につきました。
それとは反対に、本家ほんけの近くに小さな家を構えて、当分新夫婦をそこに置く風習、是は最近の都市生活にもやや行われているが、長崎市周囲の漁村などにもあるというから、新しい発明ではない。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
代助は月に一度いちどは必ず本家ほんけかねを貰ひに行く。代助はおやかねとも、あにの金ともつかぬものを使つかつて生きてゐる。つきに一度のほかにも、退屈になれば出掛けて行く。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
里見弴さとみとんさんが、まだ本家ほんけ有島ありしまさんになすつた、お知己ちかづきはじめころであつた。なにかの次手ついでに、此話このはなしをすると、にはいけにはいくらでもいてる。……そんなにきなら、ふんづかまへてげませう。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いとなむがうへれは本家ほんけとてもちひもおもかるべくわれとて信用しんよううすきならねど彼方かなた七分しちぶえきあるときこゝにはわづかに三分さんぶのみいへ繁榮はんえい長久ちやうきうさく松澤まつざはきにしかずつはむすめ容色きりやうすぐれたればこれとてもまたひとつの金庫かねぐら芳之助よしのすけとのえにしえなばとほちやうかど地面ぢめん持參ぢさんむこもなきにはあらじ一擧兩得いつきよりやうとくとはこれなんめりとおもこゝろ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
茶坊主に頭を下げる謙徳けんとくがあるならば、趣味の本家ほんけたる学者の考はなおさら傾聴せねばならぬ。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すこしお歩行あるきなさい、白鷺しらさぎは、白金しろかね本家ほんけしば)のにはへもますよ。」つい小岩こいはから市川いちかはあひだひだり水田すゐでんに、すら/\と三羽さんばしろつまつて、ゆきのうなじをほつそりとたゝずんでたではないか。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
代助の一家いつけは是丈の人数にんずから出来上できあがつてゐる。そのうちでそとてゐるものは、西洋に行つた姉と、近頃ちかごろ一戸を構へた代助ばかりだから、本家ほんけには大小合せて四人よつたり残る訳になる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
と迷亭先生は審美眼の本家ほんけのような事を云う。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)