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撲
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ぶ
ふりがな文庫
“
撲
(
ぶ
)” の例文
「第三がありますよ、——前の晩もう一人の妾お吉と、大喧嘩をしてゐますよ。
挘
(
むし
)
る、引つ掻く、
撲
(
ぶ
)
つ、蹴るの大騷ぎだつたさうで」
銭形平次捕物控:158 風呂場の秘密
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「知ってらあ! 知り過ぎてらあ! だから敲き壊してやるのさ。その、白狐だかなんだか、
撲
(
ぶ
)
っ
殺
(
ころ
)
してくれっから。糞垂稲荷め!」
或る部落の五つの話
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
それでもいい塩梅に頭を
撲
(
ぶ
)
たなかったんですけれど、左の足を少し
挫
(
くじ
)
いたようで、すぐにお医者にかかってゆうべから寝ているんです
半七捕物帳:16 津の国屋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
追かけて
撲
(
ぶ
)
ちのめそうか、と思ったが、やっと
堪
(
こら
)
えた。彼は此後仙さんを
憎
(
にく
)
んだ。其後一二度来たきり、此二三年は
頓斗
(
とんと
)
姿
(
すがた
)
を見せぬ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
夢心地
(
ゆめごこち
)
の
背
(
せ
)
をドンと
一
(
ひと
)
ツ
撲
(
ぶ
)
たれたやうに、そも/\
人口
(
じんこう
)
……
萬
(
まん
)
、
戸數
(
こすう
)
……
萬
(
まん
)
なる、
日本
(
につぽん
)
第二
(
だいに
)
の
大都
(
だいと
)
の
大木戸
(
おほきど
)
に、
色香
(
いろか
)
も
梅
(
うめ
)
の
梅田
(
うめだ
)
に
着
(
つ
)
く。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
と力を入れて新吉の手を逆に
把
(
と
)
って
捻
(
ねじ
)
り、
拳固
(
げんこ
)
を振り上げてコツ/\
撲
(
ぶ
)
ったから痛いの痛くないのって、眼から火の出るようでございます。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
兄はそう云うより早く、気違いのように母を
撲
(
ぶ
)
とうとした。が、その手がまだ振り下されない内に、洋一よりも大声に泣き出してしまった。——
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「こいつ。ひどいぞ。」と
矢
(
ヤア
)
さんは
撲
(
ぶ
)
つまねをするはずみにテーブルの
縁
(
ふち
)
にあったサイダアの
壜
(
びん
)
を倒す。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
浪路を、為にあずけて、
撲
(
ぶ
)
ってかかったが、振り上げたこぶしがとどかぬうち、手首を逆につかまれて
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
まさか
撲
(
ぶ
)
ちゃあしませんでしたけど、弟は
吃驚
(
びっくり
)
して気が違っちまったんです。五六年前ですよ。あの弟がここへ入院したのは。兄は月三度は
屹度
(
きっと
)
ここへやって来る。
春:――二つの連作――
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それでもつて
撲
(
ぶ
)
ち殺してある、
鉋
(
かんな
)
や
鑿
(
のみ
)
や鋸や、または
手斧
(
ておの
)
や
曲尺
(
まがりかね
)
や
凖
(
すみ
)
縄や、すべての
職業道具
(
しようばいどうぐ
)
受け出して、明日からでも立派に仕事場へ出て、一人の母にも安心させ
もつれ糸
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
さうした記憶がよみがへると、このたはけもの奴! と圭一郎は手をあげて子供を
撲
(
ぶ
)
ちはしたものの、悲鳴をあげる子供と一緒に自分も半分貰ひ泣いてゐるのであつた。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
『榮子なんか駄目だ。馬鹿。
威張
(
ゐば
)
つたつて駄目だよ。
兄
(
あに
)
さんを
撲
(
ぶ
)
つたりしてももう聞かないよ。』
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「馬鹿野郎、吾らはそんな世迷言にかす耳を有たぬぞ、こうなった上は一寸の光陰も軽んずべからずだ、
愚図
(
ぐず
)
愚図
(
ぐず
)
すれば
撲
(
ぶ
)
ち殺されるぞ、生命が惜しくば早く下れ下れ!」
太陽系統の滅亡
(新字新仮名)
/
木村小舟
(著)
……憎いのは、キャラコさんばかりじゃない。みんな、みんな、みんな、世界中の一人残らずが、みんな憎らしいんだ! どいつでもこいつでも、死ぬほど
撲
(
ぶ
)
ってやりたい。
キャラコさん:05 鴎
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
『
何有
(
なあに
)
!』とお由は又言つた。そして、
先刻
(
さつき
)
から三度目の同じ
弁疏
(
いひわけ
)
を、同じ様な詰らな相な口調で付加へた、『晩方に庭の
台木
(
どぎ
)
さ
打倒
(
ぶんのめ
)
つて
撲
(
ぶ
)
つたつけア、腰ア痛くてせえ。』
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
私は母によく
撲
(
ぶ
)
たれた。折檻された。兄はそんなに叱られなかった。私はときに泣きながら母に、母が兄のことは叱らないで、自分ばかりを叱ることへの不服を訴えたりした。
生い立ちの記
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
手燭
(
てしょく
)
をつけて一匹ずつ焼くなんて面倒な事は出来ないから、
釣手
(
つりて
)
をはずして、長く
畳
(
たた
)
んでおいて部屋の中で
横竪
(
よこたて
)
十文字に
振
(
ふる
)
ったら、
環
(
かん
)
が飛んで手の
甲
(
こう
)
をいやというほど
撲
(
ぶ
)
った。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何
(
ど
)
っか、引掻かれたのか、
撲
(
ぶ
)
たれたのか、身体中ひりひりしたり、鈍く痛んだりしてきた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
俺らが急ぎだから通してくれと頼むのを、
事情
(
わけ
)
も聞かねえで、
無暗
(
むやみ
)
に
撲
(
ぶ
)
ちやがる。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
天神下の叔父の家で、友達と一所に酒を飲んで、それから
一同
(
みんな
)
遊びに出かけようとしているところへ行き合わせた時も、外へ出てから雨のなかで喧嘩を始めて、傘で腕を
撲
(
ぶ
)
たれたりした。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そして、グレイ夫人は、がさつで無感覺で——
撲
(
ぶ
)
たれたつて平氣なんですの。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
犬の癖に人間の言葉が分るなんて生意気だから一つ頭を
撲
(
ぶ
)
ってくれた。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
番人と狼と格闘して狼が死ねば珍重珍重、番人が死んだ場合には大概
草臥
(
くたび
)
れた狼を
撲
(
ぶ
)
ちのめすだけの事、狼と番人とが四ツに組んで
捻合
(
ねじあ
)
って居たら危気無しに背面から狼を
胴斬
(
どうぎ
)
りにして終う分の事
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「旦那はん、あの子が、あたいをこんなに
撲
(
ぶ
)
ったの」
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「えい!
緊
(
しつか
)
りせんかい、
撲
(
ぶ
)
ん
殴
(
なぐ
)
るぞ!」
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
「
撲
(
ぶ
)
たれたな。」
野に臥す者
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「騒ぐなよ。——俺はな、昨夜新助の野郎を
撲
(
ぶ
)
ち殺したんだ——敵は確かにこの親父が討った——とお駒の死骸にそう言ってくれ」
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
与力はいきなりにその横鬢を扇でぴしゃりと
撲
(
ぶ
)
たれました。撲たれた方はびっくりしていると、撲った方は苦り切って叱りつけました。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
然し耗っても
錆
(
さ
)
びても、心棒は心棒だ。心棒が廻わらぬと家が廻わらぬ。
折角
(
せっかく
)
苅
(
か
)
り入れた麦も早く
扱
(
こ
)
いて
撲
(
ぶ
)
って俵にしなければ
蝶々
(
ちょうちょう
)
になる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
彼女は赤ん坊が小便をしたといっては
胯
(
また
)
を
抓
(
つね
)
った。乳の
呑
(
の
)
み方が悪いといっては平手で頭を
撲
(
ぶ
)
った。それからすべての器物にも手荒く当たった。
猟奇の街
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
新「
何
(
ど
)
うして/\中々
彼奴
(
あいつ
)
ア己より強い奴で、滅法力が有るから、彼奴は
撲
(
ぶ
)
たれても痛くねえってえので、五人位掛らねえじゃアおっ付かねえ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お丹
突然
(
いきなり
)
、「畜生——」と一喝して
長羅宇
(
ながらう
)
の煙管を
押取
(
おっと
)
り、火鉢の
対面
(
むこう
)
に割膝して坐りたる鉄の額を砕けよと一つ
撲
(
ぶ
)
つ。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
トランプは兄の横顔に
中
(
あた
)
って、一面にあたりへ散乱した。——と思うと兄の手が、ぴしゃりと彼の頬を
撲
(
ぶ
)
った。
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
西洋近代の演劇は写実の芸風を専一にしているが、人が殺されたり
撲
(
ぶ
)
たれたりするところは決して写実風ではない。また女を殺す場面は避けて用いないようにしてある。
裸体談義
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
お初は、イヤというほど、自分の頬ぺたを
撲
(
ぶ
)
ってやりたいようないらいらしさを感じて来た。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
『
何有
(
なあに
)
!』とお由は又言つた。そして、先刻から三度目の同じ
辯疏
(
いひわけ
)
を、同じ樣な詰らな相な口調で附け加へた、『晩方に庭の
臺木
(
どぎ
)
さ
打倒
(
ぶんのめ
)
つて
撲
(
ぶ
)
つたつけア、腰ア痛くてせえ。』
赤痢
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
野だは二三秒の間毒気を抜かれた
体
(
てい
)
で、ぼんやりしていたが、おやこれはひどい。お
撲
(
ぶ
)
ちになったのは情ない。この吉川をご
打擲
(
ちょうちゃく
)
とは恐れ入った。いよいよもって日清談判だ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あなただって
撲
(
ぶ
)
ってやりたいくらいよ。……ねえ、あたし、ご恩返しのつもりでいうんですから、どうかそう思ってちょうだい。さもなければこんな余計な告げ口なんかする気はないのです。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
若旦那の新助を
撲
(
ぶ
)
ち殺して娘の敵を討つ——という松五郎を、佐々村佐次郎と平次が、どんなに骨を折って
宥
(
なだ
)
めたことでしょう。
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
夢中ですぐに
撲
(
ぶ
)
ち殺してしまったんですが、殺して見るとやっぱりほんとうのおふくろさんで、
尻尾
(
しっぽ
)
も出さなければ毛も生えないんです。
半七捕物帳:12 猫騒動
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「コリャ」とまた怒鳴って、満面の痘痕を
蠢
(
うごめ
)
かして、
堪
(
こら
)
えず、
握拳
(
にぎりこぶし
)
を挙げてその
横頬
(
よこづら
)
を、ハタと
撲
(
ぶ
)
った。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
何
(
なん
)
と心得違いしたか富五郎、無闇にお隅の手を取って
髯
(
ひげ
)
だらけの顔を押付ける処へ、母が帰って来て、此の
体
(
てい
)
を見て驚きましたから、
傍
(
そば
)
にある
麁朶
(
そだ
)
を取って
突然
(
いきなり
)
ポンと
撲
(
ぶ
)
った。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と同時にあの眼つきが、——母を
撲
(
ぶ
)
とうとした兄の眼つきが、はっきり記憶に浮ぶのを感じた。が、そっと兄の
容子
(
ようす
)
を見ると、兄は遠くへ眼をやりながら、何事もないように歩いていた。——
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「おい、その猫の頭をちょっと
撲
(
ぶ
)
って見ろ」と主人は突然細君に請求した。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
二人の娘は、笑って、お互に
袂
(
たもと
)
で
撲
(
ぶ
)
つまねをしながら、去ってしまった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
慶三はただ馬鹿野郎馬鹿野郎と
怒鳴
(
どな
)
るばかり今更
撲
(
ぶ
)
ったり蹴たりも出来ず、勝手にしろと云い捨てて外へ出てしまった。外へ出てから慶三は道々どう始末をつけようかと
稍
(
やや
)
冷静に思案を廻し始めた。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
然し彼はよく主人をはじめ一家の者になずいて、仮令余が彼を
撲
(
ぶ
)
ちたゝくことがあっても、彼は手足をちゞめて横になり、
神妙
(
しんみょう
)
に頭をのべて
鞭
(
むち
)
を受けた。其為め余が鞭の手は自然に
鈍
(
にぶ
)
るのであった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
撲
(
ぶ
)
ってちょうだい。……ママを
撲
(
ぶ
)
ってちょうだい
キャラコさん:02 雪の山小屋
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
其處を調べるつもりで、首を突つ込むやうにしてゐると、いきなり後ろから、頭を
撲
(
ぶ
)
たれたまでは知つて居りますが、あとは何んにも存じません。
銭形平次捕物控:224 五つの壺
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
撲
常用漢字
中学
部首:⼿
15画
“撲”を含む語句
相撲
打撲
撲殺
打撲傷
撲倒
横撲
女相撲
相撲取
撲滅
草相撲
相撲取草
引撲
素人相撲
一人相撲
張撲
撲滅論
撲飛
撲地
相撲膏
小相撲
...